
◉ 断腸花(だんちようか)
手拭に紅のつきてや秋海棠 ・・・・・ 支 考 [東西夜話]
花伏して柄に朝日さす秋海棠 ・・・・・ 渡辺水巴 [水巴句集]
病める手の爪美しや秋海棠 ・・・・・ 杉田久女 [杉田久女句集]
強い日ざしの陰にひっそりと咲く花は、
全体が多肉質でみずみずしく、
大きめのハート形をした緑の葉、
淡い赤味を帯びた細く長い花柄に淡紅色の花を下垂して付け、
控え目のなかに艶やかな風情を漂わせています。
俯いて雨に濡れている姿は、
憂いを秘めた美女に譬えられています。
古くから文人にこのまれ、
茶花や庭にも植えて親しまれています。
作家の永井荷風は腸を病んでいた事とこの花が好きだったので、
居宅を断腸亭と名付けたそうです。
江戸時代の初めに観賞用に渡来したと言われますが、
いまでは日陰の湿地に野生化しています。
花の咲く様子を、仏像の首飾りの名に例えて瓔珞草(ようらくそう)、
愛する人を待ち侘び、流した悲しみの涙から生えたという伝説から断腸花(だんちょうか)、
などの別名があります。
[ シュウカイドウ科シュウカイドウ属の多年草、中国南部原産 ]
雨のやむ気配となりぬ秋海棠 ・・・・・ みなみ
丈夫で、ほとんど手がかからず、よく殖えます。
強い日ざしの陰にひっそりと咲く淡紅色の花は、
可愛い慎ましやかな風情を漂わせています。
シュウカイドウ (秋海棠)
江戸時代初めに渡来したといわれ、
半日陰で湿り気のある所を好みます。
草丈は、約60cm。
耐寒性があり、全体が多肉質でみずみずしく、
塊根から伸びた茎は、赤みを帯び直立してよく分岐します。
葉は、柄を持ち、大きく長卵状の心形で先がとがり、
縁に細かい鋸歯(きょし)があり、互生します。
花期は、8~9月。
茎または分岐した枝から花柄を出し、
淡紅色の2枚の小さい花弁と2枚の広いガク片をもつ 単性花を多数付けます。
花が終わるころ、
葉の付け根に珠芽(むかご)を付け、落下して新しい苗となります。
山野の傾斜地などに半野生化しているのを見かけます。
文人や画人に好まれ、
茶花や庭園の下草などに古くから重用されています。
名は、漢名の音読み。花の色が春に咲く海棠と似ていて、
秋に咲くので付いたそうです。
別名 ; ダンチョウカ(断腸花)・ヨウラクソウ(瓔珞草) 2016/09/10 撮影
2006/09/23 撮影