樋口有介の『ピース』を読んだ。秩父で起こる連続殺人事件を描くミステリー。
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物語の中心はダイニングバーのラザロ。そこで働くピアニストの成子がバラバラの遺体で発見される。その少し前に隣町でもバラバラの遺体が見つかっており、連続バラバラ殺人事件だ。さらに第三の被害者も出て・・・。
意外な犯人と、これまた意外な動機でそれなりに楽しめる作品だが、その前提が途中まで語られないので、謎解きの楽しみはない。さらに犯人が分かった後で語られる老刑事の謎解きもちと無理があるような気がする。ちなみにタイトルのピースは殺人の動機につながっているらしい。
以下ネタバレを含むので未読の方は読まないように。
けっこうメインで語られる人物は事件と関係なく、それまでほとんど登場してなかった写真家が犯人だといわれても・・・。さらにその動機も日航機の墜落事故にあって、そんな動機あり?そのあたりなんだかなぁって感じで・・・。読者からするとミステリーの要素が弱く、ちと喰い足りない印象だ。