Best Albums of 2016(年間ベストアルバム) 05→01位。
10→06位はこちら
★05→01位
05.Deathspell Omega - The Synarchy of Molten Bones
不穏で邪悪で不気味で得体の知れない何かが、
暗躍しつつ暴れ狂い蠢いてる雰囲気がある、
独特の暗黒美と畏敬の美に溢れている、
プログレッシブアートブラックメタル作品。
ブラックメタル界の「這いよる混沌」ことDeathspell Omegaの、
全4曲で30分弱の久しぶりのLP扱いの作品なんですが、
とても30分弱の作品とは思えないくらいに、
音数や情報量の密度が半端無い、
濃密で濃厚な作品になっており、
芸術的で知的とも言える、
緩急の効いた変幻自在で緻密な曲構成は一切の隙が無く、
邪悪なアルペジオや不協和音を巧みに使った緊張感とフック溢れるギターと、
複雑でセンス溢れる手数半端無い嵐のようなドラムと、
土台を支えつつ地べたを這いずり回るベースが、
混然一体となり緩急付けつつ縦横無尽に暴れ狂い蠢く様は、
「畏怖の対象の得体のしれない何か」が暗躍しつつ襲い掛かってくるようで、
聞いてるとその「何か」の内部に引き摺り込まれて取り込まれ、
「何か」へと同化していく感覚すらありますね…
神話や宗教や哲学をベースにした邪悪で攻撃的な詞も見事に嵌っており、
こういう音楽作品では一種の究極の形だと思うし、
音楽でありながら生きているようというか、
知性に呼吸や息遣いに怒りや悲観や嘆きなどの感情みたいな物すら感じるので、
これは音楽作品という名の一種の「生物」とも言えるかも…
正に異形で異端の音楽であり、
独特の暗黒美と畏怖の念と畏敬の美に溢れた「闇の芸術作品」だと思う。
04.Demdike Stare - Wonderland
エクスペリメンタル/ミニマル/テクノ/ジャングル/ポストダブ/ダークアンビエント作品。
今回はアートワークが今までとは毛色が違うので、
音楽性も変化してるのは予想していたとはいえ、
序盤はクラブでも受けそうな要素やお洒落感があり、
今まであったオカルト臭や暗黒舞踊感が薄くて驚くんですが、
だんだんDemdike Stareらしさが出て来るように、
結果的にDemdike Stareの魅力を存分に堪能出来ると同時に、
Demdike Stareの新たな可能性を感じられるという、
興味深くて素晴らしい作品になってますよ!
お馴染みのダークアンビエント要素やポストダブ要素も存分にありますが、
今作はジャングル要素が色濃く見られ、
途中にブレイクコア要素すらあるように、
かなり挑戦的で実験的でいて意欲作で、
独特の緊張感漂う中、
アッパーでミニマルな反復と、
ダークアンビエントの相互作用から来る、
不思議な高揚感はヤバいですし、
曲の中でいろんな世界に行き来してるようなトリップ感があり、
LFOを連想させるところがあったり、
Autechre的なIDM要素や、
Aphex Twin的なアンビエント要素があったりなどなど、
過去のテクノミュージックへの敬愛も感じ取れますし、
今までほど内向きで閉鎖的でなく、
開放的とまで言わないまでも、
外向きな要素もある作品に聞こえるように、
外に目を向けた事で得たアイデアが作品に滲み出てるのですが、
それが今までのDemdike Stareと良い化学反応を起こして、
明らかに才能が更に開花した感がありますし、
Demdike Stareが進化&深化した印象を強く感じます。
おまけの「TESTPRESSINGS」と名付けられている2枚も、
かなり実験的で意欲的で興味深い内容ですし、
これからも奇才Demdike Stareからは目が離せない。
03.Meshuggah - The Violent Sleep of Reason
複雑で変態的なリズムとポリリズムの嵐の曲構成の、
深遠なジェント/マスコア/プログレメタル作品。
唯一無二。
聞けばすぐにMeshuggahと分かる圧倒的なまでの個性に溢れてる。
MeshuggahによるMeshuggahでしかない作品。
今までの集大成的な雰囲気もある。
でもそれでいて今までの作品とは一味も二味も違うんですよねー!
比較的ストレートな作風だった前作からの反動なのか、
演奏や構成が過去最高に多彩で数学的で、
今までで一番プログレっぽさがありつつ、
複雑で変拍子だらけの変態なリズムのユニゾンプレイは勿論、
楽器ごとでリズムや拍子変えたり、
複雑でテクニカルなプレイしたりとやりたい放題で、
時にはあまりの複雑さに笑ってしまうくらいですし、
4拍子とかキャッチーとか「クソ喰らえ!」とばかりに、
緻密で複雑で変拍子&ポリリズムだらけの曲の構成は、
正に「ポリリズムの鬼」という名に相応しく、
独特のリズムの気持ち悪さから来る、
独特の気持ち良さも最高で、
後半にはアンビエント要素やポストメタル的な要素がある曲もあり、
今までも聞いてると小宇宙が見えてくるような深遠な音世界でしたが、
今回は別次元の宇宙が見える様な作品で、
今までの要素も多分に入ってるものの、
今までの作品とは違う意味で凄い作品であり、
更に深化してしまった感がある…
最初から前人未踏の地に居たのに、
更に奥の奥まで進んでしまうとかどんだけーw
いつも通り未来の人類と機械(テクノロジー)の関係性をメインテーマにした、
様々な考察や警告や皮肉が入った知的な歌詞は相変わらず興味深くて良いですし、
非常に数学的な内容で頭で聞く音楽の最たる作品でいて、
グルーブ中心にリズムを浴びるようにも聞けるという興味深い内容で、
2ndから4thはどれも違う意味でそれぞれ凄かったですが
今作も間違いなくその域の凄い作品だと思う。
02.Radiohead - A Moon Shaped Pool
ジャンルという概念を超越した感がある、
オルタナ/エクスペリメンタル/アート作品。
オーケストラのストリングスを大胆に取り入れ、
2000年以降のRadioheadの集大成的な雰囲気がありつつも、
今のRadioheadが存分に詰まってる魅力的な作品で、
政治的な側面も見えるパーソナルで抽象的な歌詞に、
気高く独特で孤高の美しさがあるメロディーに、
一つ一つの音の説得力が半端無くて、
アレンジや構成に一切の無駄を感じない曲。
あるべき所にあるべき音があるというか、
全てのピースが収まるべき所にピタリと嵌ってる。
これまでやってきた事の「結果」と「成果」が感じられると同時に、
新たな可能性さえも感じ取れるのがまた末恐ろしいですし、
元々ジャンルに縛られない感ありましたが、
今作はジャンルという概念を超越した感がありますし、
良い意味で掴み所がない魅力に溢れており、
改めてRadioheadの凄さが再認識出来る作品ですね。
「In Rainbows」や「Amnesiac」とは違う意味で並ぶ作品…それ以上の作品かも。
01.High Highs - Cascades
淡く切なく儚く物憂げで美しくて愛おしい、
ロマンティックでメランコリックな、
インディーロック/ニューウェイヴ/ドリームポップ作品。
一枚ヴェールを被っているような少しぼやけた音像に、
周囲が霧に包まれて遠くまでは見えないような
リヴァーヴが効いた音場に、
暗いとも明るいとも言えない独特の淡い雰囲気に
音数少な目でシンプルで洗練されたアレンジに、
メランコリックで儚いメロディーに、
シンプルで切ない歌詞。
幻想的でドリーミーでありつつ、
物憂げで現実っぽさもあるという、
バランス感は絶妙ですし、
儚さの中にある愛おしさみたいな物が、
感じ取れるのが実に良い!
どれだけ後悔しようが過去には戻れない。
成功することもあれば失敗もするし、
喜んだり落ち込んだりを人は繰り返す。
そして人はそれを懐かしんだり後悔したりします。
そんな人生の切なさが今作には感じ取れるし、
同時に過去を慈しむような雰囲気もあるので、
「メランコリックで愛おしい」という、
不思議なバランス感があるんだよねー!
客観的に見れば粗い部分や緩い部分もあるので、
これより完成度が高い作品はあるかもですが、
主観的に見れば、
こういう系統の音楽ではWild Nothingの1st以来のヒット作で、
個人的には全てが「つぼ」なのもあり、
文句無しに2016年で一番胸に響いた一番好きな作品です。
★結果
20.Whitney - Light Upon the Lake
19.Animals as Leaders - The Madness of Many
18.Mourn - Ha, Ha, He.
17.Claustrofobia - Download Hatred
16.The HellFreaks - Astoria
15.Aesop Rock - The Impossible Kid
14.Promenade - Noi Al Dir Di Noi
13.Columbus - Spring Forever
12.A Tribe Called Quest - We got it from Here...Thank You 4 Your service
11.Dark Suns - Everchild
10.Belua - As Good A Time As Any
09.Solange - A Seat at the Table
08.Car SeatHeadrest - Teens of Denial
07.Deakin - Sleep Cycle
06.Anderson.Paak - Malibu
05.Deathspell Omega - The Synarchy of Molten Bones
04.Demdike Stare - Wonderland
03.Meshuggah - The Violent Sleep of Reason
02.Radiohead - A Moon Shaped Pool
01.High Highs - Cascades
★総括
まずはマイノリティを自負してる自分的には、
有名所も入りながらマイナー所も多く入りつつ、
多種多様なジャンルが入り混じってるという、
カオスなランキングになって良かったなとww
共感する人はまず居ないだろうねwwww
でも変で面白くて興味深いランキングにはなりましたし個人的には満足ですw
閑話休題。
2016年は2015年同様に「当たり年」で良い作品が多くあって、
特にインディー系で面白い&良い作品が多かった印象がありますが、
いろんなジャンルで良い作品や興味深い作品がありましたし、
新人、中堅、ベテランで各々良い作品があったように、
「バランス」みたいのが凄い良かった年だった気がする。
そして例年以上にベテランや中堅クラスのバンドで凄い作品が多く、
長い事やってるのにまだこれだけの作品を作れることに感服しましたし、
過去最高レベルと言えるような物まであったのは本当に嬉しい驚きでした。
年とっても頑張れるもんですね。よいよい。
2017年も若手からベテランまで良作が沢山作られるといいな~
ちなみにそんなベテランの中で、
EP扱いなんで今回のランキングには選出してませんが、
特にヤバかった作品があるので、
最後にその作品のレビュー記事を総括の締めとして書きます。
◆Autechre - elseq 1-5
IDMの王様ことAutechreの、
合計時間4時間強のEP5枚組の作品なんですが、
Autechreの才能が湯水のように溢れ出ていてとにかくヤバい!!
メロディーは皆無で只管にビートをぶつけつつ、
コラージュのようにいろんな音(ノイズ含む)が浴びせられて塗されていく様は、
理屈とか通り越して実に凄い!!
使っていない脳の一部が覚醒するぜw!
やっと音楽界で数人しかいない「鬼才」のAutechreさんが「少し」本気になりましたね!
名作と誉れ高い「Confield」以降もいくつか作品出してましたが、
過去の名作群に比べると物足りない内容で、
ぶっちゃけAutechreはもう終わったとすら思っていたのですが、
↑の曲聞いてぶっ飛んで作品買ったら、
「Gantz Graf」以来となるであろう衝撃があり、
他の曲も先鋭的で半端無くて「何だこれは!!!!」とw
人知を超えているというか正に異次元…
しかも今作はとりあえずアイデアを片っ端から突っ込んでみたような、
遊び半分で作った感が少なからず感じられるように、
細部まで深く考えて作ってはないように聞こえるので、
まだ本気(100%)ではない感があるんだよね…
Autechreの作品はいつも時代の数年先を行っており、
特に2000年代前半はあまりに先鋭的で、
「いつまでたっても時代が追いつかない音楽」だったのですが、
ここ数年でいろんな先鋭的なエレクトロニック/テクノ音楽も多く出て来ましたし、
Autechreにも追いついてきた感あったのに、
今作でまた数年先に行ってしまった感ありますねw
一応上記したようにEP5枚組扱いなんであえてランキングには入れませんでしたが、
個人的には2016年で一番の衝撃作で問題作であり重要作品だと思う。
おまけ
◆惜しくもランキングには入らなかったけど好きでよく聞いたor良かった作品20枚(EPや企画盤含む&Autechre除く)
Anaal Nathrakh - The Whole Of The Law
Architects - All Our Gods Have Abandoned Us
Blood Orange - Freetown Sound
Deftones - Gore
Drake - Views
EZTV - High In Place
James Blake - The Colour in Anything
Julianna Barwick - Will
Kendrick Lamar - untitled unmastered
Liima - ii
Madder Mortem - Red In Tooth And Claw
Matmos - Ultimate Care II
Oathbreaker - Rheia
Planetary Assault Systems - Arc Angel
Quilt - Plaza
She And Him - Christmas Party
Skee Mask - Shred
Steven Julien - Fallen
The Luyas - Says You
The Naked And Famous - Simple Forms
PS
今年は洋楽レビュー記事を書きたいとは思ってますが、
自分の環境がいろいろ変わったのもあり今の所は未定です。
10→06位はこちら
★05→01位
05.Deathspell Omega - The Synarchy of Molten Bones
不穏で邪悪で不気味で得体の知れない何かが、
暗躍しつつ暴れ狂い蠢いてる雰囲気がある、
独特の暗黒美と畏敬の美に溢れている、
プログレッシブアートブラックメタル作品。
ブラックメタル界の「這いよる混沌」ことDeathspell Omegaの、
全4曲で30分弱の久しぶりのLP扱いの作品なんですが、
とても30分弱の作品とは思えないくらいに、
音数や情報量の密度が半端無い、
濃密で濃厚な作品になっており、
芸術的で知的とも言える、
緩急の効いた変幻自在で緻密な曲構成は一切の隙が無く、
邪悪なアルペジオや不協和音を巧みに使った緊張感とフック溢れるギターと、
複雑でセンス溢れる手数半端無い嵐のようなドラムと、
土台を支えつつ地べたを這いずり回るベースが、
混然一体となり緩急付けつつ縦横無尽に暴れ狂い蠢く様は、
「畏怖の対象の得体のしれない何か」が暗躍しつつ襲い掛かってくるようで、
聞いてるとその「何か」の内部に引き摺り込まれて取り込まれ、
「何か」へと同化していく感覚すらありますね…

神話や宗教や哲学をベースにした邪悪で攻撃的な詞も見事に嵌っており、
こういう音楽作品では一種の究極の形だと思うし、
音楽でありながら生きているようというか、
知性に呼吸や息遣いに怒りや悲観や嘆きなどの感情みたいな物すら感じるので、
これは音楽作品という名の一種の「生物」とも言えるかも…

正に異形で異端の音楽であり、
独特の暗黒美と畏怖の念と畏敬の美に溢れた「闇の芸術作品」だと思う。
04.Demdike Stare - Wonderland
エクスペリメンタル/ミニマル/テクノ/ジャングル/ポストダブ/ダークアンビエント作品。
今回はアートワークが今までとは毛色が違うので、
音楽性も変化してるのは予想していたとはいえ、
序盤はクラブでも受けそうな要素やお洒落感があり、
今まであったオカルト臭や暗黒舞踊感が薄くて驚くんですが、
だんだんDemdike Stareらしさが出て来るように、
結果的にDemdike Stareの魅力を存分に堪能出来ると同時に、
Demdike Stareの新たな可能性を感じられるという、
興味深くて素晴らしい作品になってますよ!

お馴染みのダークアンビエント要素やポストダブ要素も存分にありますが、
今作はジャングル要素が色濃く見られ、
途中にブレイクコア要素すらあるように、
かなり挑戦的で実験的でいて意欲作で、
独特の緊張感漂う中、
アッパーでミニマルな反復と、
ダークアンビエントの相互作用から来る、
不思議な高揚感はヤバいですし、
曲の中でいろんな世界に行き来してるようなトリップ感があり、
LFOを連想させるところがあったり、
Autechre的なIDM要素や、
Aphex Twin的なアンビエント要素があったりなどなど、
過去のテクノミュージックへの敬愛も感じ取れますし、
今までほど内向きで閉鎖的でなく、
開放的とまで言わないまでも、
外向きな要素もある作品に聞こえるように、
外に目を向けた事で得たアイデアが作品に滲み出てるのですが、
それが今までのDemdike Stareと良い化学反応を起こして、
明らかに才能が更に開花した感がありますし、
Demdike Stareが進化&深化した印象を強く感じます。
おまけの「TESTPRESSINGS」と名付けられている2枚も、
かなり実験的で意欲的で興味深い内容ですし、
これからも奇才Demdike Stareからは目が離せない。
03.Meshuggah - The Violent Sleep of Reason
複雑で変態的なリズムとポリリズムの嵐の曲構成の、
深遠なジェント/マスコア/プログレメタル作品。
唯一無二。
聞けばすぐにMeshuggahと分かる圧倒的なまでの個性に溢れてる。
MeshuggahによるMeshuggahでしかない作品。
今までの集大成的な雰囲気もある。
でもそれでいて今までの作品とは一味も二味も違うんですよねー!

比較的ストレートな作風だった前作からの反動なのか、
演奏や構成が過去最高に多彩で数学的で、
今までで一番プログレっぽさがありつつ、
複雑で変拍子だらけの変態なリズムのユニゾンプレイは勿論、
楽器ごとでリズムや拍子変えたり、
複雑でテクニカルなプレイしたりとやりたい放題で、
時にはあまりの複雑さに笑ってしまうくらいですし、
4拍子とかキャッチーとか「クソ喰らえ!」とばかりに、
緻密で複雑で変拍子&ポリリズムだらけの曲の構成は、
正に「ポリリズムの鬼」という名に相応しく、
独特のリズムの気持ち悪さから来る、
独特の気持ち良さも最高で、
後半にはアンビエント要素やポストメタル的な要素がある曲もあり、
今までも聞いてると小宇宙が見えてくるような深遠な音世界でしたが、
今回は別次元の宇宙が見える様な作品で、
今までの要素も多分に入ってるものの、
今までの作品とは違う意味で凄い作品であり、
更に深化してしまった感がある…

最初から前人未踏の地に居たのに、
更に奥の奥まで進んでしまうとかどんだけーw

いつも通り未来の人類と機械(テクノロジー)の関係性をメインテーマにした、
様々な考察や警告や皮肉が入った知的な歌詞は相変わらず興味深くて良いですし、
非常に数学的な内容で頭で聞く音楽の最たる作品でいて、
グルーブ中心にリズムを浴びるようにも聞けるという興味深い内容で、
2ndから4thはどれも違う意味でそれぞれ凄かったですが
今作も間違いなくその域の凄い作品だと思う。
02.Radiohead - A Moon Shaped Pool
ジャンルという概念を超越した感がある、
オルタナ/エクスペリメンタル/アート作品。
オーケストラのストリングスを大胆に取り入れ、
2000年以降のRadioheadの集大成的な雰囲気がありつつも、
今のRadioheadが存分に詰まってる魅力的な作品で、
政治的な側面も見えるパーソナルで抽象的な歌詞に、
気高く独特で孤高の美しさがあるメロディーに、
一つ一つの音の説得力が半端無くて、
アレンジや構成に一切の無駄を感じない曲。
あるべき所にあるべき音があるというか、
全てのピースが収まるべき所にピタリと嵌ってる。
これまでやってきた事の「結果」と「成果」が感じられると同時に、
新たな可能性さえも感じ取れるのがまた末恐ろしいですし、
元々ジャンルに縛られない感ありましたが、
今作はジャンルという概念を超越した感がありますし、
良い意味で掴み所がない魅力に溢れており、
改めてRadioheadの凄さが再認識出来る作品ですね。
「In Rainbows」や「Amnesiac」とは違う意味で並ぶ作品…それ以上の作品かも。
01.High Highs - Cascades
淡く切なく儚く物憂げで美しくて愛おしい、
ロマンティックでメランコリックな、
インディーロック/ニューウェイヴ/ドリームポップ作品。
一枚ヴェールを被っているような少しぼやけた音像に、
周囲が霧に包まれて遠くまでは見えないような
リヴァーヴが効いた音場に、
暗いとも明るいとも言えない独特の淡い雰囲気に
音数少な目でシンプルで洗練されたアレンジに、
メランコリックで儚いメロディーに、
シンプルで切ない歌詞。
幻想的でドリーミーでありつつ、
物憂げで現実っぽさもあるという、
バランス感は絶妙ですし、
儚さの中にある愛おしさみたいな物が、
感じ取れるのが実に良い!

どれだけ後悔しようが過去には戻れない。
成功することもあれば失敗もするし、
喜んだり落ち込んだりを人は繰り返す。
そして人はそれを懐かしんだり後悔したりします。
そんな人生の切なさが今作には感じ取れるし、
同時に過去を慈しむような雰囲気もあるので、
「メランコリックで愛おしい」という、
不思議なバランス感があるんだよねー!

客観的に見れば粗い部分や緩い部分もあるので、
これより完成度が高い作品はあるかもですが、
主観的に見れば、
こういう系統の音楽ではWild Nothingの1st以来のヒット作で、
個人的には全てが「つぼ」なのもあり、
文句無しに2016年で一番胸に響いた一番好きな作品です。
★結果
20.Whitney - Light Upon the Lake
19.Animals as Leaders - The Madness of Many
18.Mourn - Ha, Ha, He.
17.Claustrofobia - Download Hatred
16.The HellFreaks - Astoria
15.Aesop Rock - The Impossible Kid
14.Promenade - Noi Al Dir Di Noi
13.Columbus - Spring Forever
12.A Tribe Called Quest - We got it from Here...Thank You 4 Your service
11.Dark Suns - Everchild
10.Belua - As Good A Time As Any
09.Solange - A Seat at the Table
08.Car SeatHeadrest - Teens of Denial
07.Deakin - Sleep Cycle
06.Anderson.Paak - Malibu
05.Deathspell Omega - The Synarchy of Molten Bones
04.Demdike Stare - Wonderland
03.Meshuggah - The Violent Sleep of Reason
02.Radiohead - A Moon Shaped Pool
01.High Highs - Cascades
★総括
まずはマイノリティを自負してる自分的には、
有名所も入りながらマイナー所も多く入りつつ、
多種多様なジャンルが入り混じってるという、
カオスなランキングになって良かったなとww

共感する人はまず居ないだろうねwwww
でも変で面白くて興味深いランキングにはなりましたし個人的には満足ですw

閑話休題。
2016年は2015年同様に「当たり年」で良い作品が多くあって、
特にインディー系で面白い&良い作品が多かった印象がありますが、
いろんなジャンルで良い作品や興味深い作品がありましたし、
新人、中堅、ベテランで各々良い作品があったように、
「バランス」みたいのが凄い良かった年だった気がする。
そして例年以上にベテランや中堅クラスのバンドで凄い作品が多く、
長い事やってるのにまだこれだけの作品を作れることに感服しましたし、
過去最高レベルと言えるような物まであったのは本当に嬉しい驚きでした。
年とっても頑張れるもんですね。よいよい。
2017年も若手からベテランまで良作が沢山作られるといいな~

ちなみにそんなベテランの中で、
EP扱いなんで今回のランキングには選出してませんが、
特にヤバかった作品があるので、
最後にその作品のレビュー記事を総括の締めとして書きます。
◆Autechre - elseq 1-5
IDMの王様ことAutechreの、
合計時間4時間強のEP5枚組の作品なんですが、
Autechreの才能が湯水のように溢れ出ていてとにかくヤバい!!

メロディーは皆無で只管にビートをぶつけつつ、
コラージュのようにいろんな音(ノイズ含む)が浴びせられて塗されていく様は、
理屈とか通り越して実に凄い!!

使っていない脳の一部が覚醒するぜw!

やっと音楽界で数人しかいない「鬼才」のAutechreさんが「少し」本気になりましたね!

名作と誉れ高い「Confield」以降もいくつか作品出してましたが、
過去の名作群に比べると物足りない内容で、
ぶっちゃけAutechreはもう終わったとすら思っていたのですが、
↑の曲聞いてぶっ飛んで作品買ったら、
「Gantz Graf」以来となるであろう衝撃があり、
他の曲も先鋭的で半端無くて「何だこれは!!!!」とw

人知を超えているというか正に異次元…

しかも今作はとりあえずアイデアを片っ端から突っ込んでみたような、
遊び半分で作った感が少なからず感じられるように、
細部まで深く考えて作ってはないように聞こえるので、
まだ本気(100%)ではない感があるんだよね…

Autechreの作品はいつも時代の数年先を行っており、
特に2000年代前半はあまりに先鋭的で、
「いつまでたっても時代が追いつかない音楽」だったのですが、
ここ数年でいろんな先鋭的なエレクトロニック/テクノ音楽も多く出て来ましたし、
Autechreにも追いついてきた感あったのに、
今作でまた数年先に行ってしまった感ありますねw
一応上記したようにEP5枚組扱いなんであえてランキングには入れませんでしたが、
個人的には2016年で一番の衝撃作で問題作であり重要作品だと思う。
おまけ
◆惜しくもランキングには入らなかったけど好きでよく聞いたor良かった作品20枚(EPや企画盤含む&Autechre除く)
Anaal Nathrakh - The Whole Of The Law
Architects - All Our Gods Have Abandoned Us
Blood Orange - Freetown Sound
Deftones - Gore
Drake - Views
EZTV - High In Place
James Blake - The Colour in Anything
Julianna Barwick - Will
Kendrick Lamar - untitled unmastered
Liima - ii
Madder Mortem - Red In Tooth And Claw
Matmos - Ultimate Care II
Oathbreaker - Rheia
Planetary Assault Systems - Arc Angel
Quilt - Plaza
She And Him - Christmas Party
Skee Mask - Shred
Steven Julien - Fallen
The Luyas - Says You
The Naked And Famous - Simple Forms
PS
今年は洋楽レビュー記事を書きたいとは思ってますが、
自分の環境がいろいろ変わったのもあり今の所は未定です。