●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●JAXA、7月にスウェーデンで次世代超音速旅客機の実証試験

2014-06-03 20:46:23 | 超音速旅客機

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)の2回目試験について、今年7月22日からの実施に向け、準備作業に着手することになった。

 昨年8月16日(現地時間)に1回目の試験を実施したが、試験機が気球から分離後、計測地点の約12km手前で予定飛行経路から外れたため、想定していた飛行状態でのソニックブームを計測することができなかった。
  
 この結果を受け、JAXAは調査・対策チームを設置し、外部有識者などからの意見を聞きながら、原因を特定(平成26年2月25日に公表)し、その対策に取り組んできた。

 この対策の結果、再試験に向けた準備の目処が立ち、2回目試験を行うこととなったもの。

                                ◇

試験期間:平成26年7月22日~8月22日(現地時間)
  
試験場所:スウェーデン エスレンジ実験場(スウェーデン・キルナ市)

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●宇宙探査●カリフォルニア工科大学の理論物理学研究所初代所長に大栗博司教授が就任

2014-06-02 19:48:46 | その他

 カリフォルニア工科大学は、ウォルター・バーク理論物理学研究所の初代所長に同大学の大栗博司教授が就任したと発表した。

 大栗教授は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の主任研究員でもある。

 ウォルター・バーク理論物理学研究所は、理論物理学研究の発展と次世代の教育を推し進めることを目的として、ウォルター・バーク氏が35年間理事長を務めたシェーマン・フェアチャイルド基金からの寄付をはじめとした7500万ドル(約75億円)の基金をもとにして、カリフォルニア工科大学に開設された。

 超弦理論を専門とし数々の業績を上げてきた大栗博司教授の初代所長就任により、あらゆる自然現象を統一的に記述出来る物理法則の発見をはじめ、一般相対性理論や宇宙物理学、素粒子理論、数理物理学などを含む研究を世界的に牽引する研究所として発展していくことが期待されている。

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●宇宙探査<ブックレビュー>●「日本人と宇宙」(二間瀬 敏史 /朝日新聞出版)

2014-06-01 20:05:40 | ●宇宙探査<ブックレビュー>●

 書名:日本人と宇宙~なぜ、宇宙先進国になれたのか!?~

著者:二間瀬 敏史 

発行:朝日新聞出版

目次:パート1 月・日・星そして宇宙と日本人

    第1章 「愛でる月」から「探査する月」へ
    第2章 母なる太陽の異変を探る
    第3章 我ら星の子/恒星をめぐる物語
    第4章 生命のすむ惑星を探して
    第5章 太陽系の小さな仲間たち/小惑星と彗星
    第6章 宇宙誕生の謎に迫る

    パート2 日本人と宇宙の関りの歴史

    第7章 日本人の宇宙観/飛鳥人から江戸っ子まで
    第8章 日本の近代天文学の誕生
    第9章 現代天文学から未来の天文学へ

 私がこの書に弾かれたのは、本のタイトルの「日本人と宇宙」である。早とちりをして、日本人は宇宙人?と読んでしまった後に、よく見ると「人」は入ってはいなかった。例えば「日本人と素粒子物理学」なら、湯川秀樹、朝永振一郎そして南部陽一郎まで、脈々と続くノーべル賞受賞者を輩出している日本なので、題材はありあまるほどありそうに思うが、「日本人と宇宙」と言われて直ぐに思い浮かぶのは、私は糸川英夫ぐらいなので、一冊の本になりうるタイトルなのかと興味が惹かれたというのが、正直なところだ。この本を読み終えたときに、この考えが全く間違えであることに恥じ入ってしまった。「日本人と宇宙」は、昔から深いつながりを持っており、その集大成が宇宙探査機「はやぶさ」や国立天文台ハワイ観測所「すばる望遠鏡」など、世界の頂点に立つ技術成果であったのだ。逆に言うと、宇宙に関して大きな成果を挙げてきた研究者たちについて、我々日本人は余りに知らなさ過ぎるのではないか。

 この本の筆者の二間瀬 敏史氏も「まさか自分が『日本人と宇宙』というタイトルで本を書く日が来るとは、想像もしていませんでした」と書いているほどなので、宇宙科学者自身が言うほどだから、まあ、許されるのかな、と思いきや、その先に「少なくとも私個人の体験から言えば、宇宙のことを研究する上で、自分が日本人だと意識したことはほとんどないのです」とあった。つまり、素粒子物理学者以上に宇宙科学者は、ボーダーレス化しているのかもしれない。このため、日本人だからどうのこうの言うことは、憚られることなのかもしれない。しかし、筆者自身、「『すばる望遠鏡』を見ると誇らしい気分になります」とあるように、宇宙科学者も潜在的には日本人であることを意識していることも事実である。

 著者の二間瀬 敏史氏は、京都大学理学部を卒業後、英国のカーディフ大学で一般相対性理論で博士号を取得。その後、ドイツ、米国、英国の研究所や大学で研究生活を送り、現在は、東北大学大学院理学研究科天文学専攻、教授を務めている。専門は一般相対性理論、宇宙論の理論的研究。これだけの経歴をみると、一般の読者には手が届かない専門書かと思いきや、各章の冒頭には、有名な詩や文学からの一節が紹介され、それから徐々に宇宙の話に入っていく工夫がこらされている。本文に入っても、特別な宇宙や天文学の知識が無くても読むことができる。例えば、「第1章 『愛でる月』から『探査する月』へ」では、「ある時、生徒の一人が“I love you”という英文を“我は君を愛す”と訳しました。すると漱石先生は、こう教えたそうです。『きみ、日本人はそんな言い方をしませんよ。“月が綺麗ですね”とでも訳しなさい』と」要するに文科系でも読みこなせる宇宙の話になっているのだ。とわ言え、内容自体は、宇宙のことを知っている人でも実に面白く読み進むことができ、しかもその内容は充実している。

 この書には、宇宙に関わった日本人の研究者が沢山紹介されており、一種の人名辞典的な役割を果たしている。名前はゴシックで表記されているので頭に入り易い。注文を言うと、後で調べるために、巻末に人名の掲載ページ付き一覧表を付けてもらえばもっと有り難かったのであるが・・・。この書に登場する一人一人を紹介するわけにいかないので、宇宙物理学者の林忠四郎について少々書いておこう。素粒子物理学者の湯川秀樹は日本人なら誰でも知っているが、林忠四郎を一般の人が果たしてどのくらい知っているのであろうか。著者の二間瀬 敏史氏は「故・林忠四郎先生(2010年没)は、宇宙におけるさまざまな現象を理論物理学によって解明・記述する宇宙物理学の、日本における先駆者です。私を含め日本のすべての宇宙物理学者の『父』といえる偉大な方」と書いている。林忠四郎の三大業績と言われるものがある。①林フェーズの発見②ビックバンにおける元素合成③太陽系起源についての京都モデル、の3つである。「林フェーズ」とは、太陽が生まれて現在の状態に至るまでの過程を解明した理論。「ビックバンにおける元素合成」とは、有名なガモフのビックバン理論(αβγ理論)が言う「始原物質」(宇宙の卵)が「中性子だけからできていたのはおかしい」とし、できた元素を理論的に示した。「太陽系起源についての京都モデル」とは、太陽系形成理論において、われわれのいる太陽系などの恒星・惑星系がどのように誕生したかを理論的に解析した。正に、宇宙物理学者の林忠四郎は、素粒子物理学者の湯川秀樹に並び立つ偉人だったのだ。
(勝 未来)

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