俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

正解

2015-02-02 10:27:05 | Weblog
 先日の大学入試センター試験で、世界史と数学で正解が2つある設問があったとのことだ。これは問題作成者のミスによるものだが、複数の正解があることは何ら不思議なことではない。それどころかそういう問題を意図的に作るべきだろう。
 答が1つしか無い設問や○×式に慣れると頭が硬直化する。例えば今日の昼食をどうするかでさえ無数の選択肢があり得る。間違った選択以外は総て正解だろう。正解は1つと思っているとそれを選べない時に代案を出せなくなる。AかBかではなくAからDまでのように答に幅を持たせることも必要だろう。
 ストーカーになる人も頭が硬直化しているのだろう。嫌われた時点で諦めるという選択をできないから付き纏って一層嫌われることになる。
 生活上であれ仕事上であれ常に複数の正解がある。ご時勢や天候などを考慮して最適と思われるものを選ぶがそれでなければならない訳ではない。仮に天候に基づいて選択する場合でも天気に基づくか気温に基づくかによって別の答が選ばれ得る。
 また一旦下した判断を覆すことがしばしば正しい選択になり得る。アメリカにはこんなクイズ番組があったそうだ。3つの箱の1つだけに景品が入っており挑戦者がどれかをヤマ勘で選ぶと、司会者は残る2つから空箱を1つ開けて見せる。ここで再チャレンジのチャンスが与えられる。再選択すべきかどうか?正解は「再選択をする」だ。当初の箱が当りである確率は1/3だが、再選択した箱が当りである確率は2/3だからだ。実社会においても状況の変化に応じて、当初の計画を変更したほうが良いことが多い。一旦決めたことを金科玉条と思っていれば失敗する。
 マニュアルに頼りたがる人がいる。服装やデートプランのような本来自由であるべきことまでマニュアルに従うことが正解だと思っている。こんな人は○×式の試験のせいで思考力を無くしているのだろう。正解が無数にあることを理解させる必要がある。
 仕来たりの塊りであるようなテーブルマナーでも臨機応変の対応があり得る。洋食はナイフとフォークを使うものと思っている人が多いが、私は海外でも箸を使う。不器用にナイフとフォークを使うよりも手慣れた箸を使ったほうが見苦しくない。勿論これは私にとっての正解であって、他人に強制する気は全く無い。
 1つだけが正解だと考えるから不寛容を生む。一神教信者による他宗教差別や迫害は最悪の事例だが、間違った答が無数にあるように正解も無数にあることを子供の内から教えるべきだろう。○×式に馴染んで脳の機能が低下した人は容易にキリスト教=善、イスラム教=悪、と信じ込む。

テロリスト

2015-02-02 09:45:45 | Weblog
 イスラム教の名を騙るテロリスト集団ISILによる暴挙が続いている。キリスト教徒は彼らを罵るがその資格があるのだろうか。キリスト教徒こそもっと酷いテロ活動を国家あるいは超国家レベルで行っていた。
 明確に歴史に残っているのは南北アメリカ大陸での蛮行だ。
 北米ではネイティブアメリカン(インディアン)を迫害した。土地を共有物と信じていた彼らを騙して土地を取り上げただけではなく、彼らの悪行までネイティブアメリカンに押し付けた。頭の皮を剥ぐという蛮行は白人がインディアン狩りで使った手法だ。モヒカン刈りの成人男性の頭皮は特徴的であり偽造不可能だから頭皮1枚幾らという形で報酬が支払われたという。死者を冒涜する白人に怒ったネイティブアメリカンの一部がやり返したに過ぎない。こんな歴史的事実を無視して、西部劇では頭の皮を剥ぐ野蛮人=インディアンという図式で描かれていた。
 中南米ではマヤ・アステカ文明やインカ文明が滅ぼされた。少人数で征服が可能だったのは武器の優越性だけではなく、友好的であろうとした現住民に対して人質や騙し討ちといった卑怯な手法が散々使われたからだ。こうやって文明を根絶やしにした。
 西洋人はナチスドイツだけが大虐殺をしたように言うが異教徒大虐殺はキリスト教徒のお家芸だ。殺された異教徒の数はISILなど足元にも及ばないほど多数だ。異教徒だけではなく新教・旧教間でも散々殺し合いをした。
 会田雄二氏の「アーロン収容所」によると、西洋人女性は日本人捕虜の前でなら素っ裸でいても恥じなかったそうだ。東洋人を人間ではなく猿のようなものと考えていたからだ。日本人が犬猫の前で恥じないのと同じことだ。
 中世の魔女裁判の記録を読むと彼らの身勝手さがよく分かる。拷問に耐えかねて魔女であると認めた人は悉く火焙りにして殺された。たとえ「自白すれば命だけは助けてやる」と言われていてもその約束は反故にされた。魔女や非キリスト教徒との約束は効力を持たないと彼らは考えた。
 こんなキリスト教徒がイスラム教を弾圧しようと企んでいる。イスラム教を騙るテロリストによる悪業を世界に発信してイスラム教を貶めようとしている。宗教的背景に無知な日本のマスコミはキリスト教徒に乗せられてイスラム教弾圧に加担している。キリスト教とイスラム教による宗教戦争において、日本は中立を守るべきだと私は考える。その手始めとして「イスラム国」という偏見を煽る呼称をマスコミは即刻やめるべきだろう。