介護で94歳の男性が一人で「会いたさ見たさに」と歌い出だす。
曲は聞いた事があるが題名は調べてわかった。
介護にくるのに朝からアルコールの臭いがする。こんな時に限り鼻歌がでる。
介護スタッフも暴力を振るったり暴言を吐かないので酒くさいのは大目にみている。
この歌を調べると大正時代の歌だ。歌詞の内容が意味深長だ。
籠の鳥は遊女や妾を立場の人を唄ったのか
女性に人気があったと書いてある。94歳の男性も聞くと母親が料理や掃除に歌っていたそうだ。
昔の女性の立場は弱かった。舅や姑や小姑に色々言われ。地域の慣習に束縛されて昔の主婦は籠の鳥を自分にオーバーラップさせたのか。
写真家、木村伊兵衛の代表作に秋田がある。昭和28年の秋田の農村を撮影した。
その中に農婦が子供に乳を与えている写真がある。赤子を抱いてではなく。赤子にかぶさり乳やりをしている。
いつでも立てる体勢で乳をやっている。乳をやっている時に舅の呼ぶ声がして半身を起こして乳やりをしている写真だ。農家の主婦はいっもピリピリしていると木村伊兵衛は書いてある。
籠の鳥とともに暗い世相を反映した曲もある。船頭小唄 「俺は河原の枯れすすき」裏町人生などもあった。
「籠の鳥の歌詞」
あいたさ見たさに
こわさを忘れ
暗い夜道をただ一人
あいに来たのに
なぜ出てあわぬ
僕の呼ぶ声わすれたか
あなたの呼ぶ声
わすれはせぬが
出るに出られぬ籠の鳥
籠の鳥でも
智恵ある鳥は
人目忍んであいに来る
人目忍べば
世間の人が
怪しい女と指ささん
怪しい女と
指さされても
真心こめた仲じゃもの
指をささりょと
おそれはせぬが
妾(わたし)ゃ出られぬ籠の鳥
世間の人よ
笑わば笑え
共に恋した仲じゃもの
共に恋した
二人が仲も
今は逢うさえままならぬ
ままにならぬは
浮世の定め
無理に逢うのが恋じゃもの