居ながらにして懐かしく
令和3年5月28日(金)
京にても
京なつかしや
ほととぎす
京の都で、時鳥を聞くと、
遠い昔が偲ばれて、
京にいながら京が懐かしく
感じられる、のい。
元禄三年作。
小春宛て書簡は、6月20日に
幻住庵から発信したもの。
芭蕉は、6月初めから18日まで
京に出ており、その間の作と見られる。
上句の「京」は現在、
中句の「京」は古のそれを言う。
師匠は、
「何故、京が急に懐かしくなったのか。
私はこの句の付近に死を詠った句が
あるのが何かの意味があるように
思えてならない。
京が懐かしく思えるのは、
長い歴史とともに、多くの墓場が
あるからだろう。」
と語っている。