ビルボード・チャート日記 by 星船

1970年代から80年代にかけての特にビルボードのチャートを中心に、洋楽を愛する皆さまにお届けするブログです

1982年9月25日付 ビルボード 全米 Top40 The Steve Miller Band - Abracadabra

2018-09-25 23:32:17 | 1982年ビルボードTop40
1982年9月25日付ビルボード All American Top40、なんと驚きの3週間ぶりの返り咲き1位はSteve Miller Bandの"Abracadabra"。1週間の1位から→3位にダウン、→2位に上昇してついに2週目の1位への返り咲きです。Steve Miller Band、Top3ヒットとしては1977年に2位を記録した"Fly Like An Eagle"以来の久々の大ヒット、No.1ヒットは1973年の"The Joker"、1976年の"Rock 'N Me"以来の3曲目のNo.1ヒットとなりました。

2位は4位からアップ、John Cougarの"Jack & Diane"。最高位2位を記録しこの週もまだ9位に滞在中の"Hurts So Good "に続くTop3ヒットになりました。
3位は2週間の1位からダウン、Chicagoの"Hard To Say I'm Sorry"。60年代から活躍し数多くのヒットを持っているChicago、1977年に4位を記録した"Baby What A Big Surprise"以来の久々の大ヒット、1位となると1976年の"If You Leave Me Now"以来になります。
4位は3位からダウン、6週間の1位を記録した年度を代表する大ヒット、Survivorの"Eye of the Tiger"。Survivor、セカンドアルバムからのシングル"Poor Man's Son"が1981年に33位を記録、2曲目のTop40ヒットでついにNo.1獲得です。この曲、もちろん有名ですが、シルベスター・スタローンの『ロッキー3』の主題歌です。
5位は前週と変わらず、Melissa Manchesterの"You Should Hear How She Talks About You"。地味なイメージがある彼女ですが、以外にヒット曲を持っていてこの曲で7曲目のTop40ヒット、これまでの一番のヒットは1975年に最高位6位を記録した"Midnight Blue"でしたので、Top5ヒットとなったのは初めてです。

この週1位に返り咲いたのがSteve Miller Bandの"Abracadabra"。通算2週間の1位を記録、年間チャートは9位の大ヒットでした。

Steve Miller Band、リーダーのスティーヴ・ミラーが中心となって1960年代中頃に結成されたグループ。当初はブルースロックグループとして活動、初期のメンバーにはボズ・スキャッグスやニッキー・ホプキンスなどの有名ミュージシャンも名前を連ねている歴史ある凄いグループなのです。
1973年にリリースされた彼ら8枚目のアルバム「The Joker」が大ヒット、タイトル曲が初めてのシングル1位を記録します。
そして次のアルバム「Fly Like an Eagle - 鷲の爪 」が歴史的な大ヒットを記録、その中からシングル"Rock'n Me"がNo.1、"Fly Like an Eagle"が2位と大ヒットを記録します。

しばらく大ヒットからは離れますが、この年リリースした彼ら12枚目のアルバム「Abracadabra」からの最初のシングルがこのタイトル曲で、久し振りのNo.1を記録しました。

"Abracadabra"ですが、やっぱりギターが特徴的で素晴らしい。ギターの音色が何とも心地よい。
それでもシングルヒットしそうもない曲だとは思う地味な曲なのですが、こういう曲も大ヒットしてしまう、洋楽の世界はとっても面白いです。

この曲、チャート的には興味深い曲。まずは1位への返り咲きについて。
1位への返り咲き曲は意外に沢山あると思いますが、思い出すのは1979年の年間チャート3位Chicの"Le Freak"、この曲2回1位に返り咲いているのですよね。
もうひとつは1977年のヒット曲Andy Gibbの"I Just Want To Be Your Everything"とThe Emotionsの"Best Of My Love"。この2曲は交代で1位に返り咲いた珍しい曲で、年間チャートも2位と3位でした。

話がそれましたがもう一つチャートエピソード、彼らの1976年のNo.1ソング"Rock'n Me"、その前週に1位についていたのがChicagoの"If You Leave Me Now"、6年を経て今回もChicagoから1位を奪ったのでした。


今週 先週 song / artist
1 2 ABRACADABRA / STEVE MILLER BAND
2 4 JACK & DIANE / JOHN COUGAR
3 1 HARD TO SAY I'M SORRY / CHICAGO
4 3 EYE OF THE TIGER / SURVIVOR
5 5 YOU SHOULD HEAR HOW SHE TALKS ABOUT YOU / MELISSA MANCHESTER
6 9 EYE IN THE SKY / ALAN PARSONS PROJECT
7 12 WHO CAN IT BE NOW? / MEN AT WORK
8 18 SOMEBODY'S BABY / JACKSON BROWNE
9 8 HURTS SO GOOD / JOHN COUGAR
10 11 LOVE IS IN CONTROL / DONNA SUMMER
11 10 TAKE IT AWAY / PAUL MCCARTNEY
12 14 YOU CAN DO MAGIC / AMERICA
13 13 LOVE WILL TURN YOU AROUND / KENNY ROGERS
14 15 BLUE EYES / ELTON JOHN
15 21 I KEEP FORGETTIN' / MICHAEL MCDONALD
16 16 THINK I'M IN LOVE / EDDIE MONEY
17 17 ONLY TIME WILL TELL / ASIA
18 20 LET ME TICKLE YOUR FANCY / JERMAINE JACKSON
19 22 HOLD ON / SANTANA
20 25 DO YOU WANNA TOUCH ME / JOAN JETT & THE BLACKHEARTS
21 26 I RAN (SO FAR AWAY) / FLOCK OF SEAGULLS
22 24 WHAT'S FOREVER FOR / MICHAEL MARTIN MURPHEY
23 23 HOT IN THE CITY / BILLY IDOL
24 27 BIG FUN / KOOL & THE GANG
25 29 JUMP TO IT / ARETHA FRANKLIN
26 30 GLORIA / LAURA BRANIGAN
27 36 BREAK IT TO ME GENTLY / JUICE NEWTON
28 28 NEVER BEEN IN LOVE / RANDY MEISNER
29 31 VOYEUR / KIM CARNES
30 33 MAKE BELIEVE / TOTO
31 34 YOU DROPPED A BOMB ON ME / GAP BAND
32 7 HOLD ME / FLEETWOOD MAC
33 35 THE ONE YOU LOVE / GLENN FREY
34 43 DON'T FIGHT IT / KENNY LOGGINS WITH STEVE PERRY
35 45 GYPSY / FLEETWOOD MAC
36 39 YOU DON'T WANT ME ANYMORE / STEEL BREEZE
37 37 HOLDIN' ON / TANE CAIN
38 38 OH JULIE / BARRY MANILOW
39 51 HEART ATTACK / OLIVIA NEWTON-JOHN
40 40 LET IT BE ME / WILLIE NELSON

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22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ダイアナの魔力 (音時)
2018-09-26 00:21:37
http://neverendingmusic.blog.jp/archives/12486902.html

ほんとチャートファンのなかでは「返り咲きNo1」曲として有名ですよね。"アブラ・アブラ・カダブラ…"と呪文をかけて落ちかけていた順位をまた引き上げたとしか思えない…(笑) スティーヴがダイアナ・ロスを見て、イメージで曲を書いたといいますが、ホントかな。でもダイアナは、魅力というか魔力がありそうな女性ですよね!
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年間チャート (ぴょんた)
2018-09-26 19:54:25
9位なんですね、この曲。前作の「Heart Like A Wheel」が軽くてチャート的に目立たなかったので、この曲もそうなのかと思っていたら、少しずつ上がってダウンしてもまた返り咲き。日本人でも覚えやすい歌詞と、スティーヴミラー独特のギターが長くチャートインした理由かな?
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呪文の効果 (星船)
2018-09-26 21:03:27
音時さんこんばんは。
この曲のチャートの動き、良く覚えていますよ。それだけ当時もチャートの動きは話題になっていました。
特に地味な曲でよく1位になれたなぁと思っていたところ、ダウンして再び上昇したので印象深かったのだと思います。
呪文効果はなかなかのものです。
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久し振りの (星船)
2018-09-26 21:13:49
ぴょんたさんこんばんは。
そうでした、"Heart Like a Wheel"は久し振りの彼らのシングルヒットでしたが、最高24位といまいちの結果でした。アルバム「Circle of Love」も最高26位でしたし、B面が1曲だけという変わったアルバムでした。
そして次に出た"Abracadabra"、シングルもアルバムも意外な大ヒットでした。シングルは驚きの年間9位、アルバムも最高位3位を6週間続ける、久し振りの大ヒットアルバムでした。
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まさかの大ヒット (hannah)
2018-09-26 21:41:00
星船さん、こんばんは。
ちょうど♪Fly Like An Eagle♪がヒットしていた頃、日曜日の午後の東芝EMIの曲をかける番組でよくオンエアされていまました。アメリカンロックの偉大なグループであることを知りましたが、81年の♪Ciecle Of Love♪がコケて、わずか9か月後のリリースなのであまり期待していませんでした。
この曲のよさはディスコっぽくないノリと間奏のユニークなギターですね。年間9位で82年の特徴ある大ヒットでした。
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"Abracadabra"と"Hard To Say I'm Sorry"、痛み分け (ms-database)
2018-09-26 22:02:14
こんばんは!


"Abracadabra"と言えば、返り咲き、と条件反射のように連想してしまいますが、セールスを重視するCashboxでは"Hard To Say I'm Sorry"を押さえて5週間1位を独走。同誌の1982年年間チャートでは"Eye Of The Tiger"に次いで堂々2位に収まっています("Eye Of The Tiger"はCash Boxでは4週1位)。
しかし、エアプレイチャートであるRadio & Recordsでは"Hard To Say I'm Sorry"が4週1位に輝いたのに対し、"Abracadabra"は3位止まり。おそらくセールスでは"Abracadabra"、エアプレイでは"Hard To Say I'm Sorry"にそれぞれ軍配が上がり、Billboardではそれぞれ2週ずつ1位を分け合った、という感じなんでしょうね。
いずれにしろこの2曲、チャートマニアの痒いところをくすぐる絶妙のチャートアクションを各チャートで披露してくれ、40年近くたった今も鮮明な記憶として残っています。

なお、Billboradでの返り咲き1位についてはこちらでご確認ください(少しネタが古いですが)。
http://msdb.blog75.fc2.com/blog-entry-683.html
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Unknown (実験鼠)
2018-09-27 19:45:18
シカゴの曲も好きでしたが、この曲も好きでした。やはりこの時期は好きな曲が多いです。
シカゴとスティーヴ・ミラー・バンド、デビューもほぼ同時期ですね。チャート上でもいいライバル関係(?)だったのかも知れません。
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意外な大ヒット (星船)
2018-09-27 21:03:46
hannahさんこんばんは。
私も彼らのことを知ったのはアルバム「Fly Like an Eagle - 鷲の爪 」、シングルでは"Rock'n Me"と"Fly Like an Eagle"の大ヒットでした。特徴あるギターとシンセサイザーが独特の雰囲気を出していますよね。
"Abracadabra"がチャートに入ってきたとき、こんな大ヒットになるとは夢にも思いませんでした。20位台が良いところかな、と。それだけこの曲の大ヒットは意外でした。
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返り咲き1位 (星船)
2018-09-27 21:15:47
ms-databaseさんこんばんは。
私も"Abracadabra"ですぐに思い出すのは意外な大ヒットであり、驚きの1位返り咲きです。
なんとビックリ、Cashboxでは5週間のNo.1ですか。やっぱりレコードが売れたのですね。"Hard To Say I'm Sorry"との違いも際立っていますね。
実は、この記事を書くにあたって、ms-databaseさんのブログで1位返り咲き特集がないかなぁ、と探してしまいました。今回記事にしていただいたのでゆっくり拝見しました。そういえばチャビー・チェッカーの「ザ・ツイスト」ですが、「ビルボード55周年 歴代Hot100 」の栄えあるNo.1でしたね。2年の時を経て1位になった記念すべき曲でした。
それにしても返り咲き1位は結構たくさんあるのですね。
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1位交代劇 (星船)
2018-09-27 21:55:01
実験鼠さんこんばんは。
シカゴ→スティーヴ・ミラー・バンドの1位交代劇はロックファンとしてはたまらないうれしい出来事でした。両方とも大好きな曲で、両方応援していました。
この時のチャート、他にもフリートウッド・マックやCSNが上位にチャートインしているし、新しいサーバーバーなどのロックもあり毎週ワクワクしながら全米Top40を聞いていました。
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