俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

現代史

2015-02-04 10:20:05 | Weblog
 現代史は虚構だらけだ。意図的に嘘をバラ撒いた朝日新聞は論外として、現代日本史は極東国際軍事裁判(東京裁判)とサンフランシスコ平和条約によって徹底的に歪められている。正しい歴史を理解するためにはこの2つの軛から離脱することが必要だ。日本国憲法を「押し付け憲法」という理由で否定したがる人がいるが、押し付けであろうがなかろうが、良いものは良く悪いものは悪い。1条ごとに是非を検討すれば済むことだ。ところが日本現代史は事実が隠蔽されてしまっている。
 なぜ日本が無謀な日米戦争を仕掛けたのかという難問を解く鍵は無数にあり、到底簡単には究明できそうにない。私は最近、当時の日本人が奇跡を信じていたことを大きな要因と考えている。日清戦争と日露戦争で奇跡的に勝ってしまったからマスコミも国民も3度目の奇跡を信じていたのだろう。
 あるいは軍部の暴走を招いたのは軍部大臣現役制を認めた議会の責任が大きいと考える。陸軍がこの制度を利用して陸軍相ボイコットという奇策を使って政府を振り回し機能不全に陥らせたからだ。馬鹿な制度が国を破綻させかねないという悪しき教訓だ。
 これらは歴史に対する一解釈に過ぎない。しかし解釈のためには事実の積み重ねが必要だ。事実を知ればその原因も分かり、その原因の原因へと負の連鎖は無限に繋がる。そうやって初めて集団自殺とも思える日米戦争を起こした理由が理解できる。事実を隠蔽する戦後の歴史教育では何も分からない。アメリカという国の本性が暴露されつつある今、なぜ日本が日米戦争を起こさねばならなかったのかが明かされるべきだ。
 原因はともかく、どうすべきだったかについて、私は1つの奇妙な意見を持っている。アメリカとは戦わずに服従すべきだった、と考える。勿論、当時はこんな解決策はあり得なかっただろう。戦わずに降伏することなど殆んどの国民が納得しない。しかし結果から考えれば、戦って負けてから属国になるよりは、戦わずに属国になったほうがずっとマシだろう。日本史には良い実例がある。ペリーの黒船に対して徳川幕府は戦わずして降伏した。もし黒船に戦いを挑んで負けていればもっと悪い条件で開国させられていただろう。孫子は「戦わずして勝つ」ことを「善の善」とする。同様に到底勝てない相手には「戦わずして負ける」ことが一番だろう。要するに勝てない相手とは喧嘩をするなということだ。
 もし初めから降伏することを選んでいれば、両国は多くの犠牲者を出すこともなく、日本は南太平洋の島々の領有が認められ、ソ連に北方領土を奪われることもなく、広大な領海を持つ海洋資源超大国でいられただろう。あるいは航空機技術が継承されて、自動車王国ではなく航空機王国になっていたかも知れない。
 歴史から学ぶためには事実に基づかねばならない。アメリカによって歪められた歴史を解体して正しい歴史を知らなければ過去を反省することはできない。嘘に基づく反省は真の反省にはなり得ない。

中流

2015-02-04 09:36:33 | Weblog
 2日の朝日新聞の夕刊に「みんな『世間並み』と思った」という記事が掲載されていた。「『格差社会』は今の日本を表すキーワードだ。だが20年ほど前までは『平等社会』と思われていた。それを支えたのは『みんなが中流』という意識だった。」として「54年の中の合計は55%、下は38%。それが65年には中は87%に上昇、下はわずか8%に。」「70年代、中は90%に達し」「だが90年代初頭、バブル経済は崩壊し『失われた10年』が始まる」と続く。そして現代を「格差を直視して生きるしかない、つらい時代だ。」という吉川徹・大阪大教授の言葉で総括した。
 私は何の疑いもせずに納得して読み終えた。ところが記事の中のグラフを見て仰天した。記事とは全く整合しないグラフだったからだ。誤植かと疑った。85年前後に中流が減っているがその後、更に拡大しているではないか!
 出典とされる内閣府による「国民生活に関する世論調査」を検索した。それによると2014年の調査結果は「上1.2%、中の上12.4%、中の中56.6%、中の下24.1%、下4.6%、わからない1.1%」となっていた。中流と答えた人は何と93.1%もいた。「一億総中流」と言われた70年代よりもむしろ今のほうが中流意識が強い。何とも意外な事実に唖然とした。
 「格差だ、貧困だ」とマスコミは騒ぎ立てるが国民の意識は全然違うようだ。確かに所得の格差は拡大しているだろうが、それは私のような退職した高齢者が増えていることが最大の要因であり、当の本人は貧しいとは全然思っていない。
 昔、私は農家は貧しいと信じていた。日本社会を守るためには農家を守らねばならないと思っていた。ところが大半の農家の収入が平均以上だと知って驚いた。すっかりマスコミに騙されていたことに気付いたが、今回の驚きもそれに匹敵するものだ。マスコミは主張を正当化するために情報を駆使するがその際、都合の悪い事実は意図的に無視される。このことが端的に現れたのが福島第一原発事故を巡る「吉田調書」についての朝日新聞の記事だった。マスコミの言うことを鵜呑みにしてはいけないと改めて痛感した。マスコミ、特に朝日新聞は事実(fact)よりも物語(fiction)を好むという悪癖を持っている。
 なお元の記事は朝日新聞デジタル版では1月31日付けだ。「無断転載・複製を禁じます」と書かれているので転載できないから、そちらを参照して欲しい。