卯月の夏らしさ
令和3年5月22日(土)
田や麦や
中にも夏の
ほとゝぎす
青々とした早苗と金色の麦、
全てが夏らしい風景の中でも
時鳥は、特に素晴らしい、の意。
元禄二年。
4月7日、黒羽の秋鴉󠄃(あ) 邸での吟で、
曽良書留には、前書きが付される。
『もゝよ草』等の上・中
「麦や田や 中にも夏は」は真
蹟によるとする。」
◎ 青々とした卯月の早夏、
麦秋の麦の黄金色、その対比が
素晴らしい季節だ。
その景色を楽の音で引き立てている
のが時鳥である。
卯の花月の薄紅の見事さを引き立てて
いる。
芭蕉は、この句について、
「春秋のあハれ、月雪のながめより、
この時はやゝ卯月のはじめになん侍れば、
百景一ツをだに見たことあたハず、
たゞ声をのミて、黙して筆を捨る
のミなりけらし」
と言っている。
この一句に対する芭蕉の熱意は、
並々ならぬもので、初句、字句と
推敲を重ねている。
初句は、
麦や田や
中にも夏は
ほとゝぎす
つづく。