Bill Frisell / Guitar In The Space Age!
グラミー賞ノミネート特集の第8回。これまでノミネート・リストの下の方ばかりつついてきましたが、今回は11番目というかなり上の方の部門を取りあげてみたいと思います。それは『BEST CONTEMPORARY INSTRUMENTAL ALBUM』部門。またよく分らない部門ですが、ノミネートは以下の5作品。
Bill Frisell / Guitar In The Space Age!
Wouter Kellerman / Love Language
Marcus Miller / Afrodeezia
Snarky Puppy & Metropole Orkest/ Sylva
Kirk Whalum / The Gospel According To Jazz, Chapter IV
なかなかそそられる作品が集まってるじゃないですか?ジャズ色が濃く感じられますが、ジャズの部門ではないんです。ジャズはジャズでちゃんと『BEST JAZZ INSTRUMENTAL ALBUM』部門というのがあって、テレンス・ブランチャード、ロバート・グラスパー、ジョン・スコフィールドなんかがノミネートされています。こちらはあくまでも“コンテンポラリー・インストトゥルメンタル”。言われてみれば、確かにコンテンポラリーなインスト作品ではありますね。さて、なかでも「ルーツな日記」的に注目するのはビル・フリーゼル!!
唯一無比の米ルーツ解釈から、ジャズやアヴァンギャルドなど幅広いフィールドを横断する奇才ギタリスト、ビル・フリーゼル。今作はそんな彼が少年時代に聴いて育った音楽を振り返り、それを彼ならではのギター解釈で再構築したカヴァー作。まるで当時の”スペース・エイジ”だった幼少の頃の思い出と共に、宇宙に浮遊するような作品です。
取り上げられたのは、ベンチャーズで有名な「Pipeline」、リンク・レイ「Rumble」、デュアン・エディの「Rebel Rouser」、アストロノウツ「Baja」、トルネイドースの「Telstar」など、50年代後半から60年代にかけて、エレキギターの音色が最も新しく刺激に満ちて聴こえた時代を代表するインスト曲を中心に、ビーチボーイズの「Surfer Girl」、キンクスの「Tired of Waiting for You」、バーズで知られる「Turn, Turn, Turn」といった当時のラジオを賑わしたであろうロック曲、さらにはジュニア・ウェルズの「Messin‘ with the Kid」まで。そこに数曲のビル自身によるオリジナル曲も散りばめられた、全14曲による宇宙の旅。
あの時代を夢想しながら、ロマンチックにゆらゆらと揺らめくようなビルのギター、その揺らめきギターに絡むグレッグ・リーズのスティール・ギターも素晴らしい!スウィンギーなリズムはトニーシェール(b)とケニー・ウォレセン(ds)というビル・フリーゼル周辺でお馴染みのメンバー達。抑制を効かせつつ、ビルらしい叙情性豊かなサウンドから染み入る刺と毒。聞き慣れたメロディーを壊さずにどことなく前衛的に聴かせる手腕は流石。「Messin‘ with the Kid」による彼流のブルース・フィーリングもまた良い!!
そして対抗は、なかなか大物揃いで選ぶのが難しいのですが、敢えて新進気鋭のUSジャズ/ファンク軍団スナーキーパピーと、オランダの誇る世界最大級という混成オーケストラ、メトロポール・オーケストラとの共演盤「Sylva」を挙げたいですね。スナーキーパピーは昨年の来日公演も最高でしたし、私が今最も注目しているバンドの一つ。もちろん、フュージョン界を代表するベーシスト、マーカス・ミラーによる話題の最新作や、カーク・ウェイラムが放つゴスペル・プロジェクトも最有力候補でしょう。南アフリカ出身のフルート奏者ウーター・ケラーマンは、この中では異色の存在でしょうか。
よろしければ、こちらもどうぞ。リストの下の方つっついてます。
グラミー賞 ノミネート『BEST ROOTS GOSPEL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUEGRASS ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST COUNTRY ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST FOLK ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST AMERICANA ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUES ALBUM』
グラミー賞ノミネート特集の第8回。これまでノミネート・リストの下の方ばかりつついてきましたが、今回は11番目というかなり上の方の部門を取りあげてみたいと思います。それは『BEST CONTEMPORARY INSTRUMENTAL ALBUM』部門。またよく分らない部門ですが、ノミネートは以下の5作品。
Bill Frisell / Guitar In The Space Age!
Wouter Kellerman / Love Language
Marcus Miller / Afrodeezia
Snarky Puppy & Metropole Orkest/ Sylva
Kirk Whalum / The Gospel According To Jazz, Chapter IV
なかなかそそられる作品が集まってるじゃないですか?ジャズ色が濃く感じられますが、ジャズの部門ではないんです。ジャズはジャズでちゃんと『BEST JAZZ INSTRUMENTAL ALBUM』部門というのがあって、テレンス・ブランチャード、ロバート・グラスパー、ジョン・スコフィールドなんかがノミネートされています。こちらはあくまでも“コンテンポラリー・インストトゥルメンタル”。言われてみれば、確かにコンテンポラリーなインスト作品ではありますね。さて、なかでも「ルーツな日記」的に注目するのはビル・フリーゼル!!
唯一無比の米ルーツ解釈から、ジャズやアヴァンギャルドなど幅広いフィールドを横断する奇才ギタリスト、ビル・フリーゼル。今作はそんな彼が少年時代に聴いて育った音楽を振り返り、それを彼ならではのギター解釈で再構築したカヴァー作。まるで当時の”スペース・エイジ”だった幼少の頃の思い出と共に、宇宙に浮遊するような作品です。
取り上げられたのは、ベンチャーズで有名な「Pipeline」、リンク・レイ「Rumble」、デュアン・エディの「Rebel Rouser」、アストロノウツ「Baja」、トルネイドースの「Telstar」など、50年代後半から60年代にかけて、エレキギターの音色が最も新しく刺激に満ちて聴こえた時代を代表するインスト曲を中心に、ビーチボーイズの「Surfer Girl」、キンクスの「Tired of Waiting for You」、バーズで知られる「Turn, Turn, Turn」といった当時のラジオを賑わしたであろうロック曲、さらにはジュニア・ウェルズの「Messin‘ with the Kid」まで。そこに数曲のビル自身によるオリジナル曲も散りばめられた、全14曲による宇宙の旅。
あの時代を夢想しながら、ロマンチックにゆらゆらと揺らめくようなビルのギター、その揺らめきギターに絡むグレッグ・リーズのスティール・ギターも素晴らしい!スウィンギーなリズムはトニーシェール(b)とケニー・ウォレセン(ds)というビル・フリーゼル周辺でお馴染みのメンバー達。抑制を効かせつつ、ビルらしい叙情性豊かなサウンドから染み入る刺と毒。聞き慣れたメロディーを壊さずにどことなく前衛的に聴かせる手腕は流石。「Messin‘ with the Kid」による彼流のブルース・フィーリングもまた良い!!
そして対抗は、なかなか大物揃いで選ぶのが難しいのですが、敢えて新進気鋭のUSジャズ/ファンク軍団スナーキーパピーと、オランダの誇る世界最大級という混成オーケストラ、メトロポール・オーケストラとの共演盤「Sylva」を挙げたいですね。スナーキーパピーは昨年の来日公演も最高でしたし、私が今最も注目しているバンドの一つ。もちろん、フュージョン界を代表するベーシスト、マーカス・ミラーによる話題の最新作や、カーク・ウェイラムが放つゴスペル・プロジェクトも最有力候補でしょう。南アフリカ出身のフルート奏者ウーター・ケラーマンは、この中では異色の存在でしょうか。
よろしければ、こちらもどうぞ。リストの下の方つっついてます。
グラミー賞 ノミネート『BEST ROOTS GOSPEL ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST REGIONAL ROOTS MUSIC ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUEGRASS ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST COUNTRY ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST FOLK ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST AMERICANA ALBUM』
グラミー賞 ノミネート『BEST BLUES ALBUM』