徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

その「一言」だけを叫び続ける/6.8首相官邸前抗議

2012-06-09 01:57:52 | News
18時から首相官邸前で抗議行動。
19時から最終予選のヨルダン戦があるとはいえ、まずはこちらが最優先である。幸い心配された雨も降らず(同時刻に関電本社への抗議が行われた大阪は降ったようだが)、参加者はついに4000人を数えたそうだ。「まだ少ない」という意見もあるだろうけれども、この2週間での増え方は尋常ではない。ましてやあの場所はそもそも1000人ですら人が集まるような(集まれるような)キャパのある場所ではない。それでも多くの「個人」が自発的に抗議に参加した。これは決して「少ない」などという数ではない。
同時刻に野田首相が大飯原発再稼動に関する会見を行い、スピーカーからその音声が流された。その最中、抗議の列のあちこちから怒りの声が上がり、「再稼動反対」のコールがしばらく続いた。
野田首相の会見を受けてボールは福井に投げられた。この再稼動への動きは来週にかけて加速していくだろう。
平日の夜に、金曜日の夜に、ワールドカップ最終予選の夜に、4000人が参加したというのは、それぐらいの危機感なのである。
これ以上増えるとしたらイベント(化)ぐらいしかない。

開始から1時間を過ぎたあたりで3番出口付近から最後列へ移動。
国会議事堂横の坂道を下り切ったあたりまで抗議参加者の列は延々と続いていた。ところどころでトラメガを持ったコールリーダーがリードを続けていたのだけれども、さすがに最後列ともなると、スピーチなどはまったく聴こない。コールはひたすら「再稼動反対」の一言のみ。先頭集団の抗議が終了しつつある中で、ゆっくりと官邸前を目指し坂道を登りながら「再稼動反対(やめろ)」だけをコールし続けた。

これは1年前のTwitNoNukesを思い出すような、久々にプリミティブな体験だったのは言うまでもない。
あのときも同じように「原発いらない(いらねえ)」だけを叫び続けた。そしてあのときと同じように、今回もデモのようにゆっくりと移動しながら、デモのように同じ言葉をずっとコールし続けた。結局人を突き動かすのは他人を組み伏せるようなロジックではなく、「その一言」なのだとずっと思っている。

オレと同じように、トラメガではなく生声でコールをキープし続けたお兄さんが近くにいたのも心強かった。
最後列付近では「せっかく来たんだから官邸前まで行って見たい」そんな声も聞こえた。行った事のない人には信じられないだろうが、前回も書いたように官邸前抗議というのは、抗議であっても参加者は相手(建物)を目の前にしているのではなく、一直線の隊列になって見えない相手に声を上げ続けているのだ。
後方集団が「官邸前の歩道」に到着した頃には、すっかり主催の抗議は終了していたのだけれども、それでもしばらく生声でのコールとプラカードの掲示は続いた。
それは、まったく正しい抗議行動だと思った。
やはり意識、無意識は別として、どこかに「この動きをニュースにしなければいけない」という危機感があるわけだ。
もちろんはそれは、あくまでも「合法的」に、である。

そんな抗議の後に官邸前の歩道の「工事の案内」というのは、まったく合法的で、悪い冗談に思えるけれども。