金沢大学、名古屋大学、国立極地研究所、カナダ・アサバスカ大学、京都大学、米国・カリフォルニア大学、宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構、カナダ・天然資源省らの国際共同研究グループは、カナダで観測された明滅する陽子オーロラが、宇宙で発生する電磁波として知られる電磁イオンサイクロトロン波動の最も速い電力変化(1秒程度)と同じ周期で高速に明滅していることを世界で初めて発見した。
オーロラを発生させる目に見えない高エネルギー電子や陽子は、人工衛星の故障や宇宙飛行士の被ばくなどの障害を引き起こすことが知られている。このため、オーロラの時間変動は、地球周辺の宇宙における高エネルギー電子や陽子の変動を地上から知る手掛かりとなる。
今回、同研究グループは、通常のCCDカメラよりも高速・超高感度を有するEM-CCDカメラとStockwell変換と呼ばれる信号解析法を併用することで、暗い陽子オーロラの詳細を調べることに成功した。
特に、今回、発見した陽子オーロラを観測することによって、その明滅から人工衛星の電子機器を故障させる危険性の高い放射線帯電子を可視化できる可能性が示唆されている。
このため、今後の安心安全な人工衛星サービスを実現する上で、地球周辺の放射線と宇宙の電磁波との関係を知る重要な手掛かりとなることが期待される。
また、2016年12月に打ち上げられ、地球周辺の放射線の様相を調べている科学衛星「あらせ」と同研究グループである科学研究費・新学術領域研究(15H05815)および特別推進研究(16H06286)によるオーロラ・電磁波観測ネットワークPWINGの共同観測により、その詳細が今後明らかになることが期待される。