徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

笹目さん

2008-06-07 20:47:28 | LB中洲通信2004~2010
金曜日。
渋谷のポスターハリス・カンパニーでウルトラ・ポスターハリスター笹目浩之さんの取材。4年前に刊行した『ジャパン・アヴァンギャルド』と現代演劇ポスター収集・保存・公開プロジェクト、そして演劇ポスターの現在。ポスターハリス・カンパニーと新国立劇場が「現代演劇ポスター展」に併せて刊行している『現代演劇ポスターコレクション』の年鑑図録はデザイナーやカメラマンの励みになっているそうだ。素晴らしいことである(残念ながら現在のところ、2005年までしか刊行されていない模様)。

オレの収集癖というのもいろいろあるのだけれども、ポスターというのもそのひとつで、10代の頃に買ったピンホールだらけのポスターがいまだに残っていたりする。
ポスターは複製文化の象徴みたいなところがあるけれども、実は複製がなかなか難しい代物で、存在そのものがレアなのです。書籍ならば復刊も可能だし、レコードも発掘されてCD化されるだろう。しかしポスターのような大判の印刷物はそう簡単に再版されることはない。笹目さんによると映画のポスターは熱心に探せば、そして資金を惜しまなければ大抵のモノは入手できるという。もちろん例えばシド・ヴィシャスのようなキャラものポスターも、彼らに憧れる若者がいる限り、複製され続ける。でもほとんどのポスターは、その時代を象徴するように作られ、そして捨てられていく。

笹目さんはエンゲキの人だけれども、お話を伺って自分の中にあった<ポスターとは何か?>についてずいぶん整理できた。笹目さんや唐十郎さんが「ジャパン・アヴァンギャルド」で証言されているように、やはりポスターというのは時代の旗印なのである。そして、それは演劇だけに限らない。いいポスターというのは作っとくべきだと思う。

いいポスターというのは、貼って眺めているだけで高揚してくる迫力がある。

取材終了後、新宿に移動して酒。何だかなあ…。