徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

想田さん

2009-06-09 18:32:26 | LB中洲通信2004~2010
月曜日。
TBS1階のカフェで、ドキュメンタリー映画『精神』想田和弘監督取材。
監督ブログでも紹介されているように、既に新聞、雑誌でもかなり大きく取り上げられている。岡山県の精神科診療所を集う人々をひたすら「観察」する2時間15分。このドキュメンタリーには絵に描いたような狂気は出てこない。むしろ、確実にどこにでもいるような<困った人たち>が登場する。彼らとオレの違いは、実際に精神科医に通院しているかどうかぐらいの違いでしかないのだと思う。
「観察映画」シリーズ第二弾ということで、今回も想田監督のカメラは「観察」に徹して、決して説明的にはならない。患者たちはカメラに向かって、観客に向かって話し続ける。

登場人物のひとりである精神科医の山本昌知さんは本編の中で一方的なコミュニケーションの危うさを実にわかりやすく講演で説明している。一方的なコミュニケーションというのは決め付けであり、レッテル貼りであり、差別であり、排除である。
院内の温かな、内輪のコミュニケーションを一気に凍りつかせるラストシーン。それは診療所を一歩出れば、どこまで行っても国民(他人)にちっともやさしくなく、むしろ攻撃的な現代の日本(人)という現実そのものだった。
ソフト化は結構ハードルが高そうな気もするので、まずは劇場で観ましょう。必見。
8月号で紹介予定。

取材終了後、赤坂から池袋へ移動して酒。