俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

科学による予報

2012-10-28 15:49:59 | Weblog
 2009年9月のイタリア中部地震を予報できなかったとしてイタリアの地震学者7人に実刑判決が下された。もしこの判決が正当なら、東日本大震災の可能性を0%と予測していた地震調査委員会のメンバーには終身刑が相応しかろうが、これは無茶な判決だ。多分天気予報と混同しているのだろう、
 天気予報と地震予知は質的に全く異なる。天気予報が可能なのは既に起こっていることの推移の予報に過ぎないからだ。「どう変化するか」を予報しているだけだ。一方地震予知はまだ起こっていないことに対する予知であり科学が及び得ない領域だ。
 例えばスポーツ選手が疲労困憊していればドクターストップをかけることならできるが、より深刻なアキレス腱断裂が起こるかどうかは医師にも本人にもわからない。
 あるいは慢性疾患に罹っている人に健康指導をすることはできても、ある健康な人がいつ風邪をひくかなど誰にも分からない。
 科学に可能なのは既に事実になっていることの推移の予想であり、まだ起こっていないことがいつ起こるかなど分からない。科学は、事態が発生してからそれがどう推移するかを過去の事例に基いて予想するだけだ。
 それはともあれ、できもしない地震予知の専門チームとして報酬を得て、当然のことながら地震の予知ができなかった地震調査委員会の責任は何らかの形で問われるべきだろう。できないことを「できる」と言って報酬を得ることは詐欺にも等しいことだ。

母性本能

2012-10-28 15:15:26 | Weblog
 哺乳類の雌には母性本能が備わっている。母性本能を欠いた変種は子孫を残せずに滅ぶから、雌にとっての母性本能は種族維持のために必要不可欠な先天的性質だ。雌であることと母性本能の存在は密接な関係ではなく必然的な連結とさえ言えよう。
 人類も哺乳類だ。従って女性には母性本能が植え込まれている。母性本能は子供という他者の存在を前提とするので、女性には先天的に社会性が備わっているということになる。
 雄にとって父性は必須ではない。従って人類の雄は父性も社会性も乏しく個別性だけが突出した状態で生まれる。社会生活を営む人類にとって個別性は厄介者だ。もし個別性を持った蟻や蜂が現れれば即刻仲間によって淘汰されてしまうように、人類の雄は徹底的に匡正される。雄は先天性を否定されて社会に有益な動物へと作り変えられる。
 男女の違いはここから生まれる。先天的に個別性と社会性を併せ持つ女性は「あるがまま」に育てられる。従って本能と社会生活に矛盾は無い。自然体で生きることができる。
 男性の場合はあるがままではなく「社会にとって都合の良い性質」に作り変えられる。そのため男性は女性と比べて不安定な人格とならざるを得ない。女性は天性が健やかに育てられるので個別性と社会性のバランスが良い。だから女性の我儘は、たとえそれが男性以上に顕著であろうとも社会に受け入れられる。
 男性の個別性は極度に歪められている。歪められた個別性は反社会的な形で現れることが多い。男性は歪められた個別性を見殺しにするのではなく、自力で健全なものへと育成しなければ狂った動物のままで一生を終えることになってしまう。