俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

笛吹き男

2016-01-12 10:45:00 | Weblog
 新年早々、マスコミに怒っている。子供の自殺と荒れる成人式の報道についてだ。マスコミが騒げば騒ぐほど事態は悪化する。マスコミは正義の味方の仮面を被っているが、煽り立てて報道ネタに使おうという魂胆が見え見えだ。マスコミ立場は100%マッチポンプだ。
 事件が起こってから駆け付けても決定的瞬間を映像化できない。だからマスコミは事件が起こる前から現場で待機している。マスコミには予知能力者でもいるのだろうか。なぜ事件が起こることが予め分かっていてカメラや制作スタッフが勢揃いしているのだろうか。当然ヤラセや共犯だ。マスコミに報じられると分かっているからこそ目立ちたがり屋の新成人が騒ぎを起こす。
 子供の自殺は事情が違う。これはヤラセや共犯ではなくマスコミによる誘導だ。新学期に子供の自殺が増えることは統計的に明らかでありこの最盛期を盛り上げるためにマスコミが仕掛ける。自殺があれば大騒ぎをするし、以前に自殺した子供のその後まで報じることによって子供に自殺を意識させる。
 今年に入ってから何度もそんな記事が掲載された。昨年11月の名古屋市の中1男子、10月の沖縄・豊見城市の小4男児、更には平成6年11月の西尾市の中2男子の自殺まで掘り起こして記事にされた。これは1月に限った仕掛けではない。毎年8月末から9月初めに掛けて「夏休み明けは子供の自殺が多い」と一大キャンペーンが催される。「子供の自殺を防げ」というポーズの裏には自殺を煽ろうとする姿勢が見える。
 実際には極めて少ないにも拘わらず、子供の自殺はニュースバリューが高い。新聞もニュース番組も大々的に報じる。原因追及の姿勢を示して、やれいじめだ、心の闇だと騒ぎ立てる。しかし「死人に口無し」だから原因など分からない。実際には何となくムードに流された自殺も少なくなかろう。だからこそ幾らでも脚色できる便利なネタだ。何とでも演出してヤジ馬の関心を集めようとする。最近では極力、いじめを原因にしようとする。そうすれば悪人退治というテーマで関心を集め続けられるからだ。
 これは日本だけで起こる異常な社会現象だ。欧米では、子供の自殺の報道は極力避けられている。それは、子供が感化され易いからだ。同世代の自殺が報道されれば自殺が身近なものと感じられる。だから欧米のマスコミは人命尊重の対場から報道を自粛する。
 日本のマスコミの悪辣さは桁外れだ。自殺者をヒーローに祭り上げて、いじめたとされる同級生や見逃した教師を悪人として糾弾する。こんな報道に接していれば子供は誤解する。自殺さえすれば嫌な奴らを懲らしめる最強のヒーローになれる、と。
 マスコミは善人面をして様々な放送禁止用語を設定しているが、子供の自殺こそマスコミが最も慎むべき報道だ。善意を隠れ蓑にした自殺幇助だ。彼らこそ、子供を自殺へと誘うハーメルンの笛吹き男だ。

ハイブリッド(3)

2016-01-12 09:54:26 | Weblog
 日本人は黒人が嫌いだ。醜いと考えている。これは昔から色白を高く評価していたからだ。「色の白いは七難隠す」とまで言われていた。こんな美感覚を持っていれば、色が黒いということは致命的な欠点だ。この美白信仰は今尚健在だ。
 昔は人種差別を助長するドラマも沢山あった。「ターザン」とか「少年ケニヤ」とか「狼少年ケン」などだ。これらは主人公の日本人や白人が野蛮な土人の中で民族的優越性を発揮するという差別意識丸出しの酷い作品だった。現代であれば到底放送できない内容だ。
 実は私も黒人に恐怖を感じたことがある。当時、近鉄バファローズの主力選手だったデービス選手と街中で出くわした。黒く逞しい巨人を目の前にして捻り潰されるのではないかとさえ思った。
 これらは古い世代の偏見だ。人類発祥の地であるアフリカの黒人は遺伝的多様性を最も豊富に備えている。言わば遺伝子の宝庫だ。アジア人もヨーロッパ人も黒人の亜種に過ぎない。
 日本人は元々雑種民族だった。縄文系日本人はどこがルーツなのか分からないほどに様々な民族の混合体だった。その後、大陸や半島からの弥生系との混合はあったものの、海によって隔てられた日本では遺伝的多様性は失われ続けた。
 混血の日本人アスリートが素晴らしい能力を発揮することはダルビッシュ有投手やハンマー投げの室伏広治選手を見ても分かるが、最近、黒人との混血のアスリートの活躍が目覚ましい。野球のオコエ瑠偉選手や短距離走のサニブラウン選手以外にバレーボールやバスケットボールなどでも若い混血選手の活躍が目立つ。旧世代の黒人系混血選手は元広島の衣笠祥雄選手ぐらいしか思い出せないほど珍しかったのだから、これは大きな変化だろう。
 黒人がアメリカの大統領に就任する時代なのだから、黒人に対する偏見は明らかに薄らいでいる。若い世代の感覚は我々よりもずっとグローバル化しているだろう。
 現在の状況で難民の受け入れは不可避だが、私は移民によって人口を維持しようという政策には大反対だ。低賃金の輸入労働者に3Kの仕事を押し付けるなど奴隷制のようなものだ。途上国に対する蔑視がある。その一方で日本人の自主的な混血化には賛同する。フィリピン人妻の輸入は人身売買のようなものであり許容できないが、在日外国人が日本人と繋がることには諸手を挙げて賛成する。あるいは急増中の外国人旅行者が旅行というレベルに飽き足らず定住することにも期待したい。
 今のところアスリートの活躍ばかりが目立つが、近い将来文化の面でも混血の人々が活躍すると期待している。遺伝子の宝庫であるアフリカ系黒人とのハイブリッド化は単に日本人だけではなく人類全体の質的向上にも繋がると考える。