みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
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山口安次郎作 能装束 遺作展 -心と技の饗宴-

2010年10月17日 | アート・イベント
 今年2月に105歳で天寿を全うされた西陣織の山口安次郎さん作の能装束遺作展を見に三島の佐野美術館に行ってきました。5年前にも同美術館で開催されたお兄さんの伊太郎さんとの共同の展覧会に行きましたが、その職人技、美しさに大感激してしまいました。残念ながら遺作展になってしまった今回の展覧会ですが、再び間近で山口さんの能装束を拝見できることをとても楽しみにしていました。

 構成は昨年秋に京都相国寺で行われた展覧会と同名のものなので、そのときと同じなのでしょうかね?このとき企画された能の公演にて観世清和、梅若玄祥、片山九朗衛門、金剛永勤らによって使われた能装束も展示されていました。それにしても、間近で見る装束には圧倒されます。展示室に入った瞬間、別世界に入った気分です。山口さんの織る装束は、舞う人が体に馴染み、軽くて舞いやすいそうです。それは、表地の仕事だけでなく、裏地の糸の処理も丁寧にされているからとのこと。ご自身も謡を習われ、舞台に能の公演も月に数回見に行っていた能楽愛好家だった山口さんだからこそ、舞い手のことを考えて作ることができるのだろうなと思いましたし、まさに職人技という仕事ですね。


展示期間は12月23日まで。途中、一部作品の展示替えがあります。
第一期・10月16日~11月3日
第二期・11月5日~12月2日
第三期・12月3~12月23日

詳しくは佐野美術館HPをどうぞ。

 展示替えが行われたらまた足を運びたいと思っています。

 なお、能装束だけでなく、山口さんが使っていた道具、研究を重ねた糸、そして玉三郎さんら歌舞伎役者の衣装も作っていらしたので、玉三郎さんの衣装(『船弁慶』の義経)の見本もありました。
 そして、能装束のみを見てもとても美しいのですが、さらにこれを身にまとい、舞を舞い、美しく魅せることができるのは能楽師さんの腕でもあるのでしょうけれど、こうした方たちがいるからこそ、伝統芸能が支えられているのだなということも感じました。