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A Perfect Circle - TalkTalk (日本語訳付き曲解説)

2023-11-22 14:00:14 | 日本語訳付きの曲解説
好きな洋楽の日本語訳(和訳)付き曲解説。


※他の日本語訳(和訳)付き曲解説記事はこちら。



今回紹介するのは、
数多くある反戦ソングでも良い意味で捻くれた視点からの、
「冷たくて現実的」で「神様気取りの人と偽善者への皮肉」に溢れた歌詞の、
ダークで深遠で洗練されていて社会的で政治的で宗教色もあって、
どこか「達観」してるような雰囲気すらある
2018年に発表された「A Perfect Circle」の「TalkTalk」という曲です。


なお歌詞の中に出て来る
「Like cake in a crisis(危機がケーキの中に入っているよう)」は意訳して日本語変換にすると
「頭がお花畑のよう」みたいな感じのニュアンスだと思われますし、
「Problem」は直訳すると「問題」ですが、
正確には「原因や解決策がある問題」に対して使われます。
細かいニュアンスの補足ですが、
知ってると知らないでは大きく違うので一応補足しておきます。


あとMVでは人が「青と赤のタコ」をずっと持っているのですが、
アメリカでは共和党が「赤」民主党が「青」というように色分けされていますし、
タコはユダヤ教やイスラム教など宗教によっては食べるのを禁止していたりするように、
欧米の一部でタコは「悪魔の化身」と言われています。
ここを頭に入れてMVを見る&歌詞を読むと違った見方が出来るので、
こちらも一応補足として書いておきます。




※ブラックユーモア満載でダークな歌詞なんで、
そういうものが苦手な方はご注意下さい&自己責任で見て下さい!




◆A Perfect Circle - TalkTalk

You're waiting on miracles
(君は待っている、奇跡が起こるのを)
We're bleeding out
(私達は血を流している)
Thoughts and prayers
(思い…そして祈り)
Adorable (Crisis…)
(愛らしい)(危機…)
Like cake in a crisis
(危機がケーキの中にあるみたいだ)
We're bleeding out
(私達は血を流している)

While you deliberate
(じっくりと考えている間に)
Bodies accumulate
(死体が溜まっていく)

Sit and talk like Jesus
(神様のように座って話す)
Try walking like Jesus
(神様のように歩いてみようとする)
Sit and talk like Jesus
(神様のように座って話す)
Talk like Jesus
(神様が話すように)
Talk, talk, talk, talk
(話す、話す、話す、話す)
Get the fuck out of my way
(邪魔だから消え失せろ(=邪魔だから道を開けろ)

Don't be the problem, be the solution
(問題にならないでくれ、解決策になってくれ)
Don't be the problem, be the solution
(問題にならないでくれ、解決策になってくれ)
Don't be the problem, be the solution
(問題にならないでくれ、解決策になってくれ)
Problem, problem, problem, problem
(解決されるべき)問題、問題、問題、問題、問題)

Faith without works is
(行動無き信仰は)
Talk without works is
(労働が伴わない話は)
Faith without works is
(行動無き信念は)
Dead, dead, dead, dead
(死んだ、死んだ、死んだ、死んだ)

Sit and talk like Jesus
(神様のように座って話す)
Try walking like Jesus
(神様のように歩いてみようとする)
Sit and talk like Jesus
(神様のように座って話す)
Try walking like Jesus
(神様のように歩いてみようとする)

Try braving the rain
(雨に立ち向かう)
Try lifting the stone
(石を持ち上げてみる)
Try extending a hand
(手を差し伸べてみる)
Try walking your talk or get the fuck out of my way
(歩み寄って話すのか邪魔せずに道を開けておくかだ)











安全な場所から偉そうに指示したり意見するという行為は、
まるで「神様」のようであり、
奇跡を願って祈るという行為は、
当事者からしたら(皮肉的な意味で)「愛らしい行為」でしかない。

話したり祈っている間にも人は死んでいく。

神のように救う気が無いのなら黙って消え失せろ。







戦地とは離れた場所でふんぞり返って指示だけしている
「神様気取り」の人を批判しつつも、
祈ったりするという行為では争いからは逃れられないように、
当事者や行動している人からすれば「何もしていない」と同義であり、
「祈ってるだけで救われる&現状が変わると思ってるの?」や、
「本当に私達を救いたいと思ってるのか?」という痛烈な皮肉を込めた問題提起をしているように、
(※これは主に行動出来る財力や影響力があるのに口だけで何もしない「有名人」に向けられています)
気持ちを言葉にするのは簡単だけど実際に行動する事は難しい訳であり、
正に「言うは易し行うは難し」ですよねー。
でも途中から歌詞が何かを決意して行動しようとしている人視点になるように、
(※行動する決意をしたから行動無き信仰&労働無き話は「死んだ」わけです)
この曲は神様気取りで何も行動しないのに偉そうにしている人を揶揄しつつ、
同時に神様のように救う気がある人の気持ちも歌ってるという、
一種のダブルミーニング的にもなっているんだよねー!
サビは同じ歌詞なのに1回目と2回目では意味合いが全く違います。

全体的ダークで皮肉にも溢れているけど、
行動しようと決心した人を讃えている&鼓舞してる感じもあるように、
決してダークなだけでは無くて、
歌詞にある通り「解決策になってくれ」という意味合いもあるという
バランス感が実に知的でお見事!


しかもこの曲が発表されたのは「2018年」なんで、
当時大統領になって神様のように振舞っていた「ドナルド・トランプ」批判や、
MV見れば特に顕著ですが、
政治闘争や自分の保身ばかり&口では偉そうな事を言うけど何もしない
「アメリカの政治(政治家)批判」や「専門家&著名人批判」の側面もありますし、
現在のロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの紛争(パレスチナ問題)にも繋がるように、
今聞くと更に深く聞けると思うし、
そもそも歌詞自体が「神様みたい」な視点の部分があるように、
自虐的なユーモアもあるので、
人類&宗教そのものを揶揄している感があるのもよき!


あと結局「祈る」という行為は何もする事が出来ない時の「最終手段」であり、
流石に戦争で苦しんでる海外の人の所に行くのは一般人には難しいとはいえ、
身近で大切な人が病気で死に直面していたり、
何かに対して苦しんでいる兆候が見られるのなら、
口で言ったり思ったりしているのでは無くて、
素早く行動しないといけないなという戒めにもなるので、
ある意味「毒の効いた説法」みたい歌詞とも言えるし、
それこそ少し最後の歌詞に準えて言うなら、
雨が降って濡れている人が居たら傘を差してあげる。
重い物を持って大変そうにしている人が居たら一緒に持ってあげる。
助けを求めていたら手を差し伸べてあげる。
そういう事が自然に出来る社会こそが本当の意味で豊かなんでしょうね…


…閑話休題。


曲自体ポストロックとプログレ要素のあるオルタナロックなんですが、
最初はゆったりフワフワしたドリーミーな感じながら、
サビ前~サビで現実感や緊張感が出て来て、
間奏で感情が爆発するような感じの構成で、
リズムが6拍子だったり変拍子になったり転調したりと、
一般的に馴染みの無い雰囲気なのもあり、
若干の難解な感じはあるでしょうが、
聞いていると不思議な感じがする神秘性のある曲というか、
歌詞のように神様が天から見下ろしているような
「達観」しているような雰囲気があるのが特徴的で魅力的ですし、
緩急とフックのある巧さ溢れる演奏も素晴らしいし(特にドラム)、
ボーカルの「Maynard James Keenan」の
良い意味でゾッとするような現実を淡々と伝えているようなクールな感じの歌声と、
「1:54~」に願い乞うような歌い方に、
サビの進むに連れて感情が出て来る&アグレシッヴになっていく
熱のこもった歌声との使い分けなんかも実に素晴らしく
この人の言葉の選び方&言葉を伝える能力…
言葉に意味を持たせるセンスや能力は本当に凄いと思う。
唯一無二&天才!







PS
歌詞とMV見れば何となく伝わるでしょうが、
このバンドの主要メンバーでボーカルで歌詞も書いている「Maynard James Keenan」は
アートスクール出身のインテリでワインマニアでコメディアン経験や軍隊入隊経験があってグレイシー柔術を体得していて、
ペットショップ勤務経験もあって犬好きなんですが、
自分の家ではあえて犬では無くて猫を飼っているという、
超捻くれ者&変わり者&異色の経歴&知的で皮肉屋の人だったりしますw
そんな「Maynard James Keenan」のメインバンドである「TOOL」は
アメリカだけでアルバム通算1000万枚以上の売り上げがありますし、
アメリカでは「Maynard James Keenan」と「TOOL」を神と崇めているような信奉者も居たりします。
なおその「TOOL」は「A Perfect Circle」と比べると
何倍も芸術的で難解で変拍子だらけでキャッチーさは皆無なんで、
プログレ好きで難解で変な音楽好き以外にはお勧めしませんが、
個人的には「A Perfect Circle」より好きだったりします。


TOOL - Pneuma (Audio)



TOOL - Schism (Official Video)

↑の「Schism」は家族や恋人や友人など「愛している人との関係性」に付いての歌詞だと思われますが、
人間の関係性全てに言える事も多くあるので、
いずれ日本語訳付き曲解説記事を書きたい…

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