歳を重ねると楽しいとか賢くなるとか・・・・みんな戯言なんだよ。

感じるままに、赴くままに、流れて雲のごとし

何もかも忘れてしまいたいことはあるけれど・・・

2013-03-11 | 日記
そう言えばあの日、ぼくは新宿にいたんだ。
仕事の打ち合わせが終わって、新宿三丁目のイシバシ楽器に寄ったんだ。
4階のアコースティックギター売り場でマーティンの中古入っていないかな?
なんて呑気にぶらついていた。
2階の売り場まで、エレベーターでと思ったけれど、なぜか階段で降りた。
2階フロァーに入った途端、グラッツて来た。
強烈な横揺れだった。一瞬何が起こったのかわからなかった。
でも、地震なんだ!て、思ったけれど長く揺れ続けるから、少し怖くなった。
地震は直下型のドッカーン!と来るぞ、なんてイメージが頭の中にあったから瞬間的に大丈夫?
なんて思った。そう思っている間も揺れ続けた。
ほんとに、長かった。でも、大丈夫、千葉か静岡か・・・震源地はそんなところだ。
なんて、勝手に想像しながら、ビルの外に出た。

出た瞬間、これはヤバいぞ!なんて思った。
新宿通りは人で溢れていたんだ。

みんな思い思いに空を見上げていた。
四谷方面に目を向けたら、ビルが揺れていた。
遠近法で、それこそビルがぶつかり合っているように見えた。

頭の中で想像するより、目の前にする現象は激しい。
視覚は強烈に五感わ刺激して、現実よりも大袈裟に脳髄を刺激する。
自分の身を守ろうとする意識がいつもあるから現実よりも低いイメージを植え付けようとするんだろう。
けれど、目の前に起こっていることを目の当たりにすると・・・・制御不能となる。

パニックが起きる。
ひとりで。

地下鉄は止まっている。
勝手に決め込んで、会社のある麹町方面に歩き始めた。
すでに歩道は人で溢れ、ほとんどの人々は、新宿方面に向かって歩いている。
ぼくとは正反対の方向だ。
そして、歩きながらう家へ電話を入れた。
通じなかった。何度かかけなおすうちに不安が募り始める。
妻と話ができたのは、会社に着いてからだった。
ケータイなどはあてにはならないなぁ~!とその時思った。
すべては自力だ。
麹町から横浜の日吉まで、約25㌔ぐらいか・・・・
もう、そこで決めていた。
特に理由などなかった。あるとすれば、明日は土曜日だというぐらいだ。

その頃には、震源地は東北。津波の被害が想像を上回っているという情報がバンバン流れ始める。
とりあえず、自分たちでなくてよかった。
そんなことはおくびにも出さず、みんな帰宅準備を始めている。
そして、ぼくも帰る準備を始めた。


ああ、ひとは哀しいね。
他人の気持ちにはなれない。
どんな哀しみも、共有などできない。
喜びは、あんなにも分かち合えたりできるのに、
哀しみだけは無理なようだ・・・・。
どうしてだ。

まあ、そんな必要がないからなのだろう。
しかし、それはどうしてだ。

答えが知りたい。