「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

日本と世界のリアル状況確認と僕の思索を書き留めるブログ。
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窒素注入後に1号機におきていることなどから考える

2011-04-09 00:06:07 | 福島第一原発と放射能

窒素注入後に本当に何が起きているのか、計測器の故障と言うたまたまの事柄だけなのか、なぞは残りますが、そもそも窒素注入はどういうことなのか、小出先生にも聞いてみた中身です。

容積が限られている中で窒素をいれるということは、あたりまえだけれども、高濃度のガスを出すことにつながる。でも、そうすると、影響はでますよ。できればやりたくない。できればやりたくないけれども、やるしかない。やらざるをえない圧力の問題もあるし、水素爆発の危険の回避もある。。つまり、元々、日本の原子力の皆さんはそういう手法でやってきたのですから、今回もそういう感じでやるのがごく普通かもしれません。ドライベント並みの高濃度の放射能が結果的に出ても、先にきちんと報告しないと言うのも従来からの体質となんら変わらないと思いますよ。危険度は変わっていないのですが、結果がいつ出るのかと思いつつつづけて、破局が来るのか来ないのか、見えないまま一ヶ月が過ぎた。悪くなる方向はもちろんあるままですけれども、こうしたよくわからない状態が数ヶ月続くことも想定できるでしょう。これは冷やし続けるしかない。水を入れ続けるしかない。水は大量に入れ続けるしかない。この水をどうするのかという手段はほとんど何もない。大量に掛けて冷やし続けるしかない。たまった水は大量になる。大量になればなるほど、処理する術がない。結局海に流すしか方法が無い。そうすると目に見えるところで、大量の海水に流れているという報道になるけれども、実は地下のコンクリートで、目に見えない形でしみこんでいる。ずっとしみこんでいる。これは判らないから議論もされなさそうだけれども、本当はずっと多いですよ。この一連の流れで地下のコンクリートが健全な状態だと考えるほうが不思議。目に見えないから認識されにくいだけですよ。そして、もちろん大気中に放射性物質は降り続ける。今の状態は最低で数ヶ月は続きますし、場合によっては年単位で続く。今の段階でも最悪のシナリオは回避できると、自信をもっていえないんですよ。発生から、一週間程度で、僕は決着すると思い込んでいたのですが、結局そうはならず、事態はずっと継続されたままなんですよ。それでも、最悪の状態が回避されたとはとても言えない感じなんです。一つは、燃料の崩壊熱があまり減っていないことです。一ヶ月たつのにあまり減っていない。一ヶ月が経過していますが、この時期では崩壊熱はへり方がゆっくりとなるんです。こっからが長いんですよ。最初は急速に下がりますが、もうこの段階は逆にへり方がゆっくりだから、崩壊熱は長く続く。人は生身、被曝線量とのからみで働ける人が一体どこまで残るのか、どこまで続くのか、兵站がこちらからは見えにくくさらになります。そういうことから考えて危険は去っていないし、やはりその方向に進んでいる状態だと゜私は思います。どこまでも、続いていますよ。

 小出先生もおっしゃるように、水で冷やす以外の有効な解決策が捉まらない中、官邸にはある種の土木作業的なプランが次々と持ち込まれているようです。ただ、水以外に冷やす方法が結局無ければ、土木作業的なことは副次的な汚染防止という意味合いをなかなか超えることはできないかもしれません。そうすると冷やすための兵站というのをどう考えるのかということにるのかもしれません。

 そういう点から、これは、考え方として興味深いと思ったので紹介しますが、山田さんと言う方がいて、福島原発阻止行動プロジェクトとというのを立ち上げたそうです。存在をきょう知って、先ほど電話で話しましたが、山田さん自身は、住友系のプラントエンジニアリングの仕事をされていて、今は六十歳をすでに超えられています。彼は、元々、左翼系の人で(こんな大雑把な括りですいませんが)、反安保の写真展なども企画されていますが、今回の発想には、彼の元々からある、政治的なスタンスを超えて、僕には面白かったです。六十歳以上の退役の技術者が一定数集まって、福島第一原発で身を挺してやりたいというのです。高被曝を覚悟して一ヶ月で、冷却システムのプラントをくみ上げてしまうと言うものです。要は、自分たちは年寄りで死んでもよいから、これ以上の災厄を食い止めたいから、決死隊として冷却システムを作るからやらせてくれと言う話です。彼も今の状態は汚水を流しても冷却し続けるしかないのだから、とにかくいち早く冷却システムを作り上げるしかないが、技術屋の目で見た場合、東電は後手だけではなくて、なんとかやりくりしている感じでこれは根幹的に破局を止められない。もしかしたら行かない方向にではなくて、絶対に破局にしない方向に行くしかない。そうすると年寄りの技術者が集まって、ぎりぎりの戦いを挑めないのか、技術屋として純粋な戦いをしたほうが、東電と言う立場よりもフラットに考えて、立ち向かえると。覚悟がある年寄り数千人が死ぬか、数千万人の未来に傷がつくのか、どちらを選ぶのですかとも。「ぶっちゃけ、死んでもいいんです」と彼は話します。この企みがうまくいくかどうかはともかく、チェルノブイリの時のことを考えても、ある程度、犠牲になることを覚悟した人々がいないと、収束は大変に難しいものがあります(チェルノブイリは無理やりやらされた人も多いでしょう)。その意味では老人技術者による決死隊というのも、妄想ばかりではないと思います。それは兵站。具体的にはきちんとした作業ができる人が被曝線量をひきあげても、いなくなりつつあるという実態です。作業ができる人がいなければ、事は終わりません。そして、確かに、冷却できるシステムがきちんと組めないと、一定水準以上の解決はありません。こうした発想を言うことは、だからよくわかります。フェイルセーフというのがプラントというものの根幹で、誤操作・誤動作による障害がおきたら、常に安全に制御する側にさせるシステム作りがプラント屋の根幹でもあるらしいですから、そうした人々から今回の状況がどれだけ歯がゆいものなのかということです。山田さんの話も、本当に退役技術者が数百人集まり、命がけで作業する実働グループという実体ができあがると、この話も変わるだろうと思います。

 いずれにしても、危機をどう乗り越えるのかが、ハッキリとはしない中での日々が続いています。僕も自分がどんなに風に生きていくべきなのかを、実は毎日、いろんことを考えながら過ごしています。ただ危機が迫っている感覚を持ち続けている人は、僕の周りにも、ブログの皆さんにも一定数いることは間違いありません。そして、全体を見ると、この危機を実感している少数の人と、実感しない多数の人というのが今の大きな構図と思います。その意味では、僕が危機を認識していることと、僕が臆病者であることは、同じなのかもしれませんが、臆病者であるからと言って、危機があると主張するなと言うのは、おかしいと思います。危機があると思えば言い続けるのが、僕のスタンスです。本当に危機がないとはとても言えない曖昧な状況の継続を痛感していると、こうした流れの中で自分が発信することをやめることはできないと思います。これが僕なりの方法ですから、誰が何を言おうとも関係ありませんというばかりなのかもしれません。福島第一原発の状況は、まだ好転していません。


続報「1号機の原子炉格納容器の放射能急上昇について」

2011-04-08 21:36:17 | 福島第一原発と放射能

吉岡先生と話しましたが、格納容器が破損していて、窒素を注入して、圧力が高まったことがおきている事象とすると、もちろん圧力を高めないと格納容器の損傷はさらに進む可能性がありますから、やむをえない措置ではあるものの、元々容器が一部壊れているのだから、放射能が三十シーベルトから100シーベルトに上がるのはある程度想定内の上昇と吉岡先生は見立てているそうです。割れているところで、圧力が高まって、放射能が漏れるのは必然。むしろ、こもったら、さらに危なくなるだけだと。専門家からすれば想定内の危険の話と言うことです。高濃度の放射能が窒素注入で出るのも当たり前。ただ、その現実を、東電が格納容器の破損をどう説明するのかが微妙な中で、説明の言い方がおかしくなるのではないかというのが吉岡先生の解釈。計測器の故障と言う東電の説明をどう考えるのかということでしょう。とりあえず、報告しておきます。

 


1号機の原子炉格納容器の放射能急上昇について

2011-04-08 20:07:49 | 福島第一原発と放射能

今朝の段階で、100シーベルトになっています。前日の三倍で急上昇です。窒素注入による影響にしても本当に急上昇で、前日の三倍くらいです。僕の友人の技術者は、「ちょっと高いなあ。でも、高い理由がよくわからない」注入は一昨日の夜からですから、きのう急上昇せずに、本日の測定であがっている理由がわかりません。東電は計測器の故障と推測しています。本当にそうなら、ほっとしますが。もし、この数値の急上昇が正しければ、想定よりも核分裂が進んでいることかもしれません。いずれにしても、警戒を続ける必要があるとは思います。続報があれば、さらに更新します。


地震発生当時、福島第一原発にいた作業員の告白

2011-04-08 00:18:47 | 福島第一原発と放射能

 避難をするかどうかの目安を考えるときに年間20ミリシーベルトを超えないという話を原子力安全委員会が示し始めました。ICRPの緊急時の基準に基づくものですが、まあ長期化することを前提にしたプランが始まったと思います。モニタリングポストの外部線量だけで、年間の被曝線量を累積だけで考えてみましょう(内部被爆も考慮に入れず計算だけです)。20ミリシーベルト=2万マイクロシーベルト。これを365日で割り、さらに24時間で割ると時間ごとの外部線量がいくらかという概数が出ます。毎時2.28マイクロシーベルトと簡単な計算で出ます。外部被ばくという概念のみでの、単純計算で考えると、このマイクロシーベルトがモニタリングポストで出ているところは、避難検討をすぐに始めなければならないかもしれません。さらに、内部被爆を(今回は放射性物質の降下が一番の問題になっているのですから、放射線よりも重要であると考えますが)換算に入れると、数値はもっとシビアになります。僕の何回か使っている推計式で考えます。外部被ばくが建物の外にいる時間を一日八時間程度と考えます。この八時間の外部被ばくの四倍程度を一日の内部被爆と考えます(もちろん全部仮定です)。そうすると一時間あたりモニタリングポストに1.37マイクロシーベルトの値が出た場合、この線量が継続して出続けていると、年間のすべての被曝線量は20ミリシーベルトを超える可能性があります。こんな地域は福島県内にいったい何箇所あるのでしょうか?線量はもちろん、家数軒違いとかの距離や地形などでも、大きく異なってくるものですから、一概には言えませんが、こういう感覚で言うと、福島市や郡山市ではいまだに毎時2マイクロをこえていますし、飯館村は当然、さらに高いです。避難ということ自体は実際はいろいろ難しいものなのですが、政府側が今、口にしている数字を確認するたびに、逆になぜ早期に避難指示をさせていないのか、やはり不思議に思います。避難と言うのは原発事故発生当時にはやく決断しておくと、まず早期が最も線量が高くなるのは常識で、避難も早ければ早いほど、意味も大きくなります。まあ、とにかく目安を出してきたのですから、その目安を正当に使って、的確な避難を広げることを期待はしておきます。

原発避難地域の見直し本格検討 放射線量の新基準設定へ(朝日新聞) - goo ニュース

 先ほど地震発生当時、福島第一原発で働いていて、現在県内に避難している作業員の方と電話でお話をしました。この方は、地震発生当時は五号機のタービン建屋で作業をされていたそうです。

 私は1F(福島第一原発)にいて働いていました。BⅡ区域とよばれるエリアで線量的には中間くらいで作業は危険も有るのですが、放射能関連としては強い線量を浴びるところではありませんよ。仕事は去年から今年の三月までだったのですが、以前も柏崎や東海村で派遣として働いていたんです。ケーブル引きや足場組み立てなどね。作業は三号機から六号機、さらに一号機と移り変わっていき、直近は五号機での作業だったんです。どの号機でも、それぞれの建屋のなかで実は同じような場所で、同じような作業をしていましたよ。順繰りに同じことをするんです。地震発生当時、元々ある戻しの作業をしていたところ、看板が大きくゆれ始めました。「そうだ、地震だ」と声が飛び交います。ゴゴーっというものすごい地鳴りがしたんですよ、びっくりしました。そして、次の瞬間の激しい揺れ。「これは、大きいぞ」みんなで喋り始め、現場監督が「足場から降りて降りて」と怒声が飛び交います。あわてて降りると、みな不安げです。一回目の大きい時は電気が消えなかったのですが、二回目の時にはトーンと。電気が消えて、いきなり非常ベルが鳴り響きます。照明はほとんど消えても、ただ、最低限の非常灯だけは点いていたので、なんとかまわりは見える状態。揺れは長く続きました。「建屋が壊れるかな。この建物が壊れると俺も終わりかなあ」と思いながら、揺れが収まるのを待ち続けます。そして、揺れがおさまります。「助かってよかった」とほっとしながらいると、「至急退避してください、退避してください」という緊急放送が流れてきます。とにかく出ましょう出ましょう。地下からあがってきたところで、出口にでました。原発の中で、出口のところは、くつとヘルメットでぐちゃぐちゃ。みんな脱ぎっぱなしで慌てて出て行った感じでした。ロッカーのあたりも、散乱していて、本当にぐちゃぐちゃ。でもとにかく退避しないといけないと思って急ぎました。退避するまでは津波がこなかったし、僕は今回の肝心要の津波と言うのが、よくわかっていないんですよ。とにかく、外に出て退避です。原子力発電所は、敷地内に高台があるんです。原子力発電所はどこも海に近いから、必ず高台があるのでしょうかね。まあ、そこに退避した訳です。とにかく、俺らの作業員グループのメンバーは全員いました。みんな無事だねと言いながら、様子を伺っていました。しばらく落ち着いてくると、東芝の現場の監督が「とりあえず事務所に帰っていい」と言われました。事務所は近いんですが、原発の敷地の外にあるので、みなで事務所まで歩いていきました。いつもいる所長が対応のためでしょうか、事務所にはいなくて、指示があったのは「きょうは帰っていいよ、連絡は後でする」とのことでした。とりあえず寮に戻ったんですが、不安なこともあり、近くの中学校が避難所になっていたので、そこまで行って自分は避難していました。一日いて、荷物も気になったので、寮に戻ったんですよ。そしたら、もう寮にはほとんど人がいない。四人しか人がいないんですよ。そしたら今度は「避難退避放送」。発電所で異変がおきたようなんです。寮は直線では五キロくらい離れているので、何が起きているかはよくわからない。電気もとまっていますから、情報もはいらない。私は東北だけど、全く別のところの出身で、福島のこのあたりに土地勘がまるでないんですよ。どっちにいげばいいのか全くわからない。でも車は持っていたから、車で逃げようとしたんです。まあ、もともとこの車がエンジンのかかりにくい車で、逃げようとしてエンジンをかけても全くかからない。何回試してもダメなんですよ。しょうがないからもう一度部屋に戻りました。まだ荷物があったんでその整理を続けたり。人間て、不思議なものですね。追い詰められている時の行動は。そうしている内に、車のとおりもどんどん減ってくるんです。「異変が起きている」判らないけどそう思いましたよ。駅までそのあと行きましたが、何にもなくて人もいなくて、しょうがないから戻ってきて寮にいました。車のエンジンは相変わらずかかりませんでした。びっくりされるかもしれませんが、今月二日まで、先週まで寮かその近くにいたんですよ。富岡町のあたりです。携帯は充電が切れてつながらない、電気はきていませんでした。寮にあった食料は少なくて、カップラーメン六個とお菓子が三袋くらいしかめぼしいものがない。ラーメンは二日に一個位でなんとか飢えを凌いでいました。でも、二週間くらいしかもたないなあと青ざめましたよ。発電所までは直線で5、6キロ。道路が曲がりくねって行かないとダメなので、歩いていくと時間がかかります。それに、爆発の時の凄い音だけは聞こえていましたから、「とんでもないことが起きているから、戻るわけにはいかない」とだけは強く思いましたよ。ワンセグで情報が取れたのは初日だけ。電源が無かったんです。車のバッテリーもかかんないしね。後は、毎日寮から出て、散歩です。遠くには行けないですよ。お腹がすいている。時々、どういう車かわからないけど、車が通るんですよ。関係車両か逃げる車両か。とにかく、手をあげてとまってくれと、ジェスチャーし続けましたよ。でも、止まってくれない。本当に止まってくれない。何日たってもどの車も止まらないで駆け抜けていくんです。何の悪夢かと思いましたよ。「車は止まらないものだ」と完全に思いました。このままいけば終わりかなと、先週土曜日も散歩したんです。散歩というと語弊があるけど。生きるためのトライアル。そうしたら、自販機があって、ここには電気がきていたんです。しめたと思いましたよ。とにかく充電。携帯を充電して、ようやくワンセグが見られたんです。そこで、1F(福島第一原発)の本当の状況がはじめてわかりました。あの音だから、何が起きたんだろうとはおもっていましたが、二週間以上過ぎてから、こんな事だったのだなと、はじめてわかりました。でも、わかってよかった気がしたんです。よいことは重なるものです。そのうちに、私を見つけてある車が止まってくれました。同じ日です。車も止まるものなんですね。おかげで、避難することができて、乗せてくれた方にはほんとに感謝していますよ。

 私がしていた仕事は安全度は高くないんですよ。ただし線量は高いレベルでないです。APDで計っていて、帰りがけに測定値が毎日何マイクロシーベルトってでるんですよ。ほとんど出ないレベルですよ。「ああ、きょうは低かったな」とか「珍しくそこそこでている」とか。でも、こんな事故まで、おきるとは夢にも思わなかった。地震のときは建屋が壊れたらおしまいとおびえたけど、まさか地震でくずれなかった建屋があんなことになるなんて。あんだけの事故がおきるとは思わなかった。地震も津波も、もちろん天災なんですけど、原発は人が建てたものですから、その意味では人災にあてはまるのではと思うんです。俺には人災と思えますよ。原発の仕事これからやるかって?もうやらない。今まで何箇所かやってきたけど、もうやらない。こういう事態になればまた一緒でしょ。違う仕事を探したいですよ。今まで、地元で職がなくて、原発関連は確実に仕事があるのでやってきたこともあるけど、もう職を変えなければどうにもならない。今の時点でF1で仕事をしているのは大変だとは思いますよ。僕らとは別系統の人達だから、飯も僕らは事務所で食べるし、他のグループの人達と接触も無いけど。まあ、どっちにしても後手後手に回っていると思いますよね。一つ何かがわかれば、また一つ出てくるでしょう。早く判って対応すれば早く収束できるのに。原発が終われば早く仕事ができるのにと思いますよ。

こういうギリギリの状態の方が、原発周りにいた事をダイレクトに伺うと今回の事故というものの実相がさらにみえてきた感覚も強くあります。とにかく、僕らが待ち望む収束がいつになるかは、まるで見えていない中で、僕には祈るほかはありません。

 さらに、先ほどの地震の強い余震がどう影響するかも心配です。さらなるダメージが無いか心配です。女川原発の外部電源が三系統のうち二系統が使えなくなっていて、残る一系統で冷やしているそうです。六ヶ所村の再処理施設もディーゼル発電になっているようです。これも、大丈夫でしょうか?

福島第一原発のある双葉町は震度5弱(読売新聞) - goo ニュース

 


速報「窒素注入については、警戒して下さい。ゆるゆると高濃度放射性物質が出る可能性が高い」

2011-04-07 00:06:35 | 福島第一原発と放射能

 すいません。情報が遅れましたので、少しあわてて書いています。 

 まだ判然としていませんが、私の情報を書いておきます。コメント欄でも問い合わせがあったので、一号機での窒素注入をはじめるということについての取材内容です。過去に数年、福島第一原発に携わっていた技術者の友人に聞きました。通常の窒素を入れる作業だと、窒素注入パージと言う作業。掃気。配管などの腐食を防ぐために 可燃性ガスを吐き出すために、不活性ガスを満たす。これを窒素でやるなら窒素パージ。それをドライウェル内にやる。内部にたまっているガス類の排出目的。そこから出てくるガスがどういう出方をするかがポイント。窒素がプラントに与える影響は、ほぼ無い。ただし吐き出させると、中の気体は、フィルターを通らず出てくる。いろんなものが出てくる。圧力高いドライベントではないけれども、ゆるかにいろんな物質が出てくる可能性がある。窒素をどういう風に入れるのかということはともかく、ドライベントのように急速ではないが、少量ずつ、ゆるゆると吐き出される。高濃度の放射性物質が出てくる量は、最終的にはかわらないはずだということです。もしかすると、ドライベントの方が少ないかもしれないと言うことです。ゆるゆると時間をかけて出すということで、半減期の短い放射性物質については多少利点がありますが、時間をかけるといっても、ドライベント並みの量の放射性物質を出す可能性があるとしたなら、大変なことになります。事前にこういう可能性を明らかにしている話でしょうか?

 別の筋からは、圧力が下がっているのを防ぐために、窒素を注入するだけでほとんど外に出ないという説明もありました。

 しかし、僕の友人の技術者は「格納容器が一部破損している可能性もあるし、現場もわからずやっているかんじだろうから、いろんな可能性がある。6000立方平方メートルは、普通の窒素パージと変わらないはず。置き換えられているものがはいると、さらにずるずるもれてくる可能性がある。韓国やアメリカなどが国際原子力条約について事前通報義務に神経質になっているのたが、これは為されているのだろうか?作業員を退避させると言うことは、ゆっくりと高濃度の放射性物質が出てくることに間違いない。これは、これ以上圧力が下がると外の圧力との差でさらに格納容器が破損する可能性があり、もうやらざるをえなくなっているということ。というか、かなり追い詰められていてやる以外の方法がなくなっている可能性がある。どこで何がおきるか実はわかんないから、現場退避なんだよ。延命措置としてしょうがないんだけど、他の方法は難しいと言うこと。ほんとに綱渡りが、ぎりぎりで続いている、そのギリギリの感じ。パージはじめてから半日から一日のモニタリングの数字は注意。ゆるゆるとしかでないから、急速にはあがらないかもしれないが、内部被曝という観点からすると、風向きや風の強さなど気象条件次第で、いろんなエリアで中期的に若干レベルがあがっていく。1号機は容量が小さいが、2号機3号機もやるし、内部被曝への影響は中期的にかなり高まると考えるのが妥当だと思うよ、実はドライベントと性質はちがうけど、ある意味、積算では同じ作用だよ。」と言う彼。

さらに、「そろそろくるところまできはじめている感じたよ。だから油断するなと言っただろ、木下」と。

 本日、菅総理は浪江町の町長に「安定化を示していて、これ以上広がらないのではないか。」という見方を示したと、ラジオニュースが伝えていました。本当に「すごい」総理と思います。

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水素爆発阻止、1号機格納容器へ窒素注入作業(読売新聞) - goo ニュース

2011年4月6日(水)23:21

 東京電力は6日午後10時半、福島第一原子力発電所1号機の格納容器で水素爆発が起きるのを防ぐため、格納容器内への窒素ガスの注入作業を始めた。

 原子炉等規制法第64条に基づく緊急措置。1~3号機では原子炉内の燃料集合体の70~25%が損傷しているとみられ、格納容器内では高い放射線量も依然検出されており、復旧作業は困難を極めそうだ。

 東電などによると、1号機では、原子炉の圧力容器内で核燃料棒を包む被覆管のジルコニウムが熱で損傷、水蒸気と反応するなどしてできた水素が外側の格納容器内に漏れ出ている可能性が高い。水素の濃度が4%以上になると、酸素と結びついて水素爆発を起こす恐れがあるため、あらかじめ窒素を注入し、空気中の酸素を格納容器の外に出して爆発を防ぐ。ただし、窒素注入すると、格納容器内の放射線量の高い空気が配管の継ぎ目などから押し出されて外に漏れてしまうため、慎重に作業を進めている。

 注入する窒素は約6000立方メートルで、作業は6日間かかる見込み。2、3号機でも準備が整い次第、窒素を注入する方針だ。

 




大変にうれしいです。飯館村の妊婦と乳幼児の皆さんが避難できるという英断。

2011-04-06 15:42:57 | 福島第一原発と放射能

村の大英断だと思います。いろんなことがあって大変とはおもいますが、頑張ってください。国の指導者が判断しない中で自治体のトップが判断をするのは、大変な作業です。この英断は素晴らしいと思います。できることなら、線量のより低い地域、より遠いエリアに避難させる事が望ましいと思います。今まで、高い被曝線量を受けていた皆さんですから、極力低い場所に移動していただくことが望ましいと考えます。この一歩が、国でなく、地元自治体からおきてきたことの意味合いを大きく捉えたいと思います。

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妊婦と乳幼児、村外避難へ…飯舘村が独自方針(読売新聞) - goo ニュース

2011年4月6日(水)11:01

 福島第一原発事故で村内の一部が屋内退避区域(福島第一原発から20~30キロ圏内)となっている福島県飯舘村は、近く村内の妊婦と乳幼児を一時、村外に避難させる方針を決めた。

 妊婦と3歳以下の乳幼児(付き添いは保護者1人まで)が対象。50人程度を見込み、滞在費を負担する方向で県と調整している。避難先は、福島市内の温泉宿泊施設などが候補にあがっており、準備ができ次第希望者を募る。

 同村は、大部分が屋内退避圏外だが、村内の小中学校などの敷地内で3月28日、大気中の放射線量が1時間あたり13・2~17・7マイクロ・シーベルト観測されており、村民に安心感を与えるため、村独自の措置として行うことにした。


内部被曝という問題をどう考えるのか①矢ヶ崎克馬先生との対話

2011-04-06 00:17:13 | 福島第一原発と放射能

 

 現在の状況が大きく変化することなく、一年近くの時間の経緯で、放射能汚染の状況に大きく変化がない場合(これは望ましいケースですが、勿論。)に、内部被曝をどう考えるのかと言うことを、琉球大学の名誉教授である矢ヶ崎克馬氏に伺いました。矢ヶ崎先生は物性の物理学が専門だったのですが、原爆症の認定のずさんさに気づいて、それに関わったことから、内部被曝の概念をどうはっきりと日本社会に認識させるのかに、著作も出されて、主張されている数少ない方です。現況の実態は、海の汚染はかなりひどく、日本国内の影響にとどまるのかどうかさえ、判らないレベルだと話が始まりました。空気中の汚染も深刻で、野菜もよく洗浄しろでは対応できないとも。内部被爆と言う、空気、水、食物からくる被爆と言うのはそもそも原子力の国際機関、つまりICRPも実はマニュアルとして考慮に入れていない。実際に妥当どうかの議論はあるけれども、ECRRの考え方しかないと言うこと。ECRRは自然放射能は害悪で、公衆被曝の年間1ミリをさらに十分の一にという立場なので、極端な部分はあるものの、考慮できる中身だと言うことです。晩発性障害についての警鐘も鳴らしているという。矢ヶ崎先生は、外部被曝はガンマー線で計れる物をいうけれども、内部被曝は、ベータ線もカウントするから、ヨウ素が別の物資に変化する際に出すベータ線だけでも、外部被曝の三倍の線量になる可能性があることや、ヨウ素やセシウム以外のいろんな核種を考慮していない状況で、身体の中に取り込んだ状態と言うのを考えに入れなければならないと話してくださいました。その上で、恐らくは外部被曝の4から5倍程度が内部被曝の実態になると考えたほうがよいかも知れないと話してくださいました。これは、僕が考えていた内部被曝も含めた推定線量を出す考えとも大きく異なってはいませんでした。先生は、内部被曝も考慮すると風の通り道を考える必要があって、まず八十から百キロ圏内はどちらにしても全面退避したほうがよいと話していらっしゃいます。「女性の乳がんが多発するのを恐れている」と先生はおっしゃいます。風の通り道は、真南にゆけば、関東平野、東京にくるし、上に上がれば仙台まで。いずれにしても、人口密集地に現在の状況でも危険は続いているとお話になります。首都圏での危険は、原子炉の状況によってはさらにあがる可能性も考えると、本当は一時的に移転も検討すべきレベルだけれども、お子さんと妊婦だけでも西日本に向かわせたほうがよいし、今の状況でも、かなりシビアな状況と話します。「マスクでは防げないんですよ。放射性物質の粒子は小さいので。都内だと200キロから300キロのゾーンで、一マイクロメートル以下の小さいものが集中して落ちると思います。N100のマスク(かなり高価)を使っても恐らく捕獲しきれない。普通のマスクもしないよりはマシ程度だが、水を含んだガーゼをいれるようにすれば少しはましかもしれないとも。植物は空気から中に取り込んでくるので、野菜を表面だけ良く洗浄することでは、早晩解決しなくなりますしね」と。シンガポールあたりから輸入禁止を食らっているのを過剰反応という方が不可解です、外からどう見えているのかを日本人がさとらなければならないのにとも。

 福島に行って、いろいろ現地の方と話したけれども、話しながら自分の中でつらい感覚だったともおっしゃいます。とにかく、80キロ圏内は退避してほしいし、多かれ少なかれ、福島県内の汚染は全面的にすすんでいると。「土地が汚染され、それが染み付いている状態になっていて、政府は低いと言うがとんでもない。土壌から空中に向けて一マイクロ以上線量が出ています。ここで生き続けていく以上、皆さんは各々で考えられる限りの最大のプロテクトをしてほしいと話しますが、必ず後々、障害が出るのですと。大量の人を避難させるべきで、それに政治的に踏み切るべき時期にきているのに」とも。

 「安全神話しかなかったんですよ。政府が長年、タカをくくっていた。原子炉が安全でないなら、あの濃度の水を海中に流すしかないのは、他に冷却する手段がないからですよ。水をかけても蒸発し、さらにどんどんもれる。冷却を十分に確保する見通しが無い。恐らく、部分的に核分裂がおきている。メルトダウンが進み、連鎖反応が起きる可能性があっても、本当に有効な阻止手段が無い。」と話す矢ヶ崎先生。「木下さん、沖縄にいて、マジマジするんですよ、いや、イライラし続けているんですよ」と。現在の原子力の科学は内部被爆と言う都合の悪い話を極力認めない、「内部被曝」という概念をなくさせているのが現状であり、言い方を変えれば「支配関係の科学」になっているとも。「原爆症の認定にそのことは如実に出ていて、元々専門外の僕はびっくりしましたよ」と。

 そうした中で、今の政府の方針についてもどう考えるのかをきいてみたところ、「直ちに健康被害はでないと言っていますが、これは後々、かなり大量のガンによる死者が出てもしょうがないことを、受容するのかどうかがポイントですよ。皆さんにわかっているのかどうかは別にして」と。

 僕が後、気になっていたECRRのクリス・バズビーのテレビインタビューの内容があります。あまりに絶望的なコメントは以下の通りです。「避難を私たちは100キロ以上にしたらよいというアドバイスを欧州委員会のウエブサイトなどでしました。今や東京の住民を避難させることを考えなければいけないと思います。彼らをどこに避難させるかという問題は悪夢です。東京自体はヨウ素だけでなく種々の放射性成分のリスクにさらされています。その中には検出することが容易でないものもあります。トリチウムは、あらゆる場所にまき散らされ、遺伝的欠陥、ガンや様々な病気を発生させる可能性があります。」というものです。この点についても矢ヶ崎先生に聞いてみました。先生は、「木下君、彼に多少の誇張は無いとは言わないが、大筋で、彼のその見解がおかしいと僕は思わないよ。事態は現状でもかなり深刻だ」と。「福島県内にとどまらず、北関東のエリアでも早晩、影響は大きくなる。一定レベルまでは範囲はひろくなっていくと考えたほうがよい」とも。

 内部被曝を真摯に考えている専門家はたぶん数人しかいなくて、そのうちの一人である矢ヶ崎先生の割と絶望的な言葉の数々。しかも、最善のシナリオで進んでいると言う前提を立てた場合でも厳しい見立ててですから、最悪の場合は、事ははっきりとかわってきます。こういう状況を踏まえててでしょうが、原子力委員会が年間の被曝限度量を引き上げる検討をはじめました。公衆被曝1ミリシーベルトでは避難地域が拡大するのを抑止できないためとしか思えませんが、いきなり20ミリシーベルトに上げると言いはじめました。すでにこの線量も超えているからでしょうが、もはやお話にもならない世界です。浪江町も23日以後の十一日間で10ミリシーベルトを超えていますから、恐らく発生当初から積算だとこの水準も守るのは厳しいと思います。避難させていない実態に合わせて改定している感覚でしょう。こうなってくるとどうしてこういう話をまともと考えるのか、僕には理解できません。「木下が間違っている」「木下が陰謀史観」「木下がおかしい」という言説を直接電話してくる人もいます。そうではないと僕も断言はしません。僕が間違っているかもしれません。しかしながら、おきている事をフラットに見て、数少ない専門家に聞き続けていく過程を皆さんにお見せするだけで、事実はどこにあるのかを皆さんに判断していただきたいと思います。

 どこかに戻りたければこんな面倒な作業は続けません。戻るという感覚なんぞ最初からありません。僕は、自分の良心に基づいて行動するだけです。僕の言説が不当で、行動も惨めで、さらに結果が間違っていれば、僕が完全に終わるだけですから。ただ、それまでは、何を言われても闘い続けますから。

 このブログは木下黄太の個人責任で書いています。何か情報提供ある方や木下に直接何かおっしゃりたい方は、メールしてください。

======================================================年間の被曝限度量、引き上げを検討 原子力安全委(朝日新聞) - goo ニュース

原子力安全委員会は5日、放射線量の高い地域の住民の年間被曝(ひばく)限度量について、現在の1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げるべきか検討を始めた。放射線の放出が長引き、「長く生活する観点で考えないといけない」とし、現実路線への見直しを検討する。

 会見した代谷誠治委員は「防災対策での退避は通常、短期間を想定している」と指摘。すでに数週間に及ぶ退避や避難の考え方について、政府から見直しを検討するよう相談されていることを明らかにした。 原発から半径30キロ圏外の福島県浪江町の観測地点で放射線量の積算値が上昇している。先月23日から今月3日までの積算値は10.3ミリシーベルトになった。日本では人が年間に受ける被曝限度量は現在、一律1ミリシーベルト。国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告では、緊急事故後の復旧時は1~20ミリシーベルトを目標としている。


菅直人に、なぜ原発のことがきちんと伝わらないのか

2011-04-05 00:50:55 | 福島第一原発と放射能

 ぼくはきょう報じられている事柄のうち、気になるのは浪江町の累積線量が、11日間で10.3ミリになったそうです。簡単な計算なので計算します。一年では、341.7ミリの累積被曝線量になります。これは外部被曝のみです。もちろん24時間外に居る場合ですから、僕の推定で外に居るのが三分の一程度と考えると、年間113ミリシーベルト外部被曝で浴びる可能性があります。さらに内部被曝を以前推計で示したとおり、四倍で換算すると、外部被曝と内部被曝の総計で、569ミリシーベルトになります。今回の作業員の緊急で引き上げた被曝限度が250ミリシーベルトですから、年間で楽々と突破いたします。すいません。このレベルで住民の皆様を長期間現地に置くメリットが、私個人には何も理解できません。「政府がウソをついているという類の陰謀史観をもっている木下黄太」と非難されているレベルの僕が言っている戯言にすぎないと聞いていただいても良いのですが(僕は官邸にも複数情報ソースはありますし、今も繋がりがかりありいろんなことを話しています。官邸の見立ては甘いと何回も断言しますが、ウソの数字を発表しているような陰謀史観は表明していませんが)、発表されているデータだけ考えても、とても大丈夫とは思えないと言うことです。僕が再三避難地域を拡大するべきだと話しているのは、まさにこういうデータから考えているだけです。避難地域の拡大は急務です。少なくとも五十キロエリアまでは早急な判断が求められると、改めて僕は思いました。本来は、迷うことなく、その判断をなされるはずなのになぜこうならないのか、それには理由があります。僕はその根幹的な理由の一つが菅直人総理のパーソナリティーにあると断言します。総理が最高決定権を有しているはずならば、総理の意向と判断で最後はいかようにでもできるはずです。それが、この現状であるのは、彼のパーソナリティに帰着することが大きいのです。

福島県浪江町、放射線量の11日間積算増大(読売新聞) - goo ニュース

 僕は20年以上前から、菅直人氏はよく知っています。前も書きましたが、あることで、公道上で彼に理不尽な振る舞いと言動をされることがあり、許せないと思いました。その日の夜に二人でサシで居酒屋で話しましたが、最初は偉そうにくだを巻いていたのですが、こちらがなぜあなたのいいぶんがおかしいのかと、理路整然と詰め続けたところ、最後は豹変して僕にあやまってきました。当時二十代前半の若造だった僕は、気鋭の市民型政治家の実像にいささかあきれました。次の日、「木下君と飲んで喧嘩して仲良くなった」と嬉しそうに彼が話していると聞いた瞬間、気分が悪くなりました。その後、僕の身近でいろんなつながりが、菅氏の周辺にあり、なんとなくの関係はありましたが、僕自身ご本人とは極力接触しないようにしていました。なんというのか心底、嫌な人に思えたのです。これが、僕個人の感覚だけなら、どうのこうの言うことではありませんが、いろんなところで同じような話を聞きます。もともと菅と最も親しい人と、次に親しい人と、三人で話したときにも「とにかく菅は俺たちの話も聞かない」「言うだけムダ」「あいつと一緒に酒を飲むとまずなるから飲みたくない」なとどと言う台詞が連発されます。菅に遠い人ならばよくわかりますが、菅に最も近いと考えられているような人々の中でも、常識としてこういう話がされます。

 さらに、よく言われる「イラ菅」というのは、、当たり前の事柄で、とにかく気に入らないことがあると叱り飛ばして、相手を威圧するのが彼の手口です。というか、彼は基本これしかやりません。特に内部に対して、この「イラ菅」振りを発揮するのが、彼の日常です。彼に近い人々でさえ、そういう風に彼を見ているわけですから、官僚となると本当に大変です。別に官僚のえこひいをするつもりもありませんが、報告に言ったら、少し何か気に入らないとイラつかれるのが日常です。そうした場合にあなたが官僚だったら、どう考えると思いますか?官僚と言うのは良くも悪くも優秀です、そして為政者に気に入られようとするのが、官僚の本質です。この菅という人に気に入られるためには、ある種の気に入られるような報告をしなければならなくなるのが、今の官僚の立ち位置ではと、僕は推察します。官僚の中にはこのままではまずいから、どういう感じで接していくべきか悩んでいる人さえいるかもしれません。僕が知る限り、菅総理の周りはこんな感じです。そうすると、本当に彼の耳に入れなければならない情報が、特に耳障りの悪い情報が、彼の耳に届きやすい構造になっているとは、僕には全く思えません。

 実は、僕の知る複数の官邸スタッフが、今回の原発災害に関して、菅にとっては、耳障りの悪い話を入れ続ける努力を継続してやっています。彼らは、最悪の事態を想定して、否そればかりか、現在の問題のある状態を認識して、菅総理に情報をあげているのですが、その話を切り出すたびに、イライラされ、さらに「原子力は自分が一番」的なワードを持ち出されて、むかつくような対応をうけることばかりなのだそうです。それでも彼らが僕にこぼすのは「もう、本当にこんなところ辞めようと思うけどさあ、木下君。俺が言わなくなったら、菅には誰も話をあげなくて、事態が最悪の状況になったら、俺は残りの人生をずっと後悔する。少しでも国民のために俺は明日も菅に言うからさあ、君も手伝ってくれ」と。僕も菅のことは嫌いですが、自分が嫌いだからといって、あきらめたくはないので、そうした人達の手伝いも、このブログ以外に続けているのです。最新の情報では、今の凪のムードを反映して、菅は耳障りの悪い話に対する反応が極めて悪いそうです。「話すとイラつかれて本当に気分が悪いんだよ」とこぼされます。自分が「原子力は一番」的な思い込みも、邪魔しているのかもしれません。こうしたことが、今回の政府の甘い見通しに反映していると、僕は思っています。

 理解したくない人々に理解してもらうことは大変に難しいです。危険が有るのか無いのかは、最後はその人、個人個人の判断になります。僕はいつも自分が、そうした判断をぎりぎりの感覚で決断することにしています。どんなに「頭がおかしい」と罵られても、危険があるのなら、危険だと言い続けるのが僕の役割になっていると自覚しています。そして、為政者も同じように、危険が有るのなら、民を導くのが為政者の役割です。大きく強く深い決断が必要となります。そうし決断が、菅直人氏に可能であるのかどうかを僕たちは冷静にみていくしかありません。自分の安全のために。

 このブログは木下黄太が、個人の責任で書いています。何かご質問がある方は、メールにお名前と電話番号を明記してください。必要があれば連絡しますので、連絡下さいと明記してください。可能な限り対応します。

 「追記」

 今日のニュースで東京電力の福島での会見と思いますが、放射能を含んだ水を海に垂れ流すことを説明しているとき、ほとんど泣いていました。このニュースの中で本当に実は奇妙な光景でした。ただ、なぜ、泣くのか、よくわかります。僕はあの泣き顔は演技ではなく、あの人の良心だと強く思っています。つまり、事態がどういう状況であるのか、あの人の泣き顔でも分かることは多いと思います。こうしたことは、テレビニュースにほんのわずかですが、映し出されることがあります。テレビを流している側が自覚していなくても、テレビを見ている人には、思わぬ真実が伝わることがあります。映像というのは、恐ろしいものです。ある意味すごいものです。この、緊迫した状況ですから、みなさん我慢して、ニュースで、確認し続けて下さい。そうしたことによって、何かが皆さんに伝わることで、今回の事態で、皆さんの安全について、寄与する場合もあると、僕は思います。映像と言うのは当事者や伝え手の意向を、簡単に飛び越えて、視聴者である皆さんに、思わぬ真実をもたらすことがあるのだということを、忘れないでいただきたいと思います。原稿の中身やスーパーされている文言に皆さんの信頼がない場合でも、映し出された一瞬の映像には、真実があるということ。これは、新聞や雑誌、ラジオにはないテレビ映像の強みであると、僕は、自分が今の立ち位置であっても、そう考え続けています。


「パニック」を言い訳にして、情報を隠してはいけない。

2011-04-04 15:51:18 | 福島第一原発と放射能

とにかく、このような事態で情報の開示を、政府機関が全て行うことは、最も大切なことです。ニュースの外周でようやくこうしたニュースが取り扱われだしたことは歓迎したいと思います(全く中心ではありませんが)。つまり、いろんなデータの中で、危険を認識させるデータを積極的に出そうとはしていないことは間違いないと思ってしまいます。これが、官邸から一元的な指示の下で、機械的になされているのであれば、大問題ですし、そうでなくて各々が勝手に自粛しているとしたならば(その可能性の方が高いと考えます)、危険と言うことについてきちんと思考しない人々が、政府機関の中に多く存在することに許せない思いばかりです。何度も言いますが、適正に情報を提供しないと、「パニック」は起こりやすいのです。「パニック」を言い訳にして、情報開示を怠ってはなりません。知りうる限りの情報で、きちんとしたものは、公にするべきです。放射性物質の拡散についての情報は、人々が最も知りたい情報です。なぜ自国のデータでなく、ヨーロッパの気象庁のデータで判断しなければならないのか、僕には理解できません。ドイツ以外にもオーストリアや ノルウェイー気象研究所でも拡散予測は出ています。もちろん予測ですから実際とは異なりますが、あすから数日は、風向きにより、西日本まで拡散する可能性があるようです。ただ、現在の放射性物質の放出は減少傾向ですから、異変が起きない限り、遠距離になれば拡散しますので、神経質になる話ではないと思います。もちろん、大規模な水蒸気爆発など、異変が起きた場合は違いますが。ドイツのページはリンクを出しておきます。なぜ外国の気象庁データを参照せねばならないのか、極めて微妙な話ではありますが。

http://www.dwd.de/
ドイツ気象庁 (+8h日本時間) 
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日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測(読売新聞) - goo ニュース

2011年4月4日(月)14:30

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。

 ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。

 気象庁の予測は、国際原子力機関(IAEA)の要請に基づくもの。国境を越える放射性物質汚染が心配されるときに、各国の気象機関が協力して拡散予測を行う。

 同庁では、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、拡散予測を計算している。具体的には、IAEAから送られてきた放射性物質の放出開始時間や継続期間、どれくらいの高さまで上ったかを、風向きや天候など同庁の観測データを加えた上で、スーパーコンピューターに入力し、放射性物質の飛ぶ方向や広がりを予測している。

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国 放射性物質の予測公表せず

NHK  4月4日 4時15分 

福島第一原子力発電所の事故で、国は、爆発が起きた翌日の先月16日、原発の北西にある福島県飯舘村などに放射性物質が多く流れると予測したコンピューターシミュレーションの報告を受けましたが、「データが正確でない」として公表を見送っていました。こうした予測データの公表の在り方を巡ってはさまざまな意見があり、今後検討の対象になりそうです。

この予測は、先月14日から15日にかけて、福島第一原発で爆発などが相次いだことを受け、国の委託を受けた分析機関が翌日の16日に「SPEEDI」というコンピューターシステムを使い、計算されました。このシステムは、原子炉の温度や圧力などさまざまなデータを基に、原発から放出された放射性物質の量を見積もり、気象データなどから放射性物質の広がりを予測するものです。分析機関では、震災で原子炉のデータが十分に得られないため、その時点で公表されているデータなどを基に、放射性物質の放出量を仮定し、15日の午前0時から24時間にわたって放出されたと想定しました。その結果、放射性物質は南西の方向に加えて飯舘村など北西の方向にも帯状に流れ、こうした地域では屋外で24時間過ごした場合に、乳幼児が受ける甲状腺の内部被ばくの量が人体に影響が出る可能性があるとされる100ミリシーベルトを超える所があるとしていました。SPEEDIは、原子力事故が起きた際に放射性物質の広がりを予測し、政府が避難や屋内退避の指示などを決める際の判断材料にするために作られたものですが、この予測は公表が見送られました。これについて国の原子力安全委員会は「その時点では、放射性物質が放出された場所や量などが特定できておらず、データが正確ではないため公表しなかった」としています。一方、被ばく医療に詳しい長崎大学の長瀧重信名誉教授は「国は、どれぐらいの被ばくが予想され、どれぐらいの危険があるかをもっと公表し、住民と共に避難などの対策を決めるべきだ」と話すなど、今回のような予測データの公表の在り方を巡ってはさまざまな意見があり、今後検討の対象になりそうです。

 


「思想としての反原子力」を考えてみる(まだ序の口)。

2011-04-04 02:14:35 | 福島第一原発と放射能

 先ほど孫正義氏や元原子力技術者らの対談がネット上で流れていましたが、基本的な感覚は僕の書いている内容と似ているなあと思いました。孫氏はこの事態で、「言うべき人がいないようなこの社会はおかしくなる」と述べて、現在の危険を適切に伝える人が必要であるとしきりに述べていました。避難圏に対しても、非常に感覚が似ていて、「何故大きく構えないのか」「自主避難は政府が決断をしないのはおかしい」という主張をなされていました。彼は個人として100億円を寄付するそうですし、人としての判断が、適格だなあと僕は思います。原子炉に関しての見立ても現在の情勢がやや落ち着いているものの、今後の展開は予断を許さないと言う点でも同じだと思います。こうした内容を恐らく今のテレビの中で放送することはできないだろうと話していましたが、僕も全く同意します。パニックを起こさないための「思考停止」である今のテレビは、どこの局でも、ここまで放送するのは無理でしょう。自分にも、危険があるということを、そのまま見ることのできる人は、特に立場のある人々には、ほぼいないんだなあという現実を毎日かみ締めながら、生きている僕にとっては、もうマスメディアに対しては、あきらめの心境がつよいです。その意味では、孫氏がやっていることは、現況では無条件で賛同したいと思います。

 このネットの放送の中で、原子炉についての見立てが出ていたのと同じように、午前中に細野補佐官も「若干の落ち着きを取り戻している」というワードを使っていました。僕は、メーカーで、数年、福島第一原発を担当していた技術者のある友人がいるのですが、この友人と「若干の落ち着き」をどういうふうに考えるのか話しました(本人は、有名な専門家ではないですが、この福島第一原発に関しての仕事を実際にやっていて、しかも極めて優秀な人物。彼が僕の数少ない友人であることは、僕が自分の見立てを考えていく上で大きな力になっています。推進派の専門家よりも実際の場所も実務も知っていて、本音で喋る人が身近に偶然にもいる事が、今回の僕の判断に手助けとなっています)。彼が言うには「木下さあ、悪化する坂の流れとか、速さは変わっていないんだよ。突然早く転がり落ちているわけではないけど、その速さは変わらないまま落ちているだけだから。速さが数日変わらないことは、確かに若干の落ち着きとか小康状態ともいえるけれども、事態が正常化の方向に向けて好転しているとか、坂の流れが止まったとか言うレベルの話ではないよ。そのままの速度で落ちているだけだから。早まっていないだけで。落ちることには変わんないし、落ちた結果がどうなるのかは、おきてみないと分からないのは前から言っている通りだろ。安心なんて話とは、ほど遠いんだよ。その瞬間の微分がどうであっても、積分したらどうなるのかなんだから」とも。要は、「お前が気を抜くな。事態の危険度に変化はない」ということです。やはり、シビアな話です。

 後は、午後の官房長官会見でまず甲状腺ガンのスクリーニングで異常がないと言う報告がありました。異常がないのは喜ばしいですが、そういうスクリーニングをする必要がある環境に子どもを置き続けることに、私はものすごく異議申し立てをいたします。子どもは僕らの未来そのものです。極論言うと、大人がガンになろうがどうしようが、最後は自己判断ができたのか、できていないかだけです。自分が悪いのです。危険に気づかないのだから。しかし、子どもは違います。スクリーニングが必要な場所に子ども置き続ける必要性は本質的にはありません。今回の震災でも多くの子どもたちが亡くなっています。これ以上、子どもたちに苛酷な責めを負わせてよいと僕は全くおもえません。このため、子どもだけでも避難地域の拡大をするべきです(全体の避難が不可能なら、究極的には、戦前の疎開と言う概念でも良いと思います。一定線量以上の地域の子どもに対策を急ぐべきです)。会見でも「安全性の観点から、大気中の放射性物質や土壌の放射性物質などを総合的に分析し、分析を踏まえて精査する」という言い方で、避難地域について何か考えていることを匂わせる発言がありました。もし何か考えているのなら、少しはうれしく思います。僕自身は、菅直人氏は個人的には嫌いですが、いろんないきさつもあって、親しい官邸のスタッフにペーパーは複数渡しています。本人が読んでもいると聞いています。読んでも改善される保証は皆無ですが、作業は続けるしかありません。ドン・キホーテの良いところはあきらめないということです。あきらめずに、やりつづけることが、僕という馬鹿の良いところだと自分で勝手に納得しています。

枝野官房長官の記者会見全文〈3日午後〉(朝日新聞) - goo ニュース

 ところで、このところ、「思想としての反原子力」を考えています。僕はどんなことがあっても、日本国内の原子力発電所を最終的には、全て止めなければいけないと、現在は確信しています。このことは、ほとんどの皆さんには「木下はいよいよ頭がおかしい」と言われる話だと思います。僕は元々、原子力に好意をもってはいませんし、東海村の取材でその危険は認識していたつもりでしたが、いわゆる「反原発」の人では僕はありませんでした。脱原発に社会を転換していかなければならないと思ってはいたのですが、そこまで、自分としての確信をもってジャーナリストとして、動いていて居た訳でもないですし、エネルギーと言う問題について、深く思考できていたとは言えないと思います。これは、僕が最も反省すべきことで、東海村の最前線を長期取材しながら、そこを深く入り込まなかった自分の不明を詫びるしかないと思っています。原子力自体、地元に大量のお金をばら撒くことで、国と電力会社の共犯関係で長らく続いてきた不透明なものです。この構造は、昔から、知ってはいたものですから、今回のあいまいな感じでの事態の推移は、長年の「原発村」とでも言うべき特殊な特権社会であることが大きく影響していることなども、以前からきちんと伝える努力をすべきだったと、これもまた反省しています。

 勿論、この事態を目の当たりにして、考え方はさらに大きく転換しています。その上で、今回、事態が起きたときにいろいろな専門家や知識人が、「システムに問題があるのなら、より安全度をあげたシステムを構築して対応すべきだ」という論調を張っているのを聞いて、「???」という思いが強くなっています。システムはある想定で必ず作られます。その想定の中でしか、システムは対応できません。システムは本質的にそういうものです。原子力発電所はその中で、もっとも巨大なシステムの一つと言えます。想定はもちろんなされますが、その想定の安全度をいくらあげても、当然ながら想定と違うことは遅かれ早かれやってきます。何を言っているのかと言うと、全てのおこりうることを想定しきることなど、どのような科学者でも絶対に不可能なことであって、そうなるといずれは、想定外の事柄がおきます。他の巨大システム、例えば飛行機なら乗客乗員が犠牲になることがおきえます。しかしながら、影響はそこでとまります。こうなると、後は利便性と確率を天秤に掛けるかどうかであって、許容することができるかもしれません(飛行機事故のご遺族には許せない発言だと思います。申し訳ありません)。しかしながら、普通に考えて、原子力発電所はそのレベルにはとどまりません。僕らは今まで、チェルノブイリという、共産主義国家で発生当時実態がベールに包まれていた大事故しか、きちんとした経験はありませんでした。そのため、認識が不十分だったと思います。チェルノブイリのことを的確に認識していれば、原子力発電所と言う巨大システムが、何らかの想定外の出来事で、それが天災であれ、ヒューマンエラーであれ、おきたときから周りに与える影響は甚大なものにならざるをえいということです。この被害の甚大さとシステムにおける想定と言うことの本質的な無意味さを重ね合わせると、原子力発電と言うものを継続して続けていくことが、国土の狭いわが国では不可能だということなのです。人間が放射能に勝てるなら、原子力発電所を続けても良いと思います。でも、人間は放射能には勝てません。勝てる相手ではありません。こういう危険をそのまま、放置しておくべきではないと僕は思います。このため、どうしたら全国の原子力発電所を全て廃止できるのか、その代わりとなる新たなエネルギーや新たな社会構造を何らかの形で新しく提案できるのかが、僕の今後の重要な仕事になるかもしれないと思って考え続けています。さきほどのネット放送でも気になったのですが、孫さん自身も安全度をさらに高めればなんとからないのかという質問をしていました。「安全度を高めれば、万が一を想定すれば」とどんな人でも思うことなのでしょう。しかし、万が一の結果で被害が極めて甚大になる場合、この思考そのものが、意味をなさなくなる事を指摘だけはしておきたいと思います。僕の中で「思想としての反原子力」は、まだまだ煮詰めていかなければならない作業と感じています。引き続き、この点については考え続けたいと僕は思っています。


僕個人のことは本題ではありませんので。

2011-04-03 16:45:14 | その他

 今回の福島第一原発についておきている懸念を、僕なりの取材をして覚悟して伝えているのが、このブログの現在の状況です。僕個人について、既に複数のメディアが書かれているようですが、僕が取材に応じているものはありません。正しい内容もありますが、全く事実誤認としか思えない内容もあります。僕からの情報提供はしていません。僕がどうして、とりあえず西日本に、退避することを決めたのかについての社会的な背景は、この現在の事態の推移が明確になった時点、さらに僕個人のいろんな状況が確定した時点で、お伝えすることは構いませんが、現状は、いろんな社会的な関係性の中で僕も進行していますので、そんなことは現在はお伝えできないです。そもそも僕個人の事柄なので、ほとんどのみなさんには直接は関係しませんので、あまりそのことだけに関心を持つのは本質的な意味が無いと思います。僕はそんなに大した人間ではありませんから。皆さんの時間の無駄です。

 勿論、今回の状況を見て、西日本に居た方が、いろんな意味で取材の自由も、発言の自由も、それ以上に自分がきちんと考える自由もあると思いましたので、この行動に踏み切りました。一定程度、危険を認識して行動したのはこれまでもご説明しているとおりです。臆病で逃げたのも本当ですし、考え抜いた末の行動であるのも本当です。勿論、事態がこのまま成功して、最小限の被害で済めば、喜ばしいことでありますし、僕が頭がおかしい臆病者として罵られれば良いだけの話です。ただ何回も言いますが、この方法しか、伝える方法が僕にはありませんでした。それは社会の外だけでなく、内に対しても、これ以外の方法で危険があると伝えることはできない状況であったことはお伝えしておきます。

 なお、このブログは、この福島第一原発について書く以前から、コメントは承認制にしています。今回の事態の後は、完全なスパム以外、基本的に全て承認公開していましたが、僕の個人的な事柄についての書き込みは、承認公開する意味がそもそもありませんし(僕の事実関係を知らないで書いている書き込みも散見されます)、このブログの本題とは、どんどんずれますので、僕が判断して公開しない場合もありますのでご認識下さい。どうしても僕個人に直接おっしゃりたいなら、電話番号をメールされるなら、こちらからお電話をしてお話します。こちらも個人なので対応限界がありますので、ご了承下さい。


ある米国系企業がとっている「福島第一原発」対応について

2011-04-03 00:37:42 | 福島第一原発と放射能

 ぼくがきょう、あるところから、伺った話です。あるアメリカの有名企業があります。情報を多く取り扱いますし、アメリカの保守側で軍事的なビジネスともある程度は関係があると認識できる、そこそこ有名会社です。東京にブランチがあります。もちろん、その会社の日本の幹部は、ほぼアメリカ人で、この福島第一原発の騒ぎあったときには、幹部のアメリカ人たちは近隣のアジア諸国に逃げていたそうです。騒ぎが一端静まったと言うことで、一度、東京には戻ってきたそうです。しかしながら、その会社は空調が止められていて、換気扇には目張りがされている状態だったそうです。会社の中でも緊張感のある雰囲気だったそうで、アメリカの本社から東京の現場に今回の原発に関しての情報についていくつかの注意事項がおりてきていたそうです。まず一つ目は日本政府の発表についてです。日本政府の発表は数値まではうそをついていないので、そこは確認しても良いけれども、日本政府の分析が大変に甘く、耳あたりの良いことしか言わないので、鵜呑みにするなと指示されているということです。もう一つは、日本のマスメディアに対してです。日本のマスメディアの報道内容は楽観的過ぎて、参考にするなとまで言われていると聞きました。複雑な思いがする話です。情報は欧米のメディアできちんとチェックするように言われているそうです。日本のメディアがつかんでいる情報をどこまで流せるのか、極めて微妙な感じとは思いますが、ここまで思われているのが本当なら。。。とにかく、その上で、自分たちの仕事の流れ方も含めて、自分たちで状況判断をしろと言う事や、危険が高くなったと考えられる場合、出社に関しても当人が選択できるということまでも、あるようです(勿論、欠勤分の給与はないでしょうが)。「赤信号、みんなで一緒に渡りましょう」的な感覚の強い日本の大企業とは、かなり違うのですね。そして、この企業の東京ブランチの幹部たちは、一端は東京に戻ってきているのですが、今の作業が済めば、一端はアメリカに帰国することもきめているそうです。外資系、アメリカの企業は緊急事態であっても本当にシビアな感覚だと思います。ただ、そのシビアな感覚は、個人に裁量を任せています。良くも悪くも。

 さて、パニックが起こるために避難をさせるべきではないとお話をいただきました。ここでは、そのお話に直接返答するわけではありませんが、パニックについて思考してみたいと思います。パニックを起こさないということは、今回の原発の報道の中でも最も大切なことのように言われます。確かに、パニックはおこさないほうがよい、これはその通りでしょう。しかしながら、パニックを起こさないために、こういうことはすべきでないとか、こういうことは伝えるべきではないとかは、本当に正しいのでしょうか?パニックというのは、ぼくの知る限り、信憑性のある情報がどのくらい正確に伝わったかどうかが、ひとつの鍵となります。情報ができるだけ緻密に正確に伝わるとパニックは起こりにくくなるはずです。パニックは、元々想定がされていて、対策がある程度秩序が立てられて対応できるのなら、実はおもったよりも簡単にはおきない可能性が高いとぼくは思います。また、パニックは目前にものすごい恐怖があっても、その恐怖、特に死の恐怖から逃れる術がないときにパニックは起こりにくいと聞きます。墜落しつつある飛行機の中でパニックとなったとされるケースが少ないのは、そういうことかもしれません。逆に目の前に石が落ちてきているけど、慌てて逃げたらパニックになってさらに悪いケースがあったとも聞きます。こういう感覚で言うと、パニックを起こさないためには、事が起こる前にどのようなことがおきうるのか、あるいはおきないのかをきちんと伝えて、事前にはっきりと行動できるように余裕を与えておくことが実は大切な気がします。今回の流れの中で、まず情報をいろいろ汲み取ることはこの点からも大切なことだとぼくは思います。いろんな情報があれば、それだけ思考の幅が増えます。思考の幅が増えると、自分の現実の選択肢も間違いなく増えていきます。そうした観点で積み重ねていくと、自分自身がどうすべきなのか見えてくるはずです。そうすれば、パニックに巻き込まれない選択肢を考えることができます。実際、パニックと言うのはそういう風にして、回避していくしかないと思います。このブログも僕も偉そうに言えるほどのものではありません。それは、自覚していますが、しかしながら、かなり覚悟して書いています。少なくともパニックにならないための、ある一つの情報としては参照して頂けるレベルのものになるように考えて書いているつもりなのです。勿論僕が至らないため、いろいろご不満はおありかもしれませんが、僕としては恐らく限界状況の中で書いていることだけは伝えたいのです。

 なぜこのようなことを言うのかと言うと、放射性物質の影響を予測した研究の公表を自粛するように求める文書が、気象学会の理事長名で通知されていたことにもびっくりしたからです。パニックを招かないと言う言い方で、当たり前のことも自粛すると言う感覚が、学問の世界まで蔓延していると言う、恐ろしい現実があります。パニックという錦の御旗で、何も言わずにいるのが正しいとはとても思えませんし、戦後日本で、ここまでのことは、はじめての現象かと思います。日本人というのは、誰かに脅されてやるのではなくて、周りの空気を見ながら、こういう風に自粛していくのだなあと、僕のような特異な人間は、思い知らされている感じがします。僕のように、個人の判断で、しかも自分の根幹にある、ある種の”感”で動く人間には、よくわからない事です。自粛することで事態はより不透明におかしなことになります。そうするとどんどん不安が高まります。つまり、パニック神話を信じすぎて、むしろパニックを招きやすくなっていると言うことです。本末転倒。でも、今、東京のいろんな組織で同じことがおきていると僕は思います。その意味では、合理的なアメリカ企業を羨ましく思いますし、第二次大戦のみならず、今もアメリカに全く勝てない現実を改めて思い知らされます。当たり前に目の前にあることをきちんと見つめることしか始まらないという基本も、理解されにくいという今の日本です。嫌だなあ。

 

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放射性物質予測、公表自粛を 気象学会要請に戸惑う会員(朝日新聞) - goo ニュース

2011年4月2日19時25分

 福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。

 文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたずら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。

 新野さんによると、事故発生後、大気中の放射性物質の広がりをコンピューターで解析して予測しようとする動きが会員の間で広まったことを危惧し、文書を出した。

 情報公開を抑える文書には不満も広まり、ネット上では「学者の言葉ではない」「時代錯誤」などとする批判が相次いだ。「研究をやめないといけないのか」など、会員からの問い合わせを受けた新野さんは「研究は大切だが、放射性物質の拡散に特化して作った予測方法ではない。社会的影響もあるので、政府が出すべきだと思う」と話す。

 だが、今回の原発事故では、原子力安全委員会によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算の発表は遅すぎた。震災発生から10日以上たった23日に発表したときには、国民に不安が広まっていた。

 気象学会員でもある山形俊男東京大理学部長は「学問は自由なもの。文書を見たときは、少し怖い感じがした」と話す。「ただ、国民の不安をあおるのもよくない。英知を集めて研究し、政府に対しても適切に助言をするべきだ」

 火山防災に携わってきた小山真人静岡大教授は、かつて雲仙岳の噴火で火砕流の危険を伝えることに失敗した経験をふまえ、「通知は『パニック神話』に侵されている。住民は複数の情報を得て、初めて安心したり、避難行動をしたりする。トップが情報統制を命じるのは、学会の自殺宣言に等しい」と話している。(鈴木彩子、木村俊介)


推進側代表学者OB見解も「状況はかなり深刻で広範な放射能汚染の可能性を排除できない」

2011-04-02 14:14:37 | 福島第一原発と放射能

 

 下記の記事に出ている人々は、あくまで推進側の中心的な学者の、OBグループです。反対派側の人では全くありません。吉岡先生や小出先生が話していた中での最悪想定に近いことを推進側の中心的な彼らが喋りはじめている現実をどうして、政府やマスコミは、認識しないのか僕にはさっぱり理解できません。何度もお伝えしていますが、事態は一向に改善の様子がありません。水を入れ続ける方法論だけでは解決しない事まで、推進側から、あからさまに認めはじめているということです。小出先生ともいまさっき話しましたが「私が前から述べていることと同じ事を言いはじめているだけですね。もう汚染は広がっているのだから。さらに、僕の考えている最悪想定と同じようなことに言及しはじめているだけですね。わかりきった話なんだけれども」と。

 広範な放射能汚染というのは現在の数十キロゾーンの話ではありません。吹き上がる高度と風向きによっては、100キロから250キロゾーンも汚染される可能性があります。最悪想定は絶対にあり得ない話ではなく、あり得る話だと、彼らは伝えています。こんな明瞭な話をなぜ「思考停止」しつづけるのでしょうか。退避ゾーンも広げないと判断することが、多くの被害をもたらす可能性があるのに、なぜまともに判断しないのでしょうか。僕は許せないです。

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原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言(読売新聞) - goo ニュース

原発事故、国内の経験総動員を…専門家らが提言

2011年4月2日(土)01:42

 福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた専門家が1日、「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって緊急事態に対処することを求める提言を発表した。

 田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全委員長、石野 栞 ( しおり ) ・東京大名誉教授ら16人。

 同原発1~3号機について田中氏らは「燃料の一部が溶けて、原子炉圧力容器下部にたまっている。現在の応急的な冷却では、圧力容器の壁を熱で溶かし、突き破ってしまう」と警告。また、3基の原子炉内に残る燃料は、チェルノブイリ原発事故をはるかに上回る放射能があり、それをすべて封じ込める必要があると指摘した。

 一方、松浦氏は「原子力工学を最初に専攻した世代として、利益が大きいと思って、原子力利用を推進してきた。(今回のような事故について)考えを突き詰め、問題解決の方法を考えなかった」と陳謝した。

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ブログのタイトルを変更しました。今回の情勢の中で、考えた末の決断です。以前から、僕個人ブログとして再出発していましたが、今回、僕自身の名前をはっきり出すことにしました。長井健司の署名にご協力頂いた皆さんに一応ご報告しておきます(このブログは元々、長井健司殺害に抗議する署名活動から始まっていますので)。


原子力は古臭い技術という認識を持つべきです。古臭い技術に僕らは追い詰められています。

2011-04-02 00:54:58 | 福島第一原発と放射能

 「原子力は、昔の技術で、劣ったものです。」吉岡先生がおっしゃていました。確かに良く考えれば、四十年以上前の技術ですし、原爆のことを考えれば65年も前の技術です。技術の根幹的な原理はそのころから、大きく変化をしていないと思いますし、そのため、冷却をおこなえなかった時の、全く違うレベルの技術的対応はなく、ひたすら冷やすことがメインテーマとなります。ただ、冷えないのですよ。ハッキリ言って。これだけ注水しても注水しても、すぐには冷えません。冷え切るのには、専門家に伺っても早くて一年という単位を口にするばかりです。もちろん徐々に冷えていくとは思いますから、最初よりは低くなりますが、それでもなかなか冷えません。冷えきらないと、要は危険がなくなると明確にいえない状態がずるずる続くのです(もちろん、現時点での最良シナリオです)。このままの状態というのは多かれ少なかれ、放射能が出続けている状態で、それは人体にとってよいことは特にない状態が、少なくとも冷え切るまでは、安心できるレベルにはないということです。もちろん、環境というのはいろいろな不安な要素で左右されるものですから、放射能だけを過大に評価すべきではないというお話をする人がいるかもしれません。しかしながら、他のものよりも、明らかに自然界に存在しているよりも過剰に放射能を受け止めなければならないことを明確に認識してほしいと思います。古臭いというか、劣った技術の問題に僕らは追い詰められているのです。

 福島在住といわれる方から書き込みがありましたので、きょうの線量をベースに僕の考えで仮定の式を組み立ててみて、どのくらい被曝するのか考えてみたいと思います。もちろん、仮定ですし、人間はどのようにでも動くからお前の言うことは当てにならないと思われても仕方ないですが、一つの仮説としてこのようなことを僕が考えてみたいと思います。きょうの福島市内のモニタリングポストで1時間当たり2.63マイクロシーベルトを観測したそうです。仮にこれが発生時からずっと継続すると仮定します。2.63マイクロシーベルト×24時間=63.12マイクロシーベルトになります。ただし人間は大半は室内に居ると仮定して仮に一日のうちに三分の一程度屋外に居る想定で考えると63.12×0.3=18.936マイクロシーベルトになります。外部被曝です。村田医師の空気、食料、水からの内部被曝は、外部被曝の四から五倍程度という仮定に基づいて仮に四倍としてみます。18.936×4=75.744マイクロシーベルトが一日の内部被爆になります。一日あたりの総被曝は、外部被曝と内部被曝を足すと18.936+75.744=94.68マイクロシーベルトになります。これが一日ですから、一ヶ月で計算すると94.68×30=2840.4マイクロシーベルトになります。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトなので、一ヶ月に2.84ミリシーベルトくらい被曝するという想定が出ます。この段階で公衆被曝のレベル年間1ミリシーベルトはもちろん超えているのですが、これが三ヶ月続くと、2.84ミリシーベルト×3=8.52ミリシーベルトになります。これは、妊娠可能な女性(妊婦ではない)の放射線従事者で、三ヶ月で5ミリシーベルトの被曝を超えてはならないという放射線従事者の法定基準を楽々と超えていく可能性があります。この法定基準は元来はかなり厳格なもので、公衆被曝の年間1ミリシーベルトを守れないことはぎりぎりあきらめるとしても、この三ヶ月5ミリ基準は一般国民への限界としか思えません。もちろん、ずっと続くかどうかは未知ですし、放射能についての想定はいろんな考え方がありますから、僕の想定や考え方の通りにはいくとは思いません。しかしながら、僕が突飛でものすこ゜くおかしな考えをしているようにも思えないのですが、皆さんいかがでしょうか。すでに、福島市内の方でもこのような状態ですから、もっと線量の高い、福島県内のエリアは言うまでもありません。東海村の臨界被曝事故の時と比較すると(周辺住民のみのためもっと手は早かったですが)、政府の対応は後手どころの騒ぎではありません。僕には本当に理解できません。特に妊婦や妊娠可能な女性と子どもだけでも何か策を講じられないのかと思います。自分で決断しないことが自分の人生のポリシーである菅直人総理にはもちろん届かないでしょうが。むなしいです。

 同じ方法で今度は東京でもやってみます。本日は新宿のモニタリングポストの数値が0.099マイクロシーベルト×24時間×0.3=0.7128マイクロシーベルトが一日あたりの外部被曝。内部被曝は、0.7128×4=2.8512マイクロシーベルト。外部被曝と内部被曝をあわせて3.564マイクロシーベルトになります。三ヶ月だと大体320マイクロシーベルトで収まります。一年だとおよそ、1300マイクロシーベルトになり、1.3ミリシーベルトになります。東京でも一年間この状態が続くと、年間1ミリシーベルトの公衆被曝のラインはわずかですが突破します。ただ、これだと成人にはほぼ影響はないレベルだと思います。妊婦や子どもにはこれでよいとするかどうかは判断が分かれるとは思いますが。勿論、東京は現況のままで推移すれば本当によいとは思います。しかしながら、原子炉の状態によっては、違うことがおきることは、今後も十分にあり得ますので、あくまで原子炉がうまくいきつづける、最良のケースの場合の話であることをお忘れなく。

 さきほどNHKで見ましたが、福島県のアドバイザーになった山下俊一長崎大学教授が、福島県内の被曝について「心配する必要はない」と言い、半減期が長いが、セシウムは悪影響はないと言う趣旨の話をしきりにしていました。本当にそうなら喜ばしいですが、本当なのでしょうか。山下氏は1991年からチェルノブイリ原発事故後の国際医療協力にとりくまれたそうです。ただし、事故発生から五年後の話です。日本船舶振興財団つまり会長の故笹川良一氏、笹川プロジェクトによるものだそうです。

 この記事も木下黄太が書いています。個人として、ジャーナリストとして書いています。最近、ジャーナリストを名乗るなという意味不明な脅しが、あるところから、僕に直接届いてますが、あまりにも相手のレベルが低すぎるので、相手にするのも馬鹿馬鹿しい、きょうこの頃です。「お前は取材が甘い、ジャーナリストのレベルでない。」という感じのご叱責でしたら、とても歓迎いたします。


IAEAの調査結果を無視する日本政府は国民を守る気があるのか

2011-04-01 02:19:48 | 福島第一原発と放射能

 間違えていただきたくないのですが、国際原子力機関=IAEAは、平和に原子力の推進を進めている国際機関です。どういうことかというと、原子力事故を適正にチェックし、指導するような国際機関というよりも、大変な事態が起きていても、できるだけ、事態を沈静化させ、対策についても必要最小限のことしかおこなわないことが、実はメインの仕事です。

 チェルノブイリで考えましょう。公式発表だと作業者の被曝は24万人、避難住民の被曝は11万6000人、高線量被曝の作業員は134人、うち34人が3ヶ月以内に死亡、小児甲状腺ガンが1800例見つかったほかは、「ガンの増加や死亡はなかった」とされています。実際はとてつもない量の放射性物質が排出されていて、もちろん旧ソ連ということもあり、健康被害の調査は、一部のサンプリング調査だけで、住民をきちんとトレースしておらず、本当の悲惨な実態は隠されている状況です。こうしたはっきりしない状況を追認してきた国際機関がIAEAです。何を言っているのかというと、IAEAが問題があると言っている時は、間違いなく大きな問題があるということです。推進側の組織です。IAEAの今回の調査で、飯館村の土壌の表面から、1平方メートル当たり、2000万ベクレルの放射性物質(ヨウ素)が検出されたということです(会見で訂正されて数値が増えました)。尋常な量ではありません。きのうも書きましたがベラルーシの最高会議は1平方メートルで55万5千ベクレル(セシウム)で強制退去させました。
大規模汚染の過去の例は、チェルノブイリしかありません。そのチェルノブイリにより、取られている強制移住対応の36倍にあたる汚染が土の表面にあります(セシウムとヨウ素で半減期が違いますが)。常識的に判断はひとつしかありません。しかし、日本政府は問題がまだないという立場です。原子力安全委員会は、避難区域の設定を見直す必要はないとの考えです。もはや、シュールとしか言いようがありません。どんなにきちんとした現実を突きつけても、どんなに明確に言い続けても、「思考停止」の状況はかわりません。
 

 政府が「思考停止」をしていると、それをメディアが追認する状況が続いています。メディアの内部でもいろんなことがおきているようで、「安全」「安全」というワードばかりが上から下に対して降りている状況だと仄聞しています。なぜ安全なのか、どうして安全なのかをきちんと説明している訳ではありませんし、これでは、国民が心の底から自分たちが安全であると確信を持てる状況ではないと僕は思います。

 僕は出来るなら、100キロ圏の避難をこのブログで訴えていますが、僕だけでなく、著名な都市防災や都市計画の専門家も同様の発想を現時点でお持ちの方がいるそうです。こういう提言だけは官邸にも、まもなく届けられるとは思います。勿論、数百万人単位の移動は現実的にかなり難しいですから、あの菅直人氏が決断する見通しはほぼないだろうとは思いますが。菅氏は、彼を知る人たちの中での会話では、目先に少しでも自分の責任を問われる可能性がある決断をすることは、避ける人物だということです。自分ではなく、例えば他の機関が決断することで、自分の目先の責任を回避したいというのが彼の本音だということです。本当に厳しい感じがするばかりです。

 きょうも小出先生と原子炉について何かまだ対策はないのかと話したのですが、「水を入れ続ける以外の方法はもう全てなくなったと今は確信したよ。電気の復旧は厳しい。後は、人が続くかどうかだが、炉心はどんどんくずれるから、水蒸気爆発で大量の放射性物質が飛び出す可能性は、そのままだよ。今度は10倍くらい放射性物質が出ることは想定すべきだし、風向きと高度次第だが、チェルノブイリと同じ半径は被害想定すべきだよ。」といわれました。「チェルノブイリは250キロで高濃度被曝しているからね」と。ギリギリの状況です。

 後、皆さんに確認しておいてほしいのは、美浜原発などに反対している「美浜の会」が厚生労働省とのやりとりをのせています。現在、今回の福島原発に関して全国の市民グループでもっとも活動しているのが、このグループのようです。きょう、僕もその中身を取材して確認しましたが、厚生労働省は外部被曝と内部被曝の全体を何かの計算式で推定でも出しているのかどうかという質問に「不知」という答えだったそうです。元々、厚生労働省は原子力災害は大規模に起こらないという仮定の下、被曝の健康への影響というジャンルに立ち入らないことが常だったようですが、国民の健康に影響を与えかねないこの情勢であっても、見かけ上の推定の出し方も特にないことが示されると、長期的国民の安全を、この国のどの機関が考えているのか分からないということです。というか、考えていない可能性もあるということです。「直ちに影響がない」というワードで私たちは安心するべきではないという思いを強く強くしています。このワードに対しても、「厚労省としてははっきりしていない」と答えているそうです。一体、どの官僚達が決めた中身での言葉で、官邸や保安院の皆さんは、
しゃべっているのでしょうか。僕の不安はますばかりなのですが、とにかく下記をご参照下さい。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/mhlw_kosho110328.htm
 

  午後に、伊方原発の証人でもあった槌田先生と桃山御陵あたりで話をしました。元々金属の専門家で、スリーマイル島の事故のころには、よく論評されていて、最近は「脱原発・共生」というテーマを追求されています。ご専門の金属の特性を詳しく解説していただきました。冷却システムがうまくいかなくなると、炉心の水の流れが滞り水の気泡ができるそうで、気泡により水の流れが悪くなり、水蒸気がさらにたまりやすくなり、チタンの仲間であるジルコニウムを使った管は、高温の水蒸気に弱く、爆発的な反応をまねくそうです。こういう状態だと、どんどん壊れていくそうで、管がもたなくなってくると、炉心の燃料はおのおの積み上げているようなものらしいので、それが形体を維持するのが本当に難しくなる。そうすれば、さらに炉心はどんどん崩れ、圧力容器の底に落ち込む状態だろうということです。原子炉は運転停止後もだいたい二十万キロワットレベルの発熱があり、原子炉の火という尋常なレベルでないということです。チェルノブイリと比べた場合に、原子炉が稼働していたものが少なくとも三基あり、核燃料の総量は恐らく一桁違うくらい、ものすごく多いこと。このため、ここからさらにもれ続けた場合の被害想定は、幸運にも大きな爆発が起こらない場合でも、水や食物、空間に出ている放射性物質は現時点ですさまじい量になっているし、これからも当面ずっと出続けるということです。

 また、槌田先生は「覚悟」を話される方で、若い女性と子どもには、どうしたらできるだけ、安全な水と食料を優先できるのかということを話した上で、自分たち年寄りは高濃度におかされた野菜も「食べる覚悟」が必要な状況になるとお話しになります。その上で、「放射能の恐ろしさは結果の恐ろしさであって、自らの利己心を反省することが重要だよ、木下君」と諭されました。「君の中にも、こうした原子力のみならず、科学がもたらした日本の甘い状況を甘受していたところがあるはずで、それに対して真摯に反省しなければならないのではないのかね。それはこれまでのジャーナリストの活動としてもね」ときつく戒められました。「特に君の反省の声を皆さんに届けることが必要だし、その上で、君は未来社会の展望を語らなければならない。年寄りでなく、それが君の務めだ」とも。

 1978年の伊方原発の裁判で、大変悔しい思いをされた槌田先生は、松山からの船の中で、科学者(金属物理学)という自分の存在を変える決意をし、京都大学をやめる覚悟もしたことを語ってくださいました。実際、その翌年に京都大学助教授の地位を投げ捨てられています。

 僕は、先生の覚悟をもった人生に、自分が追いつけるのかどうか、全く分かりませんし、先生が求められた課題を乗り越える力量が、僕という人間の度量にあるのかも微妙かもしれません。しかし、自分も人生の大きな転換点にいるなかで(この震災の後、日本国民は多かれ少なかれ同じと思いますが)、何かシンクロするような話をいただいたことに不思議な思いを感じています。