BETTY LAVETTE / SOUVENIRS
超個人的フジロック・ベストアクト第2位!
それはベティ・ラヴェットです!
この人の歌は凄かった! 正直な話、彼女よりフジの観客を熱狂させたアーティストは山ほど居たでしょう。私のベストアクト第3位以下のアクトだってそうです。私自身の興奮度もそうだったかもしれません。しかし、じゃあ順位をつけようと思ったとき、この人の歌にかなうアーティストはそうは居なかったのです。
60年代から活動するソウル・シンガー。現在60歳を超えています。しかしそれが信じられないほどの現役振り。とにかく声の力が半端無い! そしてロック・フェスでの堂々とした歌いっぷりがまた格好良い! 1曲目はロックを意識してかどうかは知りませんが、フリーの「The Stealer」。ポール・ロジャースも良いですけど、ベティ・ラヴェットの歌はさらに深い。バックの演奏にねっとりと絡みつくように、それでいてキレがあり力強い。私はもうこの1曲目で完全に彼女のソウルに引きずり込まれました。
そしてハイライトは早くも3曲目。ここでスロー・ナンバーが歌われたのですが、曲は「Choices」だったでしょうか?(すいません、記憶が既に曖昧なので断言できません…)。おそらく観客の多くは、私のように前のめりで彼女のステージを楽しみにして来た人ではなく、興味本位で「お、これが噂のソウル・ディーバか…」、もしくはたまたまそこに居て「なんかおばちゃん出てきちゃったよ…」的な人達が多かったんじゃないかと思います。ですが、彼女がスローを歌いだした瞬間に、ヘヴンがまるで水を打ったように、シーンっと静まりかえりましたから。
ベティ・ラヴェットの歌声にその場に居た全ての人が引き込まれていく瞬間でした。鳥肌が立ちましたよ! 私も一心不乱に彼女の歌声を聴きましたね。そうせざるを得ない説得力でした。ルシンダ・ウィリアムスのカヴァー「Joy」も素晴らしかった。唸りながらシャウトするブルージーなこの曲こそ、ロックもオルタナ・カントリーをも飲み込んだ現在進行形のソウルです!
そして決して順風漫歩ではなかった彼女のキャリアを振り返りながら、その不遇を笑い飛ばすかのようなセットが続きます。デビュー・ヒットとなった62年の「My Man - He's A Lovin' Man」、同時代の「You'll Never Change」、お蔵入りとなった曰く付きのアトランティック時代から「Souvenirs」。そしてようやくの1stアルバムを発表した80年代のモータウン時代からも演ったとおもいます。確か「Right In The Middle( Of Falling In Love)」でしたっけ? とにかくまるで自分の人生を歌に込めたかのようなセット・リストに、彼女のこれまで歌い続けてきたシンガーとしての誇りが伺えます。
特に素晴らしかったのがやっぱりスロー・ナンバーの「Souvenirs」。胡座のようなスタイルでしっとりとソウルフルに熱唱されたら、そりゃ堪りませんよ! さらに「You'll Never Change」ではマイクを離して地声で「ネヴァ~、ネヴァ~」と絶唱。衰え知らずの声量がヘヴンの聴衆を沸かせました。それと案外彼女の歌声は、ゴスペル・フィーリングより演歌の悲哀に近いものがあるのかもしれないと思ったり。実際彼女の歌手としての出発点は教会ではなかったそうです。ゴスペル的な高揚感よりも、とことん生々しく激情するかのような感情表現は、日本の聴衆にもストレートに伝わったのではないでしょうか。もちろん演歌と呼ぶにはあまりにも激しく、ディープに過ぎますけどね…。
最後は「Close As I'll Get To Heaven」だったでしょうか? 最後まで彼女の声は衰えることもなく、かえって力強さを増していくかのよう。そして熱唱しながらゆっくりとステージを去っていく彼女に惜しみない拍手が送られました。
フジロックという、必ずしも彼女のような純粋なソウル歌手が歓迎されるとは限らない場所で、堂々と、自信たっぷりに歌ったベティ・ラヴェット。やっぱりこの人は凄いですよ! まるで「ここは私のステージよ!」と言わんばかりの毅然とした振る舞いに、私は“本物の歌手”を見たと感動すら覚えました。そんな彼女の自信に溢れたステージはヘヴンの観客を完全に我が物としましたね。天晴です、ベティ・ラヴェット!
*写真はアトランティックで制作されながらお蔵入りとなった72年作の「CHILD OF THE SEVENTIES」にボーナス・トラックを追加して2000年にようやくリイシューされた「SOUVENIRS」。ジャケ写はもちろん若き日のベティ。アルバム収録曲には「Souvenirs」、「The Stealer」が、ボーナストラックには「My Man - He's A Lovin' Man」と「You'll Never Change」も入っています。近年のベティ・ラヴェットももちろん素晴らしいですが、若い頃の彼女も素敵です。特に「Souvenirs」は感動的。
超個人的フジロック・ベストアクト第2位!
それはベティ・ラヴェットです!
この人の歌は凄かった! 正直な話、彼女よりフジの観客を熱狂させたアーティストは山ほど居たでしょう。私のベストアクト第3位以下のアクトだってそうです。私自身の興奮度もそうだったかもしれません。しかし、じゃあ順位をつけようと思ったとき、この人の歌にかなうアーティストはそうは居なかったのです。
60年代から活動するソウル・シンガー。現在60歳を超えています。しかしそれが信じられないほどの現役振り。とにかく声の力が半端無い! そしてロック・フェスでの堂々とした歌いっぷりがまた格好良い! 1曲目はロックを意識してかどうかは知りませんが、フリーの「The Stealer」。ポール・ロジャースも良いですけど、ベティ・ラヴェットの歌はさらに深い。バックの演奏にねっとりと絡みつくように、それでいてキレがあり力強い。私はもうこの1曲目で完全に彼女のソウルに引きずり込まれました。
そしてハイライトは早くも3曲目。ここでスロー・ナンバーが歌われたのですが、曲は「Choices」だったでしょうか?(すいません、記憶が既に曖昧なので断言できません…)。おそらく観客の多くは、私のように前のめりで彼女のステージを楽しみにして来た人ではなく、興味本位で「お、これが噂のソウル・ディーバか…」、もしくはたまたまそこに居て「なんかおばちゃん出てきちゃったよ…」的な人達が多かったんじゃないかと思います。ですが、彼女がスローを歌いだした瞬間に、ヘヴンがまるで水を打ったように、シーンっと静まりかえりましたから。
ベティ・ラヴェットの歌声にその場に居た全ての人が引き込まれていく瞬間でした。鳥肌が立ちましたよ! 私も一心不乱に彼女の歌声を聴きましたね。そうせざるを得ない説得力でした。ルシンダ・ウィリアムスのカヴァー「Joy」も素晴らしかった。唸りながらシャウトするブルージーなこの曲こそ、ロックもオルタナ・カントリーをも飲み込んだ現在進行形のソウルです!
そして決して順風漫歩ではなかった彼女のキャリアを振り返りながら、その不遇を笑い飛ばすかのようなセットが続きます。デビュー・ヒットとなった62年の「My Man - He's A Lovin' Man」、同時代の「You'll Never Change」、お蔵入りとなった曰く付きのアトランティック時代から「Souvenirs」。そしてようやくの1stアルバムを発表した80年代のモータウン時代からも演ったとおもいます。確か「Right In The Middle( Of Falling In Love)」でしたっけ? とにかくまるで自分の人生を歌に込めたかのようなセット・リストに、彼女のこれまで歌い続けてきたシンガーとしての誇りが伺えます。
特に素晴らしかったのがやっぱりスロー・ナンバーの「Souvenirs」。胡座のようなスタイルでしっとりとソウルフルに熱唱されたら、そりゃ堪りませんよ! さらに「You'll Never Change」ではマイクを離して地声で「ネヴァ~、ネヴァ~」と絶唱。衰え知らずの声量がヘヴンの聴衆を沸かせました。それと案外彼女の歌声は、ゴスペル・フィーリングより演歌の悲哀に近いものがあるのかもしれないと思ったり。実際彼女の歌手としての出発点は教会ではなかったそうです。ゴスペル的な高揚感よりも、とことん生々しく激情するかのような感情表現は、日本の聴衆にもストレートに伝わったのではないでしょうか。もちろん演歌と呼ぶにはあまりにも激しく、ディープに過ぎますけどね…。
最後は「Close As I'll Get To Heaven」だったでしょうか? 最後まで彼女の声は衰えることもなく、かえって力強さを増していくかのよう。そして熱唱しながらゆっくりとステージを去っていく彼女に惜しみない拍手が送られました。
フジロックという、必ずしも彼女のような純粋なソウル歌手が歓迎されるとは限らない場所で、堂々と、自信たっぷりに歌ったベティ・ラヴェット。やっぱりこの人は凄いですよ! まるで「ここは私のステージよ!」と言わんばかりの毅然とした振る舞いに、私は“本物の歌手”を見たと感動すら覚えました。そんな彼女の自信に溢れたステージはヘヴンの観客を完全に我が物としましたね。天晴です、ベティ・ラヴェット!
*写真はアトランティックで制作されながらお蔵入りとなった72年作の「CHILD OF THE SEVENTIES」にボーナス・トラックを追加して2000年にようやくリイシューされた「SOUVENIRS」。ジャケ写はもちろん若き日のベティ。アルバム収録曲には「Souvenirs」、「The Stealer」が、ボーナストラックには「My Man - He's A Lovin' Man」と「You'll Never Change」も入っています。近年のベティ・ラヴェットももちろん素晴らしいですが、若い頃の彼女も素敵です。特に「Souvenirs」は感動的。