日々雑感 ~写真と思い~

今日と言う日は、二度と来ない。 
だから今日を大切に・・そんな私のデジカメ散歩 

* キンモクセイの匂う頃・・ *

2008年10月06日 | 花や木


夫を見送る為に玄関の戸を開けたら、ぱーっといい香りに包まれた。
小さい雨が降っている朝。
「お父さんほら!これ見て!」 「なんや」 「匂わへん?」 「ああ、これなあ」
毎年、お隣の奥さまがこの季節には枝を折って、郵便受けに入れて下さるのだけど、
今日は自転車の前の風よけフードの上におかれてあった。 ついさっきだったのかな、キンモクセイ。 
葉っぱについた小さな水滴がそれを物語っている。
一昨日玄関で会って立ち話した時は、何も気づかなかったのに、キンモクセイの花が咲き始めている。 
毎年欠かさずに、そっと置いて下さっているのが嬉しい。
まわりにいい香りがたち込めていて、しばし足をとめる。 さりげない優しさに浸りながら。

キンモクセイ匂う頃になると、結婚記念日に電話をかけて来た母がいつも言う。
「あんたの結婚式の時、キンモクセイがいい匂いじゃった。 花が咲く頃になるといつも結婚式を思い出すんよ」
家から花嫁衣裳を着て、そんなキンモクセイの香りのする中を、貸切のバスが待つ通りまで歩いた日のこと。
それから4年したとき、父が急死式場へ向かう嬉しそうな父、村祭りだったあの日そんな思いでも重なって、
母にはキンモクセイは忘れられない香りなのだ。 (正直、私には記憶がないのだ母には申し訳ないのだけれど)
あと4日したら、またそんな母の話が聞けるだろう。
欠かしたことの無いお祝いの電話、35回目の電話でキンモクセイの話が。