下村敦史の『闇に香る嘘』を読んだ。江戸川乱歩賞受賞作。
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全盲の主人公の孫は腎不全で、透析が必要だ。娘(孫の母親)の腎臓を移植したものの拒絶反応が出て、主人公の腎臓も移植に向かない。終戦時満州で生き別れになり、中国残留孤児として帰国した兄に腎臓提供に向けた検査を依頼するのだが、検査すら拒否される。実は兄は本当の兄ではないのでは?と疑念を抱き調べていくのだが・・・。
サスペンスフルかつスリリングな展開にページを繰る手を止められず一気に読了。主人公が全盲っていうのが大きなポイントで、視覚から情報が得られないので、読む方としてもハラハラドキドキ。さらに終盤に明かされる真実に驚愕。良質なミステリーというだけでなく、家族の絆を描く作品で、読み応えあり。読んでおかないともったいない。以下ネタバレなので未読の方は読まないように。
実は主人公と兄は実の兄弟ではないというのが驚きの真実で、母も兄もその事実を隠そうとするのではなしがややこしくなる。さらに実の兄も登場していっそう混乱することに。予想はしてたけど、最後はハッピーエンドでよかったよ。