
<みんなお前が悪いのさ>
嫌われ者の兄ちゃんが
猟奇事件の犯人と
間違えられてとっつかまって
どうせ嫌われ者だから
やったやらぬは別として
懲らしめられる格好で
朝な夕なのお仕置きに
いくら喧嘩が自慢とて
命あってのものだねと
「うん」と言ったが三年目
これが噂の冤罪か
諦め切ったその時に
別の事件で捕まった
他の男の自供から
晴れて無実にゃなったけど
一度貼られたレッテルは
剥がしようにも世間の目
もとが嫌われものだから
誰が同情するものか
みんなお前が悪いのさ
そんな話を聞きつけた
興味本位のワイドショー
人の心の奥底に
潜む妬みが飯の種
別に正義の味方とは
(ほんの?)思っちゃいないけど
虐げられた人々を
救うふりならお手の物
マイク片手にVTR
知られたくないことならば
余計知りたい覗きたい
さらけ出したい暴きたい
向こう三軒両隣
訊けば出てくるボロが出る
叩きゃ埃の出る身体
ひょんなことから
合わぬ辻褄合わせようと
苦し紛れの言い訳に
出しちゃいけないその人の
名前どころか秘密まで
あっと思ったその時にゃ
にんまり笑うリポーター
なかったことにしてくれと
頼む姿も容赦なく
朝のテレビに大写し
少しゃ真面目に働こうと
思った矢先のこの仕打ち
まとまりかけてた話まで
何でテレビが壊すのか
抗議しようと出かけたら
どいつに文句を言ったやら
埒もあかずにとぼとぼと
止めた車に戻ったら
駐車禁止のレッカー車
待ってくれよと拝んだが
そんな話が通るほど
甘くないのが世のならい
文句あるなら裁判所
文句ないなら免許証
おっといけねえあの時に
ちょうど期限が切れてました
慌てついでの間の悪さ
積もり積もった鬱積が
切れたぷっつんその後は
何が何だかわからない
我に返って見回せば
毎度お馴染み鉄格子
(以下、国本武春ソロ)
歌の文句じゃないけれど
こんな男に誰がした
生まれついての星めぐり
みんなお前が悪いのさ
歌の文句じゃないけれど
こんな男に誰がした
生まれついての星めぐり
みんなお前が悪いのさ
なんて間合いの悪いこと
あ、世間じゃこれを弱り目に
祟り目なんていうけれど
とんと浮世に見放され
他人の事を笑ってる
あんたの背中に忍び寄る
義理と人情、親孝行
欠いちゃ世の中通らない
歌の文句じゃないけれど
こんな男に誰がした
語り尽くせぬお話は
丁度時間となりました