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沢庵漬け
コーコ(香香)といい、米糠と塩をまぜたものを、ひなびた大根にふりかけ、
四斗樽につめる。
毎年秋に、
四斗樽にコーコ2~3樽漬けた。
早く食べる分として、大根の浅漬けを一樽、白菜漬けを2~3樽であった。
漬物は主要なおかずであったので、味噌樽なども数えると10樽は並んでいたという。
「吉永町史」 吉永町史刊行委員会編 吉永町 昭和59年発行
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漬物
庶民にとっては極めて重要なおかずであった。
「糠味噌くさい」というが、家伝ともいうべき漬物の味があり、匂いがあっても主婦の腕のみせどころであった。
「岡山の食風俗」 鶴藤鹿忠 岡山文庫 昭和52年発行
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沢庵漬
笠岡市吉田では秋、畑から抜き取った大根を木にかけて干し、しなびた大根を樽に漬けるのであるが、樽の底に大根をぎっしりつめて並べ,糠と塩をまぜたものをふりかけ、適当に唐辛をむしって入れる。
二段目にまた大根を並べ、糠と塩をまぜたものを、という具合にしながら足で踏みつける。
よく踏みつけておく方がよい。
一番上にはハブサといって大根葉を並べ、その上に板または蓋をして大きな石を置き重石とする。
四斗樽に二・三本漬ける場合が多い。
味噌と違ってコーコはその年漬けた分を食べるのであって、前年のものは古ゴーコといって焚いて食べたりする。
「岡山の食風俗」 鶴藤鹿忠 岡山文庫 昭和52年発行
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捩干し
畑から抜いてきた小さい屑大根を窄るまで稲架または柿の木などに架けておく。
ネジボシとなる。
からからになるまで干す。
大根切干し
主として屑の大根を奇麗に洗って包丁で縦に二つか四つ割にして厚さ一分くらいに横に小さく切って蓆の上で干す。
糸に通して干すこともある。
乾燥した切干は保存しておいて煮つけにしたり雑魚と一緒に煮る。
提灯切り
生大根を俎板の上で、ぐるぐる回しながら包丁で切れ目を入れていく。(笠岡市吉田)
熊山町では大根の両方に棒をあて、これを斜めに切り、再び裏返して斜めに切る。
「岡山の食風俗」 鶴藤鹿忠 岡山文庫 昭和52年発行
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ちょうちん切り(大根の提灯切り)
(母の話)
大根切りのいっしゅじゃ。
いっぽん丸ごと切る。
切り干しのことじゃ。
はんぶんはまっすぐに切る。
こんどは斜めに切る。
伸びるんか確かめながら切る。
上手に切らにゃ。
焚いたらおいしいんじゃ。
春先にゃ魚・・サワラやこと・・・といっしょに焚きゃおいしいんじゃ。
大根じゃいちばんおいしいんじゃ。
今頃はひどうするもんがおるめぇ。
賀山(母の実家)にゃああればっかりしょうた。
談・2005.2.5
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(義母の話)
提灯切り(ちょうちんぎり)
春先に筍といっしょに煮物にして食びょうた。
大根を提灯切して竿に干しょうた。
独特の切り方で、
表と裏に二へん切る。
片方は垂直に輪切りして、こんどはひっくり返し半分はななめにして切りょうた。
ほしたら提灯みたいになりょうた。
薄い・厚いがないように包丁がはいっとる。
談・2019年12月22日
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「野菜まるごと辞典」 成美堂出版
ダイコン(大根)
干し野菜
野菜を干すと保存性が高まるだけでなく、水分が抜けてうまみが凝縮されます。
味が濃く、歯ごたえもよくなり、
生とは違ったおいしさ。
切ってザルなどに広げ、太陽に干すだけ。
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ダイコン
細切りや薄切りで干すと、切干大根に使える。
厚めに切ってセミドライいし、煮物や漬物にしてもOK。
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たくあんを作る
①ダイコンは洗い、そのまま並べて乾かす。
②③④葉がついたまま2本つづ束ね、風通しがよく、雨がかからない場所に干す。
10日~2週間が目安。
⑤手で曲げて「く」「つ」の字くらいがよい。
⑥柿、ミカン、リンゴの皮をよく乾燥させておく。
⑦ダイコンの葉を切り落とす。
⑧ダイコンを俎板の上でころがし、芯をやわらかくする。
⑨炒りぬか、塩、果実の皮、昆布、トウガラシを器に入れ合わせておく。
⑩容器に⑨を振り、ダイコンを入れる。
隙間なく詰め、中央にはダイコンの葉を入れる。
⑪繰り返す。
最後は残ったダイコンの葉をのせ、中ブタを入れて重石をして冷暗所へ。
重石はダイコンの2倍が目安。
⑫約1ヶ月で漬け上がる。
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糟漬け
沢庵が代表である。
暮れになると大根を抜いて洗い,葉の所を6~7本束ねて稲を干すように竿にかけて干す。
寒い風が吹かないと大根がよく乾かないので冬漬けるのが恒例であった。
塩と糠で漬けるのが基本であった。色をよくするため黄粉を入れる家もあった。
四斗樽に何杯も漬けるために、一年中漬物を買うことはなかった。
「金光町史」
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