そう言えば…と思い出す事ばかりが頭の中でグルグル廻り始めていた。
別れを切り出すことはほとんどなかった。
付き合いの長さに関係なく、自然消滅が成り行き任せと言う言葉に変換され、それが彼女たちにとっても最良の事だと考えていた。
連絡をしなくなれば、連絡を取らなければ忘れてしまい、次のステージへ向かうとかんがえていた。間違いだと気付いていながらもそんな行動をあからさまにしていた。
結果的にそれでも良かった。今となっては…。決着をつけてしまえば思い出にもならない。
そんな風にしか彼女たちとの関係を、風に舞う木の葉のように思い浮かべて一人で寂しさに耐えようと決めていたようだ。
ようだった。
なんてふざけた生き方をしていたんだろう。
柔らか過ぎるベッドに横たわりなが思いを巡らしていた。
突然。部屋の電話機が鳴った。
「もしもし」
「小枝です。もう、おやすみになりましたか?」
「いや、ベッドの中でグズっています。で、どうかしましたか」
「いえ、とくになんでもないのです。なんだか私の所為で気分を悪くされたのではないかと…気になってしまって。」
確かに会話を途切れさせたままにして部屋に入ってしまった。
「悪かったです。ちょと気になる仕事を抱えていて、頭がそっちへ行ってしまったようで。申し訳なかった。すみません。」
「それならいいんです。私、気になる事を抱えたままだと寝つきが悪くなるんですの。それでは、おやすみなさい。」
「あの…その…あやすみなさい。」
電話は僕の言葉が終わらないうちに切れた。
こんな電話をさせてしまった事を悔やんだ。
そして、片方でほっとしている自分を見つけ出していた。
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