米航空宇宙局(NASA)は、9月8日に無人小惑星探査機「オシリス・レックス」の打ち上げに成功した。これは小惑星「ベンヌ(直径0.5㎞)」からサンプルの鉱石を地球に持ち帰る小惑星サンプル・リターンを目指したもの。
順調にいけば2019年に小惑星「ベンヌ」に到着しサンプルを採取して、2023年に地球に帰還する予定。いわば、米国版「はやぶさ」計画とも呼べるもの。
ところが、この小惑星「ベンヌ」の軌道は、地球の公転軌道と交差しており、今のところ2135年には地球に接近して、月よりも近いところをかすめる通ることが予測されている。
もし、何らかの力が「ベンヌ」に加わることになれば、地球に激突することもありうる。この際、放出されるエネルギーは、TNT火薬3000メガトンの爆発に相当するという。東京に「ベンヌ」が激突したら、東京はたちまちのうちに廃墟となることは避けられないかもしれない。
1991年にメキシコ・ユカタン半島の地下に巨大なクレーター「チチュルブ・クレーター」が発見されたが、このクレーターは、繁栄していた恐竜を絶滅させた小惑星が地球に激突した跡とされる。
また、1908年にはロシア・ツングースカ上空で巨大な隕石が爆発し、約2000平方㎞の範囲の樹木がなぎ倒された。この時この周辺には人家はなく、発見が遅れた。
最近では、2013年2月15日、ロシア・チェリャビンスクに直径17mの小天体が18㎞/sで大気圏に突入し、上空20-25㎞で破裂・分裂したことはまだ記憶に新しい。この時のエネルギーは、広島型原爆の約30倍であったという。
1億年ごとに地球上生命の大絶滅を引き起こす原因は、小惑星や彗星、隕石が地球に激突したためであることが、数々の証拠により証明されつつある。
今回、NASAが無人小惑星探査機「オシリス・レックス」を、小惑星「ベンヌ」に向けて発射した理由の一つとして、100年後に迫った地球の危機をどう乗り切るかの基礎資料の収集にあるという見方も出てきている。