30日香港に行った夫が、今日は帰国する。
関空から同行したセイ君の知人が、家まで送ってくれると言うので迎えに行かなくて良くなった。
帰りは遅いので夫から、お土産は明日渡すからと電話があり、次女も「明日行くわ」と電話があった。
なのに7時頃「食事がすんだらそっちへ行くわ、お父さんを驚かせる、いた方が喜ぶやろう」
展君がパジャマ姿の、次女と孫2人を降ろして帰って行った。
夫が旅行カバンをゴロゴロ押してくるのが分かったら、隠れて驚かせようと言う魂胆である。
夫から出発の1時間前「予定通り飛行機は飛ぶみたいや」と3時頃電話があった。
「今から乗る」とまた電話があった。 (ん?) やたらと電話をかけてくる夫では無いのにと思った。
8時過ぎ「着いたで、今荷物待ちや」 「お帰りなさい、みんな明日来るってよ」と嘘をついた。
「そうか、じゃぁ着いたってあいつに電話しとくわ」 えらい、まめに電話するなぁと思った。
それにしても不思議だったのは香港も4度目の夫、飛行機に乗ったら長女は必ず電話をくれるのに、無かった。
ゴロゴロカバンを押す音が聞こえた。
「帰ってきたよ! ほら!」 一斉に次女となつめ、かんたの3人は隠れた。
私は迎えに降りて、玄関の扉を開けた。
「え~!! 何? そうなん! それで分かったわ、そう言うことやったんや」
夫から少し離れたところに、長女が笑いながら立っていたのだ。
それを見て、長女が帰るのを次女は知っていて私を驚かせようとひと芝居うっていたのんだと思った。
しかし「ひぃちゃん・・一緒に帰って来たし・・」 次女に聞こえるように言ったけど、3人は出てこなかった。
「ひぃちゃんも帰って来るなんてびっくり、でも一瞬なんかそんな気がしないでもなかったわ、お父さん無事出国の電話無かったし」
そうこう3人で話をしていた時
「じゃじゃーん!!」 カウンターにしゃがんで潜んでいた3人が出てきた。
「あ~!びっくりした!」 まさかと思っていた夫は、驚きながらも嬉しそうに笑った。
孫たち4人は我が家にいるとき、夫が帰った気配がしたら隠れることにしている、それは必ず。
玄関に靴はあるし、部屋にも遊んでいた形跡をいっぱい残し、同じ場所カウンターの裏へ、ばればれなのにいつも。
長女は長女で、次女が明日来ると言いながら、もしかしたら驚かそうと来ているかもとか思ったらしい。
しかし玄関の靴は隠していたし、3人のジャンバーも隠していたし、部屋の乱れもなくきちんと片付けていたし、
そう感じさせるものは何もなかったから、部屋に入って予感がはずれたと思ったらしい。
、たまたま
長女が帰る事は次女も知らなかったのだ。 みんなの驚かせようが、たまたま重なった。
サプライズのサプライズで、一気に賑やかになった。
夫も私1人いるより、孫たちがいた方が嬉しいに決まっている。
今回はゴルフ三昧だったのでお土産を買う為にもと、1週間の予定で長女が一緒に帰国したのだった。
長女は香港へ行ってまだ、2週間ほどしかたっていなかったのに。
セイ君が「一緒に帰って来たら?」そう言ってくれたらしい。
みんなのお土産を次々に広げながら、満足だった旅の事を嬉しそうに話す夫。
初日は気温が低かったが、後は二桁代こちらの倍ほどの気温で腰の具合も良かったらしい。
元気な夫の姿にほっとした。
「今年は結婚40周年やし」と、夫が私に思いがけないお土産をくれた。
「入るか?」 太い指なので2人で悩んだらしい。 「ぴったりやわ、嬉し!」
「良かった」と安心したようだ。 「あっそうや、せかっくならはめてもらおうっと」
改めて指輪を夫に渡した。
夫は私の手をとってはめてくれた、40年前の結婚式の時のように。
思いがけないサプライズに感激して、ちょっとうるうる。
我が家にはそのままでは面白くない、同じことなら驚かせてやろうと言う楽しみ方、そんな風潮が良くある。
クリスマスのサンタうロースがそのいい見本だ。
こっちが驚かせようとしたことが、逆に驚かされて、おまけに嬉しいサプライズが重なった。
指輪は長女の気づきであって、夫だけなら考えつかなかった。
セイ君が帰ってきたらと言ってくれたお陰、そして長女のお陰。
静かだった私のお正月三が日が、娘や孫たちが泊まって一気に賑やかになった。