ニックの家族。ユダヤ人の両親は既に他界したが、お兄さんはカリフォルニアで無事に、幸福に暮らしている。
ユダヤ新年のロシュハシャナーが終わり、今日の日没から贖罪の日、ヨムキッパーが始まった。断食に入った。何を言っておるやらと思う人は、いずれそのうち発売される夏井いつき&ローゼン千津姉妹で俳句と人生を語る本の第二弾を買って下さい。それに詳しく喋るのでここでは言わない。断食中は、ユダヤの歴史を学び、去年一年の反省をして来年の抱負を語る。
例年は、ニックが弾くヨムキッパーの典礼歌「コルニドレイ(ブルッフ作曲)」を聞くのだが、今年は特別に、ニックの友人デニスの演奏ビデオを聴いた。コロナに罹患して、一旦呼吸停止し、呼吸器に延々と繋がれた後生還、その後ICUでまた延々と闘病し、回復してから麻痺してしまった指の手術を受け、退院しリハビリをし、チェリストとしてカムバックした人が、全世界のコロナ患者に捧げた『コルニドレイ』を聴いたのである。泣けた。彼に電話してお祝いを言い、互いの無事と来年の幸運を祈り合った。
明日の日没まで断食なので、例年のように5時(日没前)頃に腹一杯ディナーを食べ、赤ワインを飲んだ。もうお腹いっぱい。一刻も早く寝て、明日の日没まで寝ていたい。が、明日はレッスンも仕事も休んで一日中空腹の臭い息を吐き合いながら議論しなければならない。
私はユダヤ人とはいえアメリカ人と結婚してしまって、世界平和や政治の話を始めたら第二次世界大戦の話は避けては通れないのが辛い。新婚の頃離婚しかけたので、金輪際話さない事に決めた。とはいえ、不戦宣言に署名した以上、不戦だけは守って貰わねばならない。裁判をしないで和解出来るように、戦争を回避して和解する道は必ずある。どんな手段であろうと、戦争を止められる、人類の殺し合いを止められる政治家を私は支持する。そんな話をする。