横山秀夫の『陰の季節』を読んだ。D県警を舞台に描くミステリーの短篇集。表題作は松本清張賞受賞とのこと。
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通常の警察ものと言えば殺人などの事件が起こって、それを警察が捜査していくのを描くのだが、この作品はちと違っていて、警察内部で起こった事件を描くお話し。例えば、天下り先を2年で辞めるはずのOBが辞めないために人事に支障をきたすとか、警察内部での密告文書の調査とか、婦人警官が出勤しないとか、県議が県議会で警察を責める質問をしそうだが内容を教えてくれないとか、外部から見れば事件とも言えないような出来事をスリリングに描いていく。作者の巧さがよく表れている一級のミステリーで読み応えあり。面白くて頁を繰る手を止められずに一気に読了。ミステリー好きにおススメできる作品だ。
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