雨の夜と下弦の月

毎日を静かに、穏やかに生きていきたいと思う日々。
そのわりにはジタバタと暮らすワタクシの毎日を綴っております。

天使と悪魔。

2009-05-16 21:05:44 | books&magazine
今から地上波で初めて「ダヴィンチ・コード」を放映するみたいですが、地上波だと吹き替えなのでいまいちイメージがずれてしまいます。「ダヴィンチ・コード」は劇場で見たので、なおさらそう思うのかもしれません。それはさておき、先週、トム・ハンクスの来日にのせられて、文庫本の「天使と悪魔」全3巻を買ったままで家に置きっぱなしだったのですが、昨日の夜と今日1日かけてようやく読了しました。ローマカトリックのことには全く不案内なワタクシですが、本当に面白く読みました。これを買った書店で「ダヴィンチ・コード」と両方読んだ人の96%が、この「天使と悪魔」の方が面白かったと答えたというちらしを置いていて、疑り深いワタクシは半信半疑で読み始めたのですが、読み終えてみると確かにこっちの方が面白かったです

どこまでが真実でどこからが虚構かというのも面白いのですが、ワタクシは、結局人間の精神とか信仰心みたいなものに興味があるようです。そして、ミステリーとしても犯人像が二転三転するので本当に夢中になって読みました。ワタクシ、若い頃には本当にヨーロッパに憧れたものですが、何故かローマ(というかイタリア)には全く興味が湧かないまま年を取ってしまい、今日に至ります。でも、この本はある意味ローマ、特にヴァチカンについての観光ガイドブックにもなりそうです。世界一小さな国で、ローマ教皇がいるカトリックの総本山だということぐらいしか知らないワタクシでさえ、物語の進行とともにラングドン教授と一緒にヴァチカンを走り回っているような気になりました

人間が自分の力ではどうにもならない恐怖にさらされた時は、最後はやっぱり神に縋るものなのかもしれません。神というのは人それぞれが心の中に持っているもので、ある人にはイエスであり、ある人にはブッダであり、またある人にとってはイスラムの教えだったりするのでしょうが。日本人だと八百万(やおよろず)の神様だったりするのかもしれません。ワタクシも、平時は不信心極まりない生活を送っていますが、何か困ったことがあると八百万の神様に何とかしてくれとお願いしたりもします。宗教指導者と呼ばれる立場の人々は、その庶民の素朴な信仰心を良い方向に向けるために在るんだとは思うのですが、時として、それが狂信的になってしまうのが怖かったりもしますよね。信仰は、あくまでも個人の心の中に存在するはずで、一部のエライ人々がどうこうできるものではない。基本はミステリーなんですけど、宗教とは何ぞやということにちょっとだけ思いを馳せてしまう本ではありました。