まるで猫のように、そいつは呼びもしない時にやって来る。
甘えたフリをしながら近づいてきては、気を惹くのだ。
そして、僕が、ああ、そうなんだ、いいんだ!
なんて思った瞬間に、そんなつもりじゃなかったんだ。
そんな素振りを覗わせる。
そんな態度にどんな意味があるのか。
分からない。
僕が悪いのか?
なんてことも考えざるを得ない。
優位性の確認、愛されていることの確証?
ただの悪ふざけ?
それにしてもそうじゃない女(ヒト)がいたことを思い出す日々が続いている。
何時間も何年も時が重ならないと分からないことが多すぎる。
人は素直に向かい合えば素直になれる。
バカみたいに熱かったし、夢中だった。
ひたすら会いたくて仕方なかったし、会えば別れたくなかった。
ただただそれだけの思いがあった。
ひたすらに求めれば無条件に受け入れてくれた。
でも、僕も受け入れなければならないと思った。
あの時はムリをしてきたけれど・・・
いまは、そのムリを恋しく思う。そんな自分を愛おしく思う。
もう二度と戻らぬ時。
こんなに時間が必要だとは思わなかった