みゆみゆの徒然日記

日本の伝統芸能から映画や本などの感想、
心に留まった風景など
私の好きなことを綴っているブログです♪

『必死剣鳥刺し』 (DVD)

2011年02月23日 | 映画(DVD含む)
 決して誇張表現ではなく、久しぶりに映画を見て「」こんな顔になりました。近年映画化されている藤沢周平原作の映画『たそがれ清兵衛』『隠し剣鬼の爪』『蝉しぐれ』『武士の一分』を見ました。この中での一番のお気に入りは『たそがれ清兵衛』なのですが、これらとは違う凄みがこの映画にはありました。

【あらすじ】必死剣鳥刺し - goo 映画より引用。
時は江戸。東北は海坂藩の近習頭取・兼見三佐ェ門には、消そうにも消せない過去があった。物頭をつとめていた三年前、藩主・右京太夫の愛妾・連子を城中で刺し殺したのだった。最愛の妻・睦江を病で喪った三左ェ門にとって、失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地でもあった。が、意外にも寛大な処分が下され、一年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。腑に落ちない想いを抱きつつも、身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾との日々の中で三左ェ門は再び生きる力を取り戻してゆく。そんなある日、中老・津田民部から思わぬ話を持ちかけられる三左ェ門。それは、彼を天心独名流の剣豪だと知っての相談であり、“鳥刺し”という必勝の技をお上のために役立てろという秘命でもあった。その者の名は直心流の達人であり、藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正だった。そして待ち受ける隼人正との決着の日。三左ェ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく。

 お能関係者の方やファンの方たちが冒頭で能が演じられるシーンがあると話題にされていたこともあり気になっていた作品です。舞台で見たことのある方たちがちょんまげ鬘をつけてお能をやっていることが新鮮だけれども、当たり前ですが、昔はこうだったんだなぁと・・。でも拍手なんてしたのかな?とちょっと思ったり(今でも能の後の拍手がどうのこうのってあるんだから・・・)とそんなことを思ったのですが・・・。この能シーンも、単なるお殿様が鑑賞を楽しんでいるというシーンなのかな?と思っていたのですが、『殺生石』が映画のシーンを象徴していて・・・はい、そういう意味でも面白かったです!(能はキリの場面ですが見ごたえありました~)

 その『殺生石』の九尾の狐伝説は、狐が玉藻の前という美女に化け鳥羽上皇の寵愛を受けたが、実は九尾の狐ということがばれて、那須の原で討たれ殺生石となって人を何年も殺してきたが、最後には僧の弔いを受けてこれからは悪事はやめると約束して消える・・というお話。玉藻の前は連子のことなのかなと・・・。いきなりこの連子が刺し殺されるところから物語は始まります。連子が刺されたのはなぜか?そして切腹ではなく蟄居という処分だけで済んだのは・・・?

 物語自体は他の藤沢周平作品(原作は未読ですが)同様、下級武士、お上の命令で決闘などワンパターンではありますけれど、殺陣が凄かった。血が苦手な私はキツイところでもあるのですが・・・。トヨエツと吉川晃司の二人の斬り合いも、その後の一対多数の斬り合いもあまりにも現代からみると不条理で武士の物悲しさでもあるのですが(これもある種のワンパターンでもありますね)、これが凄かった。一対多数なんてシチュエーションはテレビ時代劇などと比べてしまいましたが、一人で悪者宅に乗り込んでいった主人公は全くの無傷という時代劇セオリーはこの時代劇には通用しません。後ろからも斬られます。斬られて血が出たら、段々と顔が青ざめていきます・・・。

 そして、どこで必死剣鳥刺しが出てくるのか?果たしてそれはどういう技なのか?と思いながら見ているわけですが・・・。隠し剣以上の衝撃でした!!なんでああなるのか?そればかり気になっています・・。科学的なことはよくわかりませんが、死後硬直というか神経の働きの利用?

 そして“必死”という言葉は軽々しく使えない・・・と感じました。

 この映画のトヨエツももちろん良いけれど(こういう役が合う)、吉川晃司もなかなかよかった。これからも役者としての彼に注目したくなりました。

『告白』 (DVD)

2011年02月23日 | 映画(DVD含む)
 原作は公開前に読んだ。面白かったけれど、気分が悪くなる読後感・・でも映像化されたらどうなるのかな?と興味はあったのですが、なんとなく映画館から足が遠のいていた時期でもあり、これもまたDVD鑑賞となりました。

【あらすじ】告白 - goo 映画より引用。
女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもっていた…。


 原作も一気に読んでしまったし最後が衝撃的だったのですが、私にとっては「一度読めば十分、読み返すことはないだろう」という本でした。映画の方もすごい作品だとは思うし、よく映像化したな~と思いましたが・・・・何度も見たいとは思わないです・・・。とはいえ、つまらなかったというか不満というわけではなく面白いとは思うし、原作より映画の方が出来は好きかもしれません。映画の方が含みを持たせた結末のように感じましたけど、結末も知っているし、犯人たちが引き起こしてしまう残酷な事件のはずなのに、原作(文字)で感じた気持ち悪さは思ったよりも感じなかったのは事前に物語を知っているからというのと、映像の巧さなのでしょうか。血が苦手な私としてはイヤ~な場面も何度もありましたけれど。

 冒頭から授業中にケータイというだけで個人的に怒鳴りたくなるレベルのイライラ・・・。あそこまでいかなくても、それに近いものはきっとあるし、中学生が一番多感で敏感で弱くて残酷な年代かもしれません。そして、そんな人間達たちの集団心理をよく描いていると思います。そして、自分はまだ結婚してないし子供もいないけれど、森口先生と同じ立場になったら、ああなるかもしれません。共感できる人間はいませんけれど(したらしたで怖いけど)、完全にこうならないとは限らないわけで・・・。

 そしてこれ、学校関係の人(先生)あるいは教師志望の人たちなどが見たら、仕事に行きたくなくなるというか滅入るんじゃないかなと思ってしまいました・・・