俳優緒形拳さん(71歳)の突然の訃報を放映されることがらをみながら、え・・って言う思い。
だって9月30日までご自分のブログに、記者会見のことをアップしておられたのに。
義父は72歳で亡くなったが、ある意味まるで予期したような燃焼の人生の終焉に似たものを感じた。
もっと生きて演じていかれる方であるが、役者としてこんな風に人生の幕を閉じられたすごさ。
夜中、NHKのラジオ深夜便をつけたとき、アナウンサーとどなたかが緒形拳さんのことを話をしていた。
映画関係者だったと思うが、四年前緒形さんから「俺は肝癌なんだよ、告知すれば、仕事がなくなる。
自分はずっと仕事をしていたいから言わない」と言われ絶句されたそうだ。
どんどん蝕んでいく病魔にもあくまでも在宅治療にこだわっていた中で、家族はどんな日々だったろうか。
奥さまのお気持ちを思うと、もし私だったら・・そんなにかっこよく素直に受け入れられるほど出来た妻ではない、
手術して欲しいと説得するだろうか。 いや、やはりそこまで役者でありたい夫の願いを受け入れるだろうか。
知りながら寄り添う家族の方たちの一日一日、年月はどんなものであったろうか。
人生長く生きたからそれでいいと言うわけではなく、どう生きたかが大切なのだと言うが、
緒形さんの人生の終り方には、そんな事がらを考えさせられるものがあった。
9日から始まるフジTV開局50周年記念番組『風のガーデン』が彼の最後の作品となった。
30日の記者会見に出席して、最後までご自分の役目を成し遂げられたその役者魂、
その4日後急変、精魂尽き果てて・・思えば撮影に関られた一日一日は壮絶だったに違いない、
大きな苦痛にも立ち向かっていたであろう。
作品をご覧になることなく逝かれた無念は、家族や人々へ残す体をはった彼のメッセージだろうか。
そこに立っているだけで、笑顔をされるだけで、言葉に出来ないほどの量感、存在感を感じていた。
人生の何もかもがその顔の表情の中に現れているようで、心からお疲れさまでしたと言う気持ちである。
報道では3名のノーベル物理学賞、で沸いていた。 その陰に、野球人生最後の楽天との試合で、
引退をされた王監督、さよなら負けなんて・・見送るにはあまりに寂しい幕引きでTVで見る限り
やつれられたそのお顔が、痛々しくも思えてしまった。
悲喜こもごも・・今日は二十四節気の寒露・・冷たい露の結ぶ頃・・偉大なる人たちへの涙だろうか。