宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究チームは、X線天文衛星「すざく」による、おとめ座銀河団の広域観測から、銀河団の内側から外縁部にわたって元素組成が一定であり、それは太陽系周辺の組成とほぼ同じであることを明らかにした。
同研究チームは、現在の宇宙の平均的な元素組成を明らかにするために、銀河団の高温ガスの元素組成を調べた。宇宙に存在する普通の物質のほとんどの元素は、非常に熱いガスの状態にあり、それは数百以上の銀河が集まった銀河団に付随しているからである。
この熱いガスはX線で明るく輝いている。つまり、宇宙の平均的な元素組成を知るためには、X線で銀河団のガスを観測すればよいということになる。
今回の調査で、宇宙の元素組成は、どのスケールでも、どの場所を見てもほぼ同じということが判明した。さらに、宇宙がどのようにして現在の姿になったのかを理解する手がかりを与えてくれる結果でもある。