芙蓉の木の生命力
令和3年5月11日(火)
枝ぶりの
日ごとに替る
芙蓉かな
日毎別の枝に花を咲かせ、
芙蓉は枝の姿が次々に変わることだ。
元禄二年(1689)作。
初秋に咲く 芙蓉の花は、まことに
見事。
赤、淡い紅、白色の花が
秋のうらぶれた季節に派手やかに咲く。
いっとき、芙蓉の花が好きで、
我が庭で愉しんだ時もある。
やはり若いときだ。
大きな花は、目も覚める思いだが、
わずか一日で落ちてしまう。
「毎日咲いては散る芙蓉は、
あらもったいないと思わせるが、
一日で落ちる潔さに目を向けると、
自然の念入りな開花に賛嘆する。」
と師匠は語る。
それを、芭蕉は、
「枝ぶりの日ごとに替る」と表現。
一日花であるから、花を写生にして
落ち花の無惨さを詠めばいいのに、
芙蓉の木の力強い生命力という方へ
写生の力点を変えた。
なるほどこう表現すると、
もったいないという人間の心を
考えなおさねばならないかな?
何処にして視点を当てるかも
魅力だ。