ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
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兵庫県知事選挙に思う

2024-11-24 19:10:45 | 時事

もう一週間前のことになりますが、兵庫県知事選挙で出直し立候補した斎藤元彦氏が再選されるということがありました。

いろいろあってタイミングを逸したので、この件について本ブログでは何も書きませんでしたが……一週間が経過しても、まだこの話題をめぐっていろいろざわついているようです。そういうことなので、ここでちょっと私も思うところを書いておこうと思います。


振り返ってみると、今年は、選挙という制度について考えさせられることがいろいろとありました。

沖縄県議選。東京都知事選。衆院選。アメリカ大統領選挙、そして兵庫県知事選……

とくに、直近のものとして、アメリカ大統領選挙や兵庫県知事選は、非常にカオスな感じがありました。これは都知事選にもいえるかもしれませんが、ウェブ上の無秩序空間がいよいよ現実の選挙に無視できない影響を及ぼし始めたような……

兵庫県知事選に関しては、そもそもパワハラ問題というのがあって、選挙期間中にもいろいろと騒動があり、今また公選法違反疑惑が持ち上がっていたりするわけですが……私がこのカオス状況で声を大にしていいたいのは、多数決は“正しさ”を担保するものではない、ということです。
東国原英夫氏が今回の選挙の結果を受けて謝罪したという話がありましたが、そこで謝罪になるのはおかしいと私としては思います。
参考までに、その動画を載せておきましょう。

東国原英夫 兵庫県知事選挙で、そういう県民の皆さん、有権者の方たちが選ばれた斎藤知事っていうのは…

氏も注意深く言葉を選んで話してはいますが、つまりは、選挙で勝ったということを正当性の根拠としているように聞こえます。
それは違うだろう、と。
多数決とか選挙とかいうのは選択の一手段にすぎないのであって、「多数決で決まった」=「正しい」ということではないはずです。たとえば、正誤の判断が比較的つけやすい科学の歴史を見てみれば、多数意見が間違っていたことは山ほどあります。多数決で決まったことと、その判断が正しいかどうかは別問題なのです。
たしかに、東国原氏がいうように、民意は重いでしょう。しかしそれは、多数決で決めた方針にとりあえずは従いましょうということであり、それに反対したり間違っていると批判してはいけないということではありません。それがすなわち少数意見の尊重ということであり、そこを間違えると、多数決主義は暴走のリスクを抱えることになるでしょう。
まして今回の兵庫県知選挙は、関連する種々の報道をみていても、相当に危うい、選挙制度そのものが危機にさらされた選挙だったように思えます。そこはきっちり批判すべきであって、何であれ選挙に勝ったのだから文句をいえないということではないでしょう。件の動画の後半部分で東国原氏が語っているのは、そういった点も踏まえた内容だと思われますが、ウェブ上の虚実入り混じったカオスが選挙の結果に影響を与える状況は、本当にどうにかしないといかんと思います。


歴史を振り返れば、選挙というシステム自体は相当昔から存在しています。
それらのなかには、それはどうなんだと思えるようなものも少なからずありました。
たとえば中世ポーランドの選挙王政というものがあります。貴族たちのあいだで選挙して王様を選ぶという仕組みですが、これで王様を選んでいた結果、貴族たちがそれぞれ自分に都合のよいものを王様にしようと工作し、そうした閥族間の抗争が外国勢力の介入を誘発することもあり、結果としてポーランドを弱体化させたといわれます。
そういう人類の歴史というスケールでみれば、選挙というのは、イコール民主主義ではないし、そこで出た結果を神聖視するようなものでもない―と私としては思います。選挙制度が民主的な社会を支えるものであるためには、なにかプラスアルファがなければならない……昨今の選挙をみていると、そのプラスアルファ、選挙制度を民主主義の礎たらしめる土台が崩れつつあるようにみえます。その土台をきっちり固めなおさないと、いずれ深刻な問題に直面することになるんじゃないでしょうか。




ピート・シンフィールド死去

2024-11-17 22:07:27 | 日記


ピート・シンフィールドが死去したというニュースがありました。

キング・クリムゾンで作詞を担当し、プログレ世界の構築に大きく寄与してきた人物です。普通、楽器演奏者ではない人をバンドのメンバーにはカウントしないと思いますが、この人はキング・クリムゾンの主要なメンバーという位置づけでした。バンドメンバーの出入りが激しいことを考えれば、ロバート・フリップと並ぶ初期クリムゾンのツートップとさえいえるかもしれません。クリムゾンを離れてからも、ELPやロキシー・ミュージックといった先進的なアーティストと関わってきました。

享年80歳ということなので、天寿をまっとうしたといえるでしょう。

おそらく、同じ引用をしている記事がほかにもたくさんあると思いますが……やはり、この訃報で思い出すのは Epitaph です。

King Crimson - Epitaph (BBC Radio Sessions, 1969)

「混乱」が私の墓碑銘となるだろう…

シンフィールドの書いた詩の中でも、このフレーズは、プログレの誕生を宣言するものとして広く知られています。

彼の詩がなければ、ロックにおけるプログレという要素はこうまで大きく育たなかったかもしれません。
プログレにおける偉大な詩人に、哀悼の意を表したいと思います。



ベースの日2024 ヴィンテージⅪ

2024-11-11 21:03:12 | 日記


今日11月11日は、「ベースの日」。

毎年この日は、ベース関連の記事を書いています。
で、今年は「ドラムの日」と同様、ヴィンテージシリーズでいきましょう。Youtubeで保存していた動画を蔵出しする企画……11月11日で、ちょうど11回目ということになります。



ジーン・シモンズ。
今年ブラジルでのフェスでモーターヘッドのAce of Spades をカバーする動画がありました。

Gene Simmons Band - Ace Of Spades (Summer Breeze Festival - São Paulo - 26/04/2024)


本家モーターヘッド。
セックスピストルズのカバーで、God Save the Queenです。これは一度どこかで載せたかもしれませんが……

Motörhead – God Save The Queen (Official Video)


最近このブログでは、ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタルの話をよくしていました。
モーターヘッドは、アイアン・メイデンと並んでその代表格といえるバンドですが、NWOBHMムーブメントにおいてその弟分と目されていたバンドがTank。
中心人物のアルジー・ワードは、一時期ダムドでベースを弾いていたことがあります。

Blood, Guts and Beer

ダムドといえば、初期UKパンクの代表的バンド。NWOBHMは、ヘヴィメタルでありつつも、それまでの音楽の地層を踏まえているわけです。


タンクがモーターヘッドの弟分だとするならば、妹分というべきバンドがGirlschool。
特にベーシストがどうこうというネタもないんですが、話の流れでついでに。
彼女らが、T-REXの20th Century Boy をカバーしています。

20th Century Boy

NWOBHMのバンドには印象的なグラムロックのカバーがいくつかあると書きましたが、この曲もその一つといえるかもしれません。
ただ、その当時はアメリカ進出を狙ったあざとい戦略みたいに見られて不評だったとか。


ここでNWOBHMから離れて……
マイク・ワット。
ブラックフラッグのグレッグ・ギンが立ち上げたSSTレコードから出てきたバンド、ミニットメンでベースを弾いていた人です。ミニットメンは、フロントマンが不慮の死を遂げたことで活動終了し、マイクはその後ストゥージズのベースに。そのストゥージズも、メンバーが相次いで死去し、現在は活動停止状態。ということで、事実上、マイク・ワットはストゥージズ最後のベーシストとなりました。
そんなマイクが、トム・モレロらと共演する動画がありました。

Alison Mosshart, Wayne Kramer, Tom Morello, Stevie Van Zandt, Mike Watt & Joey C - Turn Up The Mains

MC5のウェイン・クレイマーも参加しています。
ウェインは今年死去したということで……このマイク・ワットという人は共演者に次々と先立たれているわけです。こういうラストマン・スタンディングな感じは、ベーシストらしくていいんじゃないでしょうか。


スージー・クアトロ。
ロックスタンダードともいうべきAll Shook Up をカバーしています。

All Shook Up - Suzi Quatro | Tee Midnight Special


デイヴ・スピッツ。
弁護士資格をもつという異色のメタルベーシストです。“ザ・ビースト”というおよそ弁護士らしからぬ通り名をもっています。
この人は、ごく短期間ながらブラックサバスにいたことがありました。その時期のアルバムSeventh Star のタイトル曲。

Seventh Star (2009 Remaster)

この時期のサバスはトニー・アイオミ以外のメンバーが流動的になっていた迷走期ということになるでしょうが、HR/HM界隈の猛者たちが出入りしているのでメンバーは豪華です。
ドラムには、後にKISSのドラムとなるエリック・シンガー。ボーカルは、ディープ・パープルを脱退したグレン・ヒューズとなっています。


アイオミとグレン・ヒューズという組み合わせでは、最近コラボがありました。ヒューズは、ボーカリストとしても一流ですが、本職は(たぶん)ベースです。

Tony Iommi feat. Glenn Hughes - Dopamine (Official Lyric Video)


ベースボーカルとしてのグレン・ヒューズでもう一曲。
彼は現在Black Country Communion というバンドをやっています。ギターにはジョー・ボナマッサ、ドラムには、ジョン・ボーナムの息子であるジェイソン・ボーナム。キーボードには、元ドリームシアターのデレク・シェリニアンというスーパーバンド。

Black Country Communion - The Ballad of John Henry - Live Over Europe DVD

グレン・ヒューズは、このバンドが終の棲家になるかもしれないというようなことをどこかでいっていました。となると、もうディープ・パープルへの復帰はないのかもしれません。


ディープ・パープル歴代ベーシストをもう一人。
現ベーシストのロジャー・グローヴァ―が、マイケル・シェンカーとコラボした動画がありました。歌っているのは、ヨーロッパのジョーイ・テンペストです。

MICHAEL SCHENKER - Only You Can Rock Me feat. JOEY TEMPEST & ROGER GLOVER


クリス・ノヴォセリック。
ニルヴァーナのベーシストです。今から10年前、ニルヴァーナがロックンロール栄誉の殿堂入りを果たした際に、ジョーン・ジェットとともにSmells like Teen Spirit を演奏している動画がありました。ノヴォセリックがジョーン・ジェットを招き入れています。

Nirvana w/ Joan Jett – "Smells Like Teen Spirit" | 2014 Rock Hall Induction

ちなみに、ギターを弾いているのは、パット・スメア。この人も、レジェンド級のギタリストです。LAパンクの伝説ジャームスでギターを弾き、後にニルヴァーナのツアーをサポートしたりしていました。おそらくはその縁で、いまはデイヴ・グロールのフーファイターズでギターを弾いています。


再びクリス・ノヴォセリックに注目して……彼がやっているバンド、3rd Secret。

3rd Secret — "I Choose Me" Live Performance at MoPOP (Official)

デイヴ・グロールがやっているフーファイターズに比べるとあまり知名度は高くないと思われますが、このバンドもなかなかのスーパーバンドです。ギターにはサウンドガーデンのキム・セイル、ドラムにはパール・ジャムのマット・キャメロン(サウンドガーデンにも一時在籍)がいて、グランジオールスターズともいうべき顔ぶれとなっています。



ここからは、「基本はベーシストだけどベースを弾いてるわけじゃない」動画を。



アンディ・ベル。
オアシス再結成で、ギャラガー兄弟以外のメンバーは誰なのかということが話題になっていましたが、そこでベース候補として名の挙がる一人がアンディです。
いわゆるシューゲイザーの代表的バンドであるライドのギタリストですが、かつてオアシスでベースを弾いていたことがあります。オアシスからノエルが脱退した後に残されたメンバーで作ったビーディ・アイにも残留(ただし、ギターとして)。このバンドは、東日本大震災の際に、チャリティシングルとしてビートルズの「アクロス・ザ・ユニバース」をカバーしたりしていました。

Beady Eye - Across The Universe

しかしビーディ・アイも数年の活動で解散し、アンディ・ベルはライド再結成に合流しました。ライドはライドでレジェンド級のバンドなので、アンディが再結成オアシスに参加するのはちょっと厳しいかもしれません。


ダフ・マッケイガン。
ガンズ&ローゼズのベースです。彼が、セックス・ピストルズのギタリストであるスティーヴ・ジョーンズと共演する動画が最近公開されています。
曲は、デヴィッド・ボウイのカバーで Heroes。

Duff McKagan - Heroes Live from Islington Assembly Hall feat. Steve Jones of Sex Pistols

ダフ・マッケイガンがギターボーカルなのはともかくとして、なぜスティーヴ・ジョーンズがアコギのコード弾きしかしていないのかは謎。せっかく出てきたんだからリードギターをやったらよさそうなもんですが…


ロジャー・ウォーターズ。
パール・ジャムのエディ・ヴェダーとともに、名盤The Wallのなかの一曲をやっています。

Roger Waters & Eddie Vedder: "Comfortably Numb" Live at "12-12-12" The Concert for Sandy Relief (HD)


ジャック・ブルース。
この人は、ドラムの日にも登場しました。そのときはコージー・パウエルとの共演ということでしたが、ここではジェスロ・タルのイアン・アンダーソンらと共演。ベースではなく、鍵盤を弾いているというレア動画です。

Fela Kuti/Jack Bruce/Ian Anderson/Eberhard Schoener&Band - Jam Session (Circus Atlas, 15th Nov 1983)

タイトルや動画全体の感じからして、主役はフェラ・クティでしょう。
この人はナイジェリアのアーティストで、いわゆるアフロビートの先駆者。ナイジェリアの抑圧的な体制と闘ってきた闘士でもあります。


フィル・ライノット。
ジョン・サイクス、リック・ウェイクマンと共演する動画がありました。この動画でのフィルもベースを弾いてはいませんが……

Phil Lynott & John Sykes - The Man's A Fool (GasTank Ep 3) | Rick Wakeman

ジョン・サイクスのギターとリック・ウェイクマンのキーボードの掛け合いはなかなかエキサイティングです。ベースの話ではありませんが……


最後に、フィル・ライノットでもう一ネタ。
彼がベースボーカルをつとめていたシン・リジィのニューアルバム発表という話題があります。フィル本人はすでに死去しており、もはや祖国アイルランドに銅像が立っているような伝説上の人物なわけですが……過去の音源を使用して、アコースティックバージョンのアルバム。そのなかの一曲が、Youtubeで公開されています。

Thin Lizzy - Whiskey In The Jar (Acoustic Version) [Official Lyric Video]


アメリカ大統領選、トランプ返り咲きか…

2024-11-06 22:43:06 | 時事


アメリカ大統領選が、いよいよ投開票を迎えました。

結果、トランプ氏の当選確実ということです……
一応まだ確定ではないかもしれませんが、複数の現地メディアが当確を出しているということなので、ほぼ決定なのでしょう。



まあ、ハリスさんが民主党の新たな候補に決まった時点で、この結果はある程度覚悟していました。

最後の最後で、いわゆる“ガラスの天井”が立ちはだかるだろうということで、下馬評で10ポイントぐらいの大差がつく感じでもなければ勝てないだろう……と。選挙直前の調査で接戦となっているようでは厳しいとみていました。

私にいわせればトランプなどという人は論外で、大統領どころか一政治家にすらなるべきではない人物ですが、残念ながらそれが支持されてしまう……
この現実に向き合うための心の準備といったらなんですが、一期目の様子を見ていて、ある程度の楽観もあります。トランプ氏はいろいろと無茶な政策を掲げていますが、本当にトンデモな政策は、結局のところどこかの時点でストップがかかり、実現にはいたらないんじゃないかと。
その最後の砦といえるのが、憲法です。
たとえ大統領が決定しようが、憲法に反していればひとまず押し通すことはできないわけです。それが、憲法というものの存在する意義です。主権者である選挙民が(私からすれば)誤った判断をくだしたとしても、最終的には憲法が逸脱を止める……とりあえずは、アメリカ合衆国憲法がその機能を果たしてくれることを願うばかりです。



ゴジラ新作制作へ

2024-11-03 22:31:11 | 日記


本日11月3日は、文化の日……

ですが、ゴジラの日でもあります。

毎年この日はゴジラフェスというものが行われており、今年も開催されました。
毎回、新作のショートフィルムがあって、これがゴジラファンにとっては嬉しいものとなっております。
去年は、『ゴジラ対メガロ』50周年ということで、メガロとジェットジャガーが登場。ジェットジャガーのほうは、次回に続くというような形になっていて、今年その続編が公開されました。
下は、その予告編動画です。
例年だと、本編の動画も東宝のチャンネルにアップされるんですが、今年は今のところまだ出ていないので……

『フェス・ゴジラ5 怪獣大決戦』予告編

本編のほうは、ゴジラフェス全体の配信映像で見ることができます。
今年はメカゴジラ50周年ということで、メカゴジラが出て来るんじゃないかと思ってたんですが……観てみると、そういう話ではありませんでした。今年は、キングギドラ誕生60周年ということでもあり、キングギドラのほうにフォーカスした動画となっているのです。
ゴジラの長い歴史において、実はメカゴジラとキングギドラは一緒に出てきた作品が一つもなく、そのドリームマッチがいよいよ実現するのかと思っていたんですが……それは持ち越しということに。


ところで、ゴジラといえば、ホットな話題として新作の制作決定という話がありました。

『ゴジラ -0.1』のヒットを受けて、続編が制作されるということです。新たなゴジラサーガの展開……こちらも、大いに期待したいところです。