国際障害者年行動計画
国連総会決議34/158・1980(昭和55)年1月30日採択
A 序・国際障害者年行動計画の概念構成と主な原則
57 国際障害者年の目的は、障害者がそれぞれの住んでいる社会において社会生活と社会の発展における「完全参加」並びに彼らの社会の他の市民と同じ生活条件及び社会的・経済的発展によって生み出された生活条件の改善における平等な配分を意味する「平等」という目標の実現を推進することにある。こうした考え方は、すべての国においてその発展の水準いかんにかかわらず、同様に、等しい緊急性をもってとり入れられるべきである。
58 障害者の抱える問題は全体としてとらえるとともに、発展のあらゆる側面を考慮に入れなければならない。しかしながら、発展途上国は、優先的に取り組むべき問題が多く、手段と社会資源が不十分であるがゆえに、障害者の問題を解決するために必要な社会資源を振りむけることができずにきてしまったという事実は留意されなければならない。
59 障害者の問題の解決は、その国の総合的発展の水準と密接な関係があるため、発展途上国におけるこれらの問題の解決も、これらの国のより速やかな社会経済的発展のための適切な国際的条件をつくり出し得るか否かに大きくかかっている。それ故、新国際経済体制の確立は、国際障害者年の目標達成のためにまさに適切なものである。今日、世界にはおよそ4億5千万人の障害者がいると推定されているが、その大半は発展途上国において生活している。それ故、国際障害者年関連活動の大部分は、これらの国々における障害者のための環境条件の改善に向けられるべきことは不可欠である。2国間及び多国間の開発計画という枠組みの中で、この分野におけるプロジェクトが国内レベル、地域レベル、国際レベルで、より多くの機会を与えられてしかるべきである。このようなプロジェクトは国家開発戦略の必須の部分たるべきである。そのためには、この障害者年のプログラムの採択と実行においては、加盟諸国の参加とともに、政府系及び民間の障害者の国際組織の参加を確保する必要がある。
60 障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実に想いを致すなら、国際障害者年は、世界平和のための諸国民間の継続的で強い協力の必要性を強調する一つの機会として、最適に利用され得るものである。
61 国際障害者年の重要目的の一つは、障害とは何か、それはどのような問題をもたらすかについての公衆の理解を促進することでなければならない。今日、多くの人々は、障害とは「人体の物理的動作の支障」と等しいと考えている。しかし、障害者といっても等質の集団をなすものではない。例えば耳が全く聴こえない者及び聴覚機能に障害のある者と、視覚障害者、精神薄弱者及び精神病者、身体の動きに障害のある者、そして様々な医学的支障を有している者は、それぞれ異なった解決法を有する異なった問題を有しているのである。
62 国際障害者年は、個人の特質である「身体的・精神的不全(Impairment)」と、それによって引き起こされる機能的な支障である「障害(能力不全)(Disability)」そして能力不全の社会的結果である「不利(Handicap)」の間には区別があるという事実について認識を促進すべきである。
63 障害という問題をある個人とその環境との関計としてとらえることがずっとより建設的な解決の方法であるということは、最近ますます明確になりつつある。過去の経験は、多くの場合社会環境が1人の人間の日常生活に与える身体・精神の不全の影響を決定することを示している。社会は、今なお身体的・精神的能力を完全に備えた人々のみの要求を満たすことを概して行っている。社会は、全ての人々のニーズに適切に、最善に対応するためには今なお学ばねばならないのである。社会は、一般的な物理的環境、社会保健事業、教育、労働の機会、それからまたスポーツを含む文化的・社会的生活全体が障害者にとって利用しやすいように整える義務を負っているのである。これは単に障害者のみならず、社会全体にとっても利益となるものである。ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。障害者は、その社会の他の異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである。障害者のための条件を、改善する行動は、社会のすべての部門の一般的な政策及び計画の不可欠な部分を形成すべきであり、また、それは、国の改革プログラム及び国際協力のための常例的プログラムの一環でなければならない。
64 国際障害者年の間に行われる活動は、実質的なものを指向すべきであり、従って活動の焦点はプライマリー・ヘルス・ケア(基礎的保健事業)、リハビリテーションそして疾病予防事業に当てられるべきである。それは、このような活動が社会的・人道的観点から重要だからであり、特に、社会が障害者の数とその障害程度をかなり減じ得るような方法や手段が存在するようになって以来はなおのことである。
65 「障害者の権利宣言」を含む総会決議3447(第30回総会)の第12項に基づき、障害者の組織は、彼らの権利に関するあらゆる事項において有効な協議が受けられてしかるべきである。国際障害者年の重要目的のひとつは、障害者が彼らの考えを効果的に表明し、また政策形成機関の仕事や社会一般の管理運営に活発に参加する権利を確保しうるように、彼らが自らを組織することを支援することである。
66 国際障害者年は、地方、国、地域及び国際レベルにおいて行動をめざしたプログラムを通じて上記の諸原則の実現に貢献すべきである。
67 国際障害者年の進行を通じて得られた経験は、長期行動プログラムの採択ということをもたらすものでなければならない。
国連総会決議34/158・1980(昭和55)年1月30日採択
A 序・国際障害者年行動計画の概念構成と主な原則
57 国際障害者年の目的は、障害者がそれぞれの住んでいる社会において社会生活と社会の発展における「完全参加」並びに彼らの社会の他の市民と同じ生活条件及び社会的・経済的発展によって生み出された生活条件の改善における平等な配分を意味する「平等」という目標の実現を推進することにある。こうした考え方は、すべての国においてその発展の水準いかんにかかわらず、同様に、等しい緊急性をもってとり入れられるべきである。
58 障害者の抱える問題は全体としてとらえるとともに、発展のあらゆる側面を考慮に入れなければならない。しかしながら、発展途上国は、優先的に取り組むべき問題が多く、手段と社会資源が不十分であるがゆえに、障害者の問題を解決するために必要な社会資源を振りむけることができずにきてしまったという事実は留意されなければならない。
59 障害者の問題の解決は、その国の総合的発展の水準と密接な関係があるため、発展途上国におけるこれらの問題の解決も、これらの国のより速やかな社会経済的発展のための適切な国際的条件をつくり出し得るか否かに大きくかかっている。それ故、新国際経済体制の確立は、国際障害者年の目標達成のためにまさに適切なものである。今日、世界にはおよそ4億5千万人の障害者がいると推定されているが、その大半は発展途上国において生活している。それ故、国際障害者年関連活動の大部分は、これらの国々における障害者のための環境条件の改善に向けられるべきことは不可欠である。2国間及び多国間の開発計画という枠組みの中で、この分野におけるプロジェクトが国内レベル、地域レベル、国際レベルで、より多くの機会を与えられてしかるべきである。このようなプロジェクトは国家開発戦略の必須の部分たるべきである。そのためには、この障害者年のプログラムの採択と実行においては、加盟諸国の参加とともに、政府系及び民間の障害者の国際組織の参加を確保する必要がある。
60 障害者のうち多数の者は、戦争及び他の形態の暴力の犠牲者であるという事実に想いを致すなら、国際障害者年は、世界平和のための諸国民間の継続的で強い協力の必要性を強調する一つの機会として、最適に利用され得るものである。
61 国際障害者年の重要目的の一つは、障害とは何か、それはどのような問題をもたらすかについての公衆の理解を促進することでなければならない。今日、多くの人々は、障害とは「人体の物理的動作の支障」と等しいと考えている。しかし、障害者といっても等質の集団をなすものではない。例えば耳が全く聴こえない者及び聴覚機能に障害のある者と、視覚障害者、精神薄弱者及び精神病者、身体の動きに障害のある者、そして様々な医学的支障を有している者は、それぞれ異なった解決法を有する異なった問題を有しているのである。
62 国際障害者年は、個人の特質である「身体的・精神的不全(Impairment)」と、それによって引き起こされる機能的な支障である「障害(能力不全)(Disability)」そして能力不全の社会的結果である「不利(Handicap)」の間には区別があるという事実について認識を促進すべきである。
63 障害という問題をある個人とその環境との関計としてとらえることがずっとより建設的な解決の方法であるということは、最近ますます明確になりつつある。過去の経験は、多くの場合社会環境が1人の人間の日常生活に与える身体・精神の不全の影響を決定することを示している。社会は、今なお身体的・精神的能力を完全に備えた人々のみの要求を満たすことを概して行っている。社会は、全ての人々のニーズに適切に、最善に対応するためには今なお学ばねばならないのである。社会は、一般的な物理的環境、社会保健事業、教育、労働の機会、それからまたスポーツを含む文化的・社会的生活全体が障害者にとって利用しやすいように整える義務を負っているのである。これは単に障害者のみならず、社会全体にとっても利益となるものである。ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。障害者は、その社会の他の異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、その通常の人間的なニーズを満たすのに特別の困難を持つ普通の市民と考えられるべきなのである。障害者のための条件を、改善する行動は、社会のすべての部門の一般的な政策及び計画の不可欠な部分を形成すべきであり、また、それは、国の改革プログラム及び国際協力のための常例的プログラムの一環でなければならない。
64 国際障害者年の間に行われる活動は、実質的なものを指向すべきであり、従って活動の焦点はプライマリー・ヘルス・ケア(基礎的保健事業)、リハビリテーションそして疾病予防事業に当てられるべきである。それは、このような活動が社会的・人道的観点から重要だからであり、特に、社会が障害者の数とその障害程度をかなり減じ得るような方法や手段が存在するようになって以来はなおのことである。
65 「障害者の権利宣言」を含む総会決議3447(第30回総会)の第12項に基づき、障害者の組織は、彼らの権利に関するあらゆる事項において有効な協議が受けられてしかるべきである。国際障害者年の重要目的のひとつは、障害者が彼らの考えを効果的に表明し、また政策形成機関の仕事や社会一般の管理運営に活発に参加する権利を確保しうるように、彼らが自らを組織することを支援することである。
66 国際障害者年は、地方、国、地域及び国際レベルにおいて行動をめざしたプログラムを通じて上記の諸原則の実現に貢献すべきである。
67 国際障害者年の進行を通じて得られた経験は、長期行動プログラムの採択ということをもたらすものでなければならない。