庭の落ち葉の中に”蕗の薹”(フキノトウ)を見つけた。例年よりも随分と早い。
平成最後の大晦日。お正月に向けての準備が大変。”御鏡” を飾った。しめ縄も張った。部屋の飾りもそれそうとうに出来上がった。
リビングの壁に "鬼凧(オンダコ)" が落ち着いた。
"鬼凧(オンダコ)"は、昭和60年(西暦1985年)に、玄界灘に浮かぶ夢の浮島”壱岐”に転勤した時に買ったもの。その後、私たちと一緒に何度も転勤し、毎年お正月にはお部屋の壁に飾られたものだが、寄る年波には勝てず随分と傷んでいる。これも今年で最後となるのだろうか。
壱岐にいたのは短い間だったが、たくさんの忘れられない思い出ができた。その中の1つ。今ヒット中のNHK朝の連続テレビ「まんぷく」さんで大活躍の松坂慶子さんと、たくさんの観衆の前で握手できたこと。
壱岐に赴任した2月。松竹映画、高木のぶ子さんの「波光きらめく果て」の撮影のため松坂慶子、渡瀬恒彦、大竹しのぶの3人の俳優さんが、1月以上も壱岐に滞在されることを知った。この作品を、何とかして、当時ブームのテレホンカードにできないものか、単独でプロジュ-サーに申し出た。紆余曲折はあったものの、映画のワンシーンの写真を無料で使わせていただくことができ、テレホンカードが出来上がった。
11月に映画は完成した。全国公開の前に、勝本町の「壱岐文化ホール」で特別試写会が開かれた。もちろん3人の俳優さんも出席され、会場の文化会館には1000人近くの人が集まった。その席で松坂慶子さんに花束を贈呈する役を仰せつかった。細く柔らかい手の感触だった。
島の人たちは、私たち転勤者を”旅の人”と呼び、島の人々の生活の中に、私たち”旅の人”を暖かく自然に包み込み、たくさんの楽しい思い出を与えてくれた。大晦日の夜、壁の"鬼凧(オンダコ)"を眺めているうちに34年も前のことを、昨日のことのように思い出す。いくつになっても思い出は大切なもの。
来年もまた、たくさんの思い出ができることを願っています。好いお正月をお迎えください。