貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

遊びと仕事 対比の妙

2021-05-16 14:27:37 | 日記

遊びと仕事 対比の妙

令和3年5月16日(日)

種芋や 

  花のさかりに 

    売りありく

    この花の盛りに、商人が泥のついた

種芋を売り歩いている、の意。

 元禄三年作。

 季語は「花のさかり」。

 前書き「午の年 伊賀の山中/春興」

◎ 伊賀の山中で、見かけた光景を

詠んでいる。

 春の盛りに、人々は桜狩りや花見に

遊びほうけているのに、

種芋(里芋の種芋)を売り歩いている

商売熱心な百姓たちもいる。

 人様々である。

 この句、どこか、遊びに浮かれて

いる大勢の人々と、

商売をしている人々を描き分けていて、

そのちぐはぐした様子が面白い。

 俳句は、違ったものを取り合わせる

ことによって、滑稽味が出てくる。

 芭蕉というと、侘び寂びの哲人だと

思い込んでいる人が多いが、

正反対の遊びにも熱心な人で

あったことを、もっと知るべきである。