みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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『虎の尾を踏む男達』 (BS2)

2008年05月09日 | 映画(DVD含む)
 帰宅してなんとなくBSをつけたら黒地に白い文字で「源義経一行」とか「安宅の関」と出てくるんで、気になってチャンネルをそのままにしていたら、黒澤明監督の『虎の尾を踏む男達』という映画でした。能『安宅』や歌舞伎『勧進帳』でおなじみ(?)の部分の映画で59分という黒澤映画では一番短い上映時間のようです。終戦の年に作られたのですが、戦後GHQの検閲にひっかかりサンフランシスコ条約締結後に公開されたという作品だそうです。

 映画の筋に関してはもう分かっていることですが、筋はお能や歌舞伎と同じです。セットはもっとより具体的ですが。(といっても、山道とか関所とか山道とか・・・ですが^^;)
 私が面白いなと思ったのが、能の謡の詞章が普通の音楽(なんと言えばいいのだろうか?歌?)にアレンジされていたことでしょうか。映画が終わった後の解説によるとミュージカル調とか?!うん、確かに元ネタは和製ミュージカル?!というか、歌舞伎などは音楽的要素もすばらしいお芝居になっていますからね、改めてそちらの良さも感じたりしました。映画では「旅の衣は鈴懸の~♪」とかメロディついた歌になっちゃってます。山伏問答などは歌舞伎を見慣れていると、現代的口調があっさり聞こえます(笑)けど、勧進帳読み上げの弁慶の迫力はすばらしいです。強力でエノケン(ちゃんと見たのはこれが初めてかも)が出てきますが、こちらは思ったよりもかなり出番があります。ユニークでおもしろくはあるんですが、最後はえええ!!!あれは強力じゃなくて弁慶じゃなきゃ!!!と思ったのは私だけ?!(^^;。他にもこの台詞を富樫じゃなくて関守に言わせているのね、とかそういう比較ばっかりしてました(苦笑)ちなみに義経の岩井半四郎は綺麗です。

 なかなか面白かったです。話の筋は分かっているのに、夢中になって見ていました(笑)自分がこのネタが好きだし、先日も舞台で『安宅』を打ったからかもしれません。『安宅』のキリの最後にある詞章、

 「虎の尾を踏み、毒蛇の口を逃れたる心地して陸奥の国へぞ下りける」

 この映画のタイトルは、ここからきているのでしょう。また『安宅』を打ちたくなってしまいました(笑)そして黒澤作品もそんなに見たことがないので、いろいろ見てみようかなと思いました。