町ではあまり見かけない花だが満開の娑羅双樹(ナツツバキ)を散歩の途中で偶然見つけた。“うちの奥さま”喜んだ。
結婚する前からナツツバキは大好きだったという。
日本でこのサラノキ、シャラノキ等とされているものは、ツバキ科ナツツバキ族の落葉高木。日本において無常の象徴とされているのがこの植物だという。仏教の聖樹、フタバガキの沙羅樹(さらのき)に擬せられこの名がついたといわれる。
転勤族だったサラリーマン時代に無理をして家を建てたが、しばらくは転勤で住むことができなかった。その間、我が家の小さな庭は荒れ放題。
やっと転勤族に終わりをつげ、熊本に帰り我が家に落ち着いたのが約20年前。早速小さな庭に植木を植えることとした。
もみじややまもも、やまぼうしにアメリカはなみずき、植木屋さんに言われるままに沢山の木を植えた。ところが“うちの奥さま”、どうしてもナツツバキを植えると言う。少女時代の思い出の残る大好きな花だったのだろうか。
年ごとに木は大きくなる。20年もたつと我が家の小さな庭はまるで林のよう。平屋建ての家の屋根をとっくに追い越した。ところが“うちの奥さま”が大切にしていたナツツバキ、多分、我が家の土にはなじめなかったのだろう。3年目には枯れてしまった。
“うちの奥さま”が白い可憐な花を懐かしく我が家で観賞したのはわずか1年だけとなってしまった。
それ以来ナツツバキを見ることがなかった。散歩の途中で偶然この花に出会った“うちの奥さま”喜ぶこと喜ぶこと。たとえようがない。
一枝そっといただき居間の花瓶に差してみた。
ところがこの花、一夜花。翌朝この花ポロリと床に落ちていた。
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