俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

腐り行く体

2012-10-13 13:43:15 | Weblog
 歳を取ると日に日に体が劣化する。劣化させないように努力はしているが老化現象には勝てない。老化を遅らせる以上のことはできないのかも知れない。
 コピーを繰り返せばどんどん劣化するように、細胞も再生の度にコピーミスを繰り返す。当初のDNAとは違ったものを作りそれが癌や良性腫瘍などになる。自分の体がどんどん劣化することは、まるで体が腐って行くかのように感じられる。今日と同じ明日・今日よりも素晴らしい明日ではなく今日よりも悪い明日しか訪れないと思えば暗い気持ちになる。
 若い内は老化を気にしないが、白髪も老化現象だ。生まれつき白髪(はくはつ)だった人はともかく、白髪(しらが)は元々持っていたメラニン色素を失うことだから遺伝子によるコピーミスだ。こんなコピーミスがあちこちに現れて老化は進行する。機械なら部品交換で対応できるが人間ではそれは不可能だ。iPS細胞の技術を使えば老化の防止、つまり老化した細胞の置き換えが可能になるのだろうか?

衣類箱

2012-10-13 13:23:35 | Weblog
 衣料棚の春夏物の衣料品と衣類箱の秋冬物の衣料品の詰め替えをしていて思った、何と無駄な作業か、と。何十年もこんな作業を繰り返していたが、春夏用の衣類棚と秋冬用の衣類棚を別々に揃えておけばこんな詰め替え作業は必要無い。衣類棚から衣類箱に移しても嵩は殆んど変わらないからだ。
 スーツについてはずっと前から春夏物と秋冬物を別のラックに掛けていたのにスーツ以外についてはこんな馬鹿なことをずっと続けていた。習慣だからだ。衣類棚には今使う衣料を入れて、今使わない衣料は衣類箱に片付けて押入れに入れることが長年の日本人の習慣だった。
 日本人は狭い場所に住んで季節に合わせて模様替えをする。徒然草で吉田兼好が「家の作りやうは夏をむねとすべし」と書いたように、使い分けるという発想は日本人には無かった。夏用の部屋と冬用の部屋を作って住み分ければ一年中快適なのに、夏用の部屋しか作らずに冬は寒さに耐えていたのが日本人の浅知恵だ。毎日、布団を出したり入れたりするよりもベッドにしたほうが合理的なのにそんな発想も無かった。狭いスペースを上手に使うことよりも時間や労力を無駄にしないという視点から生活を見直したい。

内的世界

2012-10-13 13:02:22 | Weblog
 外的世界は偶然のものだ。一方、内的世界はその人の人生のエッセンスだ。内的世界においては重要なことのみが血肉化され重要でないものは忘れられる。重要でないことが大半を占める外的世界に振り回される人はそれだけ内的世界が貧弱だということを意味する。
 経験豊富な人は殆んどのことに驚かない。沈着冷静だ。既に知っていることだから経験に基いて周囲の人に知恵を授ける。ITの世界は日進月歩なので古い知識は役に立たないが、日常の生活や人間関係はこの数百年間、そう大きくは変わっていない。
 しかし経験は個人的なものだ。個人にできる経験は限定されている。例えば我々は戦争を知らない。その悲惨さ・非人間性については歴史から学ぶしかない。賢者は歴史から学び愚者は経験から学ぶ、とさえ言われている。
 また内的世界はしばしば偏見に支配される。交通事故の被害者になった経験のある人は合理的なレベルを超えて交通事故を恐れるようになり勝ちだ。
 統計から学ぶということが真剣に考えられるべきだろう。飛行機を怖がって自動車で移動する人は実は何百倍も危険な行為を選択している。ビギナーズラックに出会った人の中にはギャンブルにのめり込む人もいるが、ギャンブルが儲からないことは統計的に明白だ。医療においても経験と習慣に基く治療からエビデンス(証拠)に基く医療へとの見直しが進められている。
 内的世界が重要であることは言うまでもないが、より普遍的なものとしての歴史、そして最も合理的なものとしての統計の重要性を見逃すべきではない。