歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

眠りに落ちる瞬間に幸福感が訪れるのは、もう死んでもいいということなのだろう。

2020-02-01 | その他
梅雨のような1月が終わった。
朝、7時30分。ベッドから起き上がる。
何もすることがない1日の始まりは15歳になる前の子供のように美しく逞しい。
しばらくの間こんな朝を迎えたことはなかった。
不安という電車は時間どおりにやってきて、その電車に乗り込むことに躊躇はなかった。
いずれにしても自らが選んだ暮らしぶりだったし、他人にせがまれていやいや繰り返した日々ではなかった。
でも、ポケットに詰め込んだままの札束が邪魔だった。

クロスロードはどんな場所にもあって、迷いなくいきたい方向とは逆の方向を選択してきた。
どうしてなのかはいまだにわからない。
ただ、迷う前に体が自らの意思に反して動き始めるのだった。

もう、あれから8年の時が流れた。
僕は相変わらず、誰かのためなのだと自分に言い聞かせて、
この道を歩いてきた。でも、時々はムカついたりしながらも、
周りの人間の微笑みに忠実に正確に
ベテランのタクシー運転手のように柔和な声で返事をしてきた。
だから、許してもらえるのではないかと、綿菓子のように考えている。

自分の気持ちに正直に、誰も気が付かぬ本物の自分らしく
今持っているエネルギーを使い果たそうとしている。

勇気は使わないと消失してしまうのだから・・・・




暁までは時間がある。睡魔はやって来ない。

2020-01-22 | その他
ひと仕事終えて剥製師が内蔵を見事に取り除き一息付いているような気分だった。電車の窓からは暗闇しか見えないけれど気分を落ち着けるには程よい暗さだった。何事も起こらない日々よりは面倒でも刺激的な毎日がいいなんて言う奴らは木下サーカスのピエロのように下品な笑いで人生を誤魔化している。猫は見ず知らず家の窓で僕を見下ろすだけで微笑まない。でも、今夜の僕は6時間の手術を終えた外科医の気分。患者の容態など構うものか。生き続ける奴は生き続ける。手術などしないのだ。とにかく満足した顔をした僕を誰かが嘲笑っても怒りは沸き上がらない。
不思議な気分。
人に嫌われることばかり気にしていたって何も終わらないし始まりもしないのだ。

昔誰かが言った。
あんたがどれだけがんばってやったことだって、アンタの悪口は言うのよ。
そんな奴のことばっかり聞いていてはダメよ。まるっきり逆じゃない。それは…ね。

渋谷の駅の銅像になった犬になりたいの?

キツイ一言だった。たけど、やっぱり犬だけにはなりたくないのだ。
そう思い詰めて、生きてきた。

なんだかホントの友達には会えなかったとしてもいいではないか。
いい加減な奴らと口をあわさて生きているより、探し求めて彷徨う方がいいにきまっているのだから。たとえ巡り会うことのない人生だったとしてもだ。

さて、明日目覚めがやってきたとしたらどんな映画を観ようか。


先月で会社を辞めた。

2020-01-07 | 日記
なんでもそうだけれど、引き際が肝心。
7年働いた。重篤疾患に悩まされて、人間関係に煩わされ、幸せ感など微塵もありはしなかった。
毎日、行く場所があると言うことは幸せなことなんだよ。そんな戯言に騙されるフリをしていた。それが心地よかった。確かにそうなんだ。なにかれなしに周りに気を使って日々過ごすのは優越感に浸れるからね。他人を利用して至福の時を過ごそうなんて、なんともはや傲慢で優しさの押売員のようだ。そんな事にやっと気がついた。
歳を重ねる度に自分の思い描く人間になり損ねて行く。
ほとほとアイソが尽きて辞めた。

さて、何をするかな?
何をすれば僕は喜ぶのかな?

雨が降り止むまで考えよう。





終わりは始まり。そんなに大したことでもなく・・・

2019-12-21 | 音楽
ほぼほぼ1年を費やした。
ライブが終わった。

出演バンドを検討し話を繰り返しして、つべこべと言い合い、自問自答と説得と食い違いの修正。
ライブスタッフとのPAと照明と進行スケジュールのすったもんだ。
意見の食い違い。誤解の解凍。
すべては自分の思い通りにするための膨大な時間の消費。
バンドのセットリストの検討とリハーサル。他の2バンドの個性を活かせるシーンの創生。
何よりもモチベーションを高めるためのコミュニケーション。
MCネタの取材と原稿起こし。

どれもこれもが面倒なことばかり。
ストレスが溜り、苛立ちを鎮めるための飲酒。
それの一つ一つを誰にも悟られてはならない。
そんなことを多くの失敗を重ねて自らの体に染み込ませた。

どんなシーンに出くわしたとしても身体が自然に動かなければ理解していることにはならない。
頭で考えてはいけない。だって、そんな時間もないのだから。
現場は厳しい。

閃き・・・そんな幼稚な言葉を発する人に、僕の言葉は届かない。
それでいいのだ。

ステージのライトが落とされて
ライブが始まる。


開演前の注意事項とゲストバンドを紹介する。
客は62人。ちょうど手ごろな人数。反応は悪くはない。
マイクを握る手に汗はなかった。
思いのほか冷静にスタートを切った。
そんなことに容易く気が付いた僕は感性のアクセルを強く踏み込む。
笑いと嬌声と拍手。そして数少ない沈黙。

これでいいんだ。と、嘯く。

ゲストバンドの演奏を舞台の袖で息を潜めて聴き入る。
1曲が終わった後の観客の反応を覗う。


上々の反応を確かめ、楽屋を出て外に出た。

六本木はもはや昔の六本木ではなかったが、日曜日にしては静かな街並みだった。

ライブをヤル訳なんてないんだが

2019-10-29 | 音楽
12歳の時、バンドを組んだ。
フラメンコギターが好きでベロベロ一人で弾いていたら中学の女教師に声をかけられた。文化祭で弾きなさいよ。
とても嫌だった。でもその女の先生は思いの外粘り強く演奏する羽目に陥った。
一人じゃ嫌だと駄々をこねて仲間を、集めた。何人が舞台に上がったのかは覚えていない。結果は惨澹たるもので、誰も聴きになんか来なかったんだ。
酷く落ち込んだのは確かだった。僕はどうでもよかったのだが誘った友達のひとりがかわいそうだった。彼が一番うまかったからなんだ。暫くは口もきいてもらえなかった。そういえば彼もこの世にはいない。天才は若死するのが世の常だ。三十前半ぐらいで死ぬのがちょうどいい。美しく思い出として記憶に残ってしまうからね。60歳も過ぎて死ぬと、醜さしか残らない。周りの人たちの頭の中にはね。

そう、ライブの話しだ。
いまのメンバーとバンドを始めたのは60歳を超えてからだ。
ロック好きの50歳代と40歳の男が寄り集まって、歌や演奏の下手さに飽きることなくバカでかい音で70年代ロックを演奏する。聴いてる人のことなど目もくれずに演奏する。自分が死ぬほど好きな曲を、死ぬまでに一度だけみんなの前で歌いたい。そんな気分が共通項なのだった。
しかし、人間の関係は厄介だ。趣味の世界が故なのだ。好き嫌いが先行する。演奏のヘタウマなど関係なくて、会話の良し悪しが全てに影響するのだ。

鷹揚な気持ちが無くてはならない。にも関わらずストレスが重なってしまう。
簡単な話しなのだ。
そう、つまりはピンになるだけなのだ。