
カメラマンの大甲君に電話したら、この本の話になった。
勿論、すぐに近所の書店へ買いに行った。
ヘアヌードもすごいけれども、研ぎ澄まされた<センス>と<スピード>と<皮膚感覚>がほとばしるユーヤさんの言葉の凄み。やはりこれは間違いなく近田さんでなければできなかったであろうロングインタビュー集。昨年リリースされた
ジュリアン・コープの「ジャップ・ロック・サンプラー」と対を成す、ジャップ・ロックの歴史そのものの当事者の生々しい証言。ちょっと高いけど一級資料であります。相変わらずこのジャンルでは白夜書房が飛ばしてますね。
そんなユーヤさんのお言葉は本書を読んでいただくとして、インタビュアーの近田さんがプロローグでこんなことを書いている。
<ところで、我々の住むこの世界とはどんなところなのであろうか。ひとつ言えるのは、それこそローリング・ストーンズの歌ではないが、あふれかえるユースレスなインフォメーションにウンザリしながらも、結局はその源であるメディアの一方的な支配に甘んずること以外、ここで現実を暮らすのは至難の業だということだろう。(中略)
実は世界の“秩序”やら“正義”やらは世界の都合で出来ていて、いかにも変幻自在なものなのだが、なんとも仕組みが巧妙で、ついつい絶対的なものに見えてしまう。
「そんなことはねぇだろう!」
内田裕也は様々な表現を通じて、そのことをずーっと訴え続けてきたのだと思う。そして内田裕也の何が素晴らしいかと言って、そうした作業のすべてを<<ロックンロール>>と呼んだ、その直観に尽きる。>
(
内田裕也「俺は最低な奴さ」白夜書房 プロローグより)
やっぱり近田さんのスタンスもずーっと変わってないのだ。それも嬉しかった。
もう一冊。
西岡研介「襲撃 中田カウスの1000日戦争」(朝日新聞社)。発行直前に取材拒否を続けた当事者のひとり、
林マサさんが死去してしまうという出来事が起こった。吉本帝国の裏面史と中田カウスという芸人の魔力をまっとうに語っているわけが、カヴァーにカウス氏のポートレートを使ったのはちと勘違いされる可能性が高いですね。