ステキなステキな来々軒。うん。
前にも書きましたが、旅先で何を食べるか。これは大問題です。
きっと一人ならこだわらずにさささっと済ませちゃいそうですけど、
サービス精神旺盛な母ですから、娘になんとしてでも美味しく、かつ思い出の味を食べさせ唸らせたい。
…と、美味しさに唸るはずだったのですが、別な唸りが発生いたしまして。
肝心の、肝心要の胃腸の調子が悪い女が一人おりまして。極悪非道よね、この期に及んで。
私じゃありません。娘よ、娘。
函館出発の10日ほど前でしょか、飲み会で一人だけ何かにあたってしまったようで。疲れてたんでしょか。
本人はヒドい二日酔いだとそのまま放置、ところが数日経ってもトイレ通いが止まらない。あ、すみません。
診察してもらえよなんですけど、菌を出し切ったら治まるだろうと。あ、すみません。
出発前の我が家でも、
『お願いします、何かお腹に優しいものを作ってください。ストロングなお肉は無理です』と申告する有様。
もうどうしましょでした。
一応どこでなにを食べるか候補は数軒決めてはいたのですが、
全て濃く激しくアグレッシブで、胃腸にどっぷりヘビー&ストロングな食を連想させるものばかり。
おそば・うどん・おじやを探さなきゃだめなのかと、それでも母ですから仕方がない、娘のお腹の大事をとりましょうと。
あれ?覚えてる方いらっしゃるでしょか。
すき焼にとんかつ食べてたじゃないってね(笑)。
そうなんです。だからステキな来々軒なんです(笑)。
函館に向かう道でもこまめにトイレ休憩をとり、スポーツドリンクを様子を見ぃ見ぃな状態で。
予定より時間がかかってしまい、途中どこか道沿いのドライブインにでも入るか?となったのですが。
貴重な一食を当てずっぽうなお店で、それもハズれで終わったとしたら悲しいよなと。
クッキーで飢えを誤魔化しまして、函館市内に突入したわけです。
で、娘曰く、『食べよう、食べれる、私頑張る、きっと大丈夫だから』と。
本当か?ゲリラ豪雨にならないか?信じよう、娘の熱い決意を信じよう。気合で止めろ。
いざ、来々軒へ。
って、ここは初めてなんです。
向かいの生協には通ってましたし、近くの大三坂には友達が住んでいる。裏にも友達の家が。
しょっちゅうお店の前だけは通っていたんです。
ただ入店はしたことがなかった。
ってもう店内超レトロなカフェですから。
13時はとっくに過ぎているんですけど、店内わりとお客さんが入っておりまして。
写真はOKということですが、さすがに撮るのに気が引けまして。
消極的な写真ばかりなのが残念っ。
ほら、消極的にテーブルの脚なんか写しちゃったりしてます。モードの切り替えも失敗してるし(笑)。
いかがでしょ、壁際の岩が気になる。
あぁ近寄りたいけど近づけないこの気持ち。照明なんて、もうプリティで立ち上がって写したいっ。
お客さん少なかったらやってたでしょね(笑)。
この真っ赤なソファーに座りたかったのよ。
って上手に表現できるかどうかなんですけど、
私の背もたれ部分と裏に(背後に)座っている人の背もたれ部分が共有なんですわ。
座面、背もたれ、座面。一人二役といいますか…
なんと合理的なソファーなんでしょ。まさに背中合わせで座ってるんです。
裏のというか後ろ側の座面に座っているおじさんが動くと、私の背中にその動作が伝わってくる(笑)。
いやぁ、ナイスな椅子っ。
迷わず塩ラーメンを注文。
やっぱり写せないこの小心者めが。
いえ、お店の方はどうぞ写してくださいって言ってくださってるんですけど、私恥らってしまって…
きたっ。
うひゃぁ。澄んでる。スープが透明よ。
で、その澄んだ透明なスープを一口。
『んまっ!おいしっ、胃にやさしいお味っ!』
そうなんです。まぁなんて優しい味のラーメンなんでしょ。
娘とふたりでうまうまうまうま食べまして。
『これってスタートから大当たりだと思わない?』
『思う思う、ここ大正解っ』
あ、これちゃんとソファーの全体像が写ってる(笑)。
ね、こんなの見たこと無いですわ(笑)。もう好きです、ステキです。
あ、昔のJRというか鉄道の座席ってこうだったかも。背もたれ一枚座席がふたつ。
こういうお店でラーメン食べるってのも、やっぱり函館でしょか。
建物、もっと見たかったし写したかったな。
創業昭和10年って看板に書いてあるっ。
うわぁ。
そう、それで、創業昭和10年も凄いですけど、
ここのラーメンから娘のお腹が復活しまして(笑)。
トイレは通常運行となりました。
おかげでこの夜はとんかつ、翌日のお昼はすき焼食べることが可能と。
まさに来々軒パワー。
お店の方に、『美味しかったです、ご馳走様でした』と、頭を下げて出てきました。
懐かしい家並み。小路のたたずまい。夕景の外人墓地。
何十年も、否それ以上時間が通り抜けていった町並みに
暖かくやさしい温もりを感じていました・・・。
背もたれ部分が共有のイス...。国鉄時代の機関車は
みなこのイスでした。特に3等車(普通席)は確か
深緑だったと思います。薄い背もたれに後ろの人の
振動を感じながら車窓から見える石狩の海をながめて
いました。(海水浴は汽車で行ってました)
小樽にも「光」という喫茶店がありますが、ここも
列車のイスと同じ造りです。コーヒーを注文すると
カステラが付いてきました。今でもそうなのかは
分かりませんが...。木造の家、嗚呼!懐かしい!!
深緑色!そうです、確か深緑で木の縁というか枠があったと。
なんだか車内のニオイと音と景色まで思い出しそうです(笑)。
生まれてから今日までずっと転勤族で、
道内だけですがいろいろ移り住んでます。
だけど、不思議ともう1度と思うのは函館なんですよね。
留萌の大きな夕日を見たいとは思っても、
じゃあ宿泊してまで行くかというと…
住んでいた頃は、函館公園や外人墓地はすっごく遠くだったのですが、
今回行ったら距離感が違うといいますか、
こんなに近かったっけと。
大きくなったわけではないんですけど。
歳とともに変わるものなのでしょか…