国立天文台の研究者を中心とする研究チームは、今回、高感度を誇るアルマ望遠鏡によって、ガンマ線バーストを起こすような巨大な星の周囲の分子ガスの電波を世界で初めて検出に成功した。ガンマ線バーストGRB 020819BとGRB 051022のそれぞれが属する2つの銀河をアルマ望遠鏡で観測したもの。
ガンマ線バーストはガンマ線の閃光で、宇宙で最も激しい現象と考えられている。その正体については謎が多く、さまざまな研究が重ねられてきた。
ガンマ線バーストを起こすような巨大な星は、星が活発に誕生している領域に存在していて、その周囲には星の材料である分子ガスが大量に存在していると予想されていたが、これまで分子ガスからの電波が検出されたことはなかった。
また、アルマ望遠鏡の高い解像度(視力)により、GRB 020819Bが属する銀河では、分子ガスと塵(ちり)の分布が大きく異なることがわかった。
分子ガスは銀河の中心に多く分布しており、塵はガンマ線バーストが発生した場所に多く存在していた。
そしてガンマ線バーストが発生した場所では、分子ガスに対する塵の量が通常の環境よりも10倍以上多くなっていた。ガンマ線バーストが発生した銀河における分子ガスと塵の空間分布を明らかにしたのも今回の研究が初めて。