ラグビーは下手すりゃ死人が出ちゃう。
そんな野蛮なスポーツなのだ。どちらに転がるかわからない楕円形ボールを奪いあいながらの陣取りゲーム。勝負は時の運。だから戦いが終われば恨みっこ無しで…でも、そんな綺麗ごとなどない。相手を潰さなくてはボールは奪えないし、守れない。
アイルランドに勝てるなんて思わないし、ひょっとしたら…そんな事も思わない。見たいテレビ番組なんてなかった。だから見たと言う人が僕の周りに山ほどいた。俄かファンが悪わけではない。人が殺し合うのを見るのが好きなのだ。過去が証明している。傷つき疲れ果てた選手に勝者の冠は輝くけれど一瞬の輝きに過ぎない。明日は約束などされてはいない。戦いはまだまだこれからなんだ。柔軟な筋肉と俊敏な頭脳。そして強靭な心を持つ者。何よりも運の流れを掴み取る嗅覚さえあれば勝つだけなのだ。ラグビーを見る者とヤル者の差は余りにもありすぎて、残酷。人は残酷が好きなんだろう。
だからこそ、ノーサイド。そんな言葉が必要になったんだろう。