鉄崎幹人のWASABI (静岡放送)2024-11-04(月)
愛して止まないものについて語りつくす午後のテッパン
月曜日は生き物や植物、自然、農業にスポットを当てたクローズアップ生き物.
ヤマセミさん「我が家の敷地内にも観察用フジバカマが植えてあるので、今年、今日まで2匹確認できました、今年は少ないです。」
あきじろうさん「4年前から庭でフジバカマ育ててまして、アサギマダラ2羽確認できました。去年より来るのがちょっと遅い気がします。」
アサギマダラは1匹と言う人も,1羽と言う人も居ますけど僕らは、アサギマダラ蝶々は1頭2頭とよびます。僕はまだ今年は2頭ぐらいしか見てないんですけども、ただ飛来のニュースが続々とあがってましたね。
静岡市近い所だと日本平=夢テラス、吉田町=県営吉田公園、伊豆松崎町=休耕田の花畑、富士宮市下柚野(ふじのみやししもゆの)=興徳寺(バタフライ・ガーデン)、掛川市倉真地区=こんにゃく亭さんの庭、湖西市大知波峠(おおちはとうげ)=廃寺跡、など続々と確認されております。時期としては本当は10月なんで、今じゃ遅いんですけれども……。
こういう場所には必ず、『アサギマダラを守る会』的な人たちが居て、食草であるフジバカマとかヒヨドリバナとかを植えたりして寄せたり保護したりしてるんですね。
なぜこんな各地に『守る会』があるのかというと、やっぱりアサギマダラと言う蝶が生態が魅力的かつ謎に満ちた蝶だからだと思うのです。もちろんヒラヒラ舞う姿が美しいということもあるんですけども、やっぱり生態が謎過ぎて……。
アサギマダラは旅をする蝶といわれています。
秋、このシーズン、北海道~本州から南西諸島、もっと遠いと台湾、もっと遠いと中国大陸。一世代で南下していきます。春から夏にかけては、南から北へ移動します。
移動先で世代交代しながら旅をしていきます。「海を渡るんですか」「そうです」海を渡るときは海の上で休みます。
波にのって浮くんです。しかも秋というこの時季は南へ下ってるんですけどコレって逆風なんですよ、秋は偏西風が吹くでしょ?偏西風に逆らって逆風の中飛んで行くんです。
この移動距離がもう1000km以上飛びますね、どうしてこんなに小さな体で飛べるんだろう。
研究者たちによって、この渡りのルートって色々分かってきたんですけど、マーキング調査ってやるんですけどね、アサギマダラの翅に油性ペンで何処に居たか、何時か、だれが捕ったか識別情報をマジックペンで書くんですよ、後日、飛んで行った違う場所でその印の付いたアサギマダラがどっから何日かかって渡って来たか
こうやって全国各地で調査をした結果とんでもないことが分かったんですが、2011年8月北海道函館の山で確認された個体が2ヶ月後に山口県の下関で確認された。
もっとスゴイのは2011年10月に和歌山県で放たれた個体が2ヶ月後年末、香港で確認された。コレは世界第2位の記録。和歌山から香港まであの小さな体で風に逆らって飛んで行ったんだから。
「アサギマダラって寿命はどのくらい?」「長いんです実は」
成虫の時季が長いんですよ、基本的に寿命は1年です。「1年のウチ、2か月かかってそれだけ移動するってことですね。」
なんのためにこんな、長距離移動するのか?どうやって海を越えるのか?海を渡る体力をどこに蓄えているのか?見知らぬ土地の方角がどうして分かるのか?この四つが謎なんですね。謎だらけ、コレが人気の秘密なんですよね。
何故、渡りをするのかっていうことに関しては、生活に適した温度の幅が狭いので季節ごとに棲む場所を変える必要があると言われています。好みの花の開花時期に合わせて移動すると言われています。フジバカマ、ヒヨドリバナ、アザミ、こういった花が咲く時期に合わせて飛んで行く、棲む場所を変えることで規制から逃れるって説もあります。
ただこれらは全部、よく分かってないです、何で渡りをするのかわかってないんすよ、そこに居れば良いんじゃない、どこにそんな体力があるのか。
寿命は1年だけど、成虫になってから卵を産めるようになる期間が他の蝶よりも長い。成虫になってからの期間が長い。その間に交尾や産卵にエネルギーを使う必要が無い。卵を産む時期が遅い、だからエネルギーを蓄積できると言われています。成虫寿命は4~5か月しかないのですが、他の蝶に比べると長い。長い時間にわたって飛ぶこともできる。とはいえ、あんな小さな体のどこにあんなエネルギーがるあるかと思いますよ。
大事な点としてアサギマダラは鳥に捕食されないんですよ、鳥に食われない、何でかというと体内に毒を持っている。幼虫の時に食べる葉っぱから毒物物質アルカロイドを摂取して、体内に蓄積しているので鳥に食べられる恐れが無いということで安心してヒラヒラ飛んで行けるということも一つある。
「色がちょっと毒々しいってとこがありますよね」「そう、あれは警告色、毒があるヨと鳥に対しての警告色」と、いうようにホントあの小さな体で海を越えて、途中、海の上、水の上で休んで、何千キロも旅をしていく、実に謎が多く魅力的な蝶だから地域地域の人たちは、きっとね、「ガンバレ!」というエールがメチャメチャ込められてると思う。アサギマダラを守る会の人たちのエールはスゴイと思いますよ。だから途中、「ここにフジバカマ咲いてるよ、途中で蜜を吸いに来なさい」と、いっぱいいるんですね。この時季ぜひアサギマダラもうちょっと遅いですが見かけたらぜひ応援してやってください。ちなみに採集はやめて欲しいんですけど、一つのやり方として白いタオルを振ると、アサギマダラ寄ってきます。白じゃなきゃダメ、白いタオルを振ると、アサギマダラ寄ってきますんで、より身近に見れると思います。
【寄り道】
もう一つの『鉄ちゃんのアサギマダラの考察』
こちら
わんちゃんがアサギマダラに会うたんは
アサギマダラ~フジバカマ畑にて 2014-10-22
こちら
水尾の里:フジバカマ畑とアサギマダラ 2018-10-5
こちら
2010-8-31伊吹山 メタカラコウにはメス ヨツバヒヨドリにはオス
2016-8-31金剛山にて。